『くろねこルーシー』塚地武雅&安めぐみ 単独インタビュー
人生はいつだってチャレンジ!
取材・文:平野敦子 写真:高野広美
『幼獣マメシバ』や『ねこタクシー』に続く人気動物シリーズの最新作として、心温まる映画『くろねこルーシー』が誕生。大の苦手だった黒猫との不思議な出会いをきっかけに、主人公が新たな人生を歩み始めるという物語が展開する本作では、ドランクドラゴンの塚地武雅が主演を張り、しっかり者の妻にふんした安めぐみと最高の演技をみせる。夫婦を演じた二人が、猫たちとの撮影裏話や、最近初めて挑戦したことなど語った。
塚地&安の最強「癒やし系コンビ」!
Q:映画の中でお二人は夫婦を演じられていましたが、相性はバッチリでしたか?
塚地武雅(以下、塚地):安さんとはバラエティー番組や、テレビドラマで何回かご一緒させていただいていたので、ありがたいことにいらん緊張感みたいなんはなかったですね。
安めぐみ(以下、安):わたしは割といつも緊張するタイプなんですが、塚地さんとは何度もお会いしているので、今回は安心して演技ができました。現場でもこのままの感じでボーッとしていらっしゃるので、「夫役が塚地さんでよかった!」と思いましたから(笑)。
Q:お二人が並ぶと最高の「癒やし系コンビ」という感じがするんですが、実際の現場もほのぼのとした雰囲気だったのでしょうか?
塚地:今回安さんが演じた僕の奥さんは、強い女性というか……。普段は優しい奥さんなんやけど、怒っている感じがマジで怖かったんですよ! 実は安さんもホンマはこんな感じの人なんかなと思って「東さん大丈夫かな?」とふと思ったりして(笑)。安さんから、母親のような強さみたいのを感じましたね。
安:ありがとうございます! わたしは撮影には後の方で参加したんですが、待ち時間も塚地さんはメイク室でゴロゴロ横になったりしていたので、なんだかとても癒やされました(笑)。
実は素のままの塚地の演技!?
Q:お二人が演じられたキャラクターは、自身と近いところがありましたか?
安:実際わたしは強い女性というわけではないんですが、女性は誰でも芯の強い部分を持っているんじゃないかとは思いますね。夫に対してあきれつつも放っておけないし、いつか絶対変わってくれると期待する気持ちもあって、いろいろな思いでダメな夫のことをじっと見守っているので、彼女は強くいられるのかなぁ……と考えながら演じていました。
塚地:僕はもう共感ばっかりで(笑)! 鴨志田は、人生に迷いがあったり、自分に自信がなかったり、息子や奥さんに対して愛情はあるのに不器用でうまく表現できへんかったり……。そんなところがいちいち共感することばっかりだったんで、そのまんまの僕が物語に登場したみたいなノリでした。役づくりは、ほとんどしてないです(笑)。
Q:安さんのご主人の東さんは、塚地さんが演じられた鴨志田とは違うタイプですか?
安:うちは亭主関白なので、全然違いますね。いつかは裏でうまく夫を操縦できるような賢い妻になれるといいんですが、今はできているかどうかはちょっと自信がありません。でも、彼も家に居るとぼりぼりお尻を掻きながら横になっていたり、甘えてきたりする部分もあるので、鴨志田と共通する部分もあるなぁ……とは思いました。
猫よりもまずはヨメがほしい!
Q:かわいい猫たちとの共演は楽しかったですか?
塚地:僕はこれまで猫を飼ったことがなかったんで、どちらかというと「犬派」だと思っていたんですよね……。猫のかわいがり方とかもまったく知らないし、撮影と同じペースで僕自身も猫たちと仲良うなっていっているから、そのへんは超リアルな映画やと思います。
安:実はわたし、偶然実家で黒猫を飼っていたんですよ。
塚地:スゲー! それホンマに!? 話作ったらあかんで(笑)!
安:本当です! 12年前に段ボールに入って捨てられていた生まれたばかりの黒猫を、わたしが見つけて拾って帰ったのをきっかけに、実家でその猫を飼い始めたんですよ。なので今回このお話をいただいたときは「本当に黒猫には縁があるな……」とびっくりしたぐらいですから。
Q:塚地さんはこの映画に出演した後、猫を飼いたいと思われましたか?
塚地:めっちゃ思いましたよ! でも、猫を飼うよりまずはヨメを探さなあかんと思いまして(笑)。結婚したら絶対に猫を飼いたいですね!
Q:動物との共演は大変だとよく聞きますが、今回も苦労されましたか?
塚地:猫って気まぐれやったり、疲れたらまったく動かなくなったりするんで、本物の猫ちゃんたちに出てもらうのは基本的に本番のみなんです。それまではリハーサルも含めて全部ぬいぐるみを使うんですよ。動物に話し掛けている姿ってよそから見られると恥ずかしいじゃないですか? ぬいぐるみなんてその100倍恥ずかしいですからね(笑)!
安:わたしはそれほど苦労したという記憶はないんですが、本番になると不思議と猫ちゃんたちが素晴らしい演技をしてくれたんですよね。本当にきちんとわかって動いているんじゃないかと思うような瞬間もあったりして、本当に驚きました!
塚地:そうそう、奇跡のショットみたいなんが何回もあったよな。リハーサルではまったくダメやったのに、本番ではこう撮りたいと思っていた通りになることが多々あって「何これ!?」みたいな。
「ももいろクローバーZ」にハマる塚地
Q:この映画は主人公が新たな一歩を踏み出す物語でもあるのですが、この作品に出演してみてこれまでチャレンジできなかったことに挑戦してみようと思われましたか?
塚地:やってもいないのに、オレには向いてへんなと決めていたこととか、すごく好きなんやけど、体裁を気にして先延ばしにしてたりみたいなことはありますよね。この映画がきっかけとまでは言いませんけど、「40歳でこんなことやっていたらあかんな」と思って抑えていたことも最近は「やってみて楽しめるんやったら、気にせんでもええか?」と開き直っています。
Q:では、塚地さんが今ハマっていることとは何でしょう?
塚地:これまで隠しとこうと思ったんですけど、今アイドルグループの「ももいろクローバーZ」にハマっています。ライブにもガンガン行くようになってしまって(笑)。初めてライブに行ったときは、自分も芸能人というのもあって、あんまりはしゃぐのもなんやし……と思って、私服で観に行ったんですよ。周りの人たちがハッピとか着てバンバンやっている姿を俯瞰(ふかん)で見ようと思っていたんですが、ライブが終わる頃には「オレって何カッコつけてんのやろ!?」って逆に恥ずかしくなってもうて……。
安:えぇ~、すごーい! じゃぁ、今はハッピ着てライブに行っているの?
塚地:今はちゃんとハッピ着ていますよ(笑)! 日々の生活に潤いが出るというか、元気につながるような感じですね。あとは同じような仲間たちと集まって飲むのが本当に楽しくて。
安:わたしはあまりチャレンジをしない主義なんですけどね(笑)。ちょうどこの映画の撮影と前後して入籍したので、結婚して、主婦として日々の生活の中で旦那さんをちゃんと支えてあげたいとか、いろいろなことを頑張ろうと思いました。
ダメダメな夫と、気丈な妻という役柄がぴたりとハマっていた塚地武雅と安めぐみの癒やし系コンビ。取材中もお互いに息の合ったやり取りで、ほんわかとした雰囲気を醸し出していたが、目下シングルの塚地は、実生活ではゴールインしたばかりの安に先を超された形だ。そんな二人の共演で贈る、黒猫たちとの出会いをきっかけに新たなスタートを切る主人公とその妻を取り巻く世界が、次第ににぎやかな彩りをみせる本作の世界を堪能したい。
映画『くろねこルーシー』は10月6日より全国公開