『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 2』クリステン・ステュワート 単独インタビュー
自分に正直に行動するって、すごく気分がいいのよ!
取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆 写真:吉岡希鼓斗
ヴァンパイアと人間との禁じられた恋を描き、ティーンエイジャーを中心に世界中の女性を夢中にさせた『トワイライト』シリーズもついにファイナル! 最新作『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 2』では、ヴァンパイアの夫・エドワードの子どもを宿してしまったベラの出産を中心にヴァンパイアたちの最後の戦いがスリリングに描かれる。17歳でヒロインに抜てきされて以来、本作の人気を支え続けてきた女優のクリステン・ステュワートが、役への思い、そして本作の撮影にまつわる思い出の数々を振り返った。
シリーズ最大の魅力は、役者とスタッフの「情熱」
Q:ついにファイナルとなってしまいましたね。
そうね。これまでの5年間、本当にたくさんの特別な瞬間を感じてきた。普通の映画って、5週間ほどの撮影が終われば、それでその作品とは別れを告げることになるんだけど、『トワイライト』シリーズはそうじゃなかった。5年間だもの。この作品をやり遂げたことに誇りを感じているわ。寂しい気持ちはもちろんあるけれど、一方ではようやく解放されたような気持ちでもあるの。今は、これからどんな新しいことにチャレンジできるか、ワクワクもしているのよ。
Q:あなたが言うように、5年って大学より長いですよね。共演者たちとの絆も深まったんじゃないですか?
みんながほとんど同い年だったし、こういう映画に参加するのが初めてだったから、みんなで一丸となっている感じだった。キャスト同士が本当に仲が良いからこそ、ここまで素晴らしい作品ができたと思っているわ。それはクルーについても同じことが言えるの。2作目以降はずっと同じクルーだったから、新しい作品を作るたびに、現場はまるで同窓会みたいな雰囲気だった。家族みたいに仲良しなのよ。気が合わない仲間と5年もなんて一緒にやっていられないもの(笑)。
Q:本作が5年もの間、愛され続けてきたのはなぜだと思いますか?
この映画に関わる人は全員が「新しいものを作り出したい」というクリエティブな情熱とエネルギーに満ちていた。わたしは何かのマネをするのがすごく嫌いなの。ベラというキャラクターも、これまでいたようなヒロインのモノマネなんかじゃない、まったく新しいヒロイン像だったと思うの。ヴァンパイアを描いた作品は、これまでたくさん世に出てきたけれど、誰も観たことがないような映画を作り出したかった。それはわたしだけじゃなくて、キャスト全員に共通していて、みんなが新しいキャラクター像を作り上げようとしていた。そういうエネルギーが観客に伝わったのなら、うれしいわね。
シリーズ完結で、ジェイコブもようやくハッピーに!?
Q:最新作を楽しみにしているファンはたくさんいますが、なんといっても気になるのは、ジェイコブとエドワードとの三角関係の行方だと思います。ジェイコブ、本当にかわいそうなんですもん!
あはは! そうよね。わたしもジェイコブはいつもかわいそうに思っていたわ。でも今回の最終シリーズは、ファン全員が納得できる結末になっていると思う。わたし自身、ベラを演じながら「あんた、もっとはっきりしなよ!」って思うことが多々あったんだけど(笑)、ようやく彼女が取ってきた行動に納得することができた。だから、ジェイコブのファンもきっと満足してくれるはずよ!
Q:『トワイライト』シリーズを語るとき、女子はエドワード派かジェイコブ派かで盛り上がるんですよね
それ、すっごいわかる! でもわたしはエドワードだな。ジェイコブって、ちょっとストレート過ぎじゃない? たぶんジェイコブは、一緒になれば絶対に幸せにしてくれると思う。エドワードは危ういタイプだし、恋をするのは障害がありすぎて大変なんだけど、だからこそ燃えるっていう、ベラの気持ちもわかる。ジェイコブは、ストレートすぎて退屈なのよ(笑)。
Q:前作では、ベラが妊娠・出産という衝撃の展開となりました。彼女が若くして結婚・妊娠・出産を経験するというのも、どこかリアルで面白いですよね。
そうなの。パート1が公開されたとき、いろんな人から「ベラが妊娠するなんて!」って言われたんだけど、彼女くらいの年齢で結婚して出産する子って結構いるでしょ? 相手がヴァンパイアだってことを除けばだけど(笑)。もう一つリアルだと思うのは、ベラはなんとしてでもおなかに宿した子を守ろうとするのに、エドワードはベラの命を優先して、子どもは要らないっていうシーン。男の人って、自分のおなかに赤ちゃんがいるわけじゃないから、自分の子どもの顔を見るまでは、なかなか親としての実感が持てないのよね。
ハリウッドスターではなく、一人のクリエイターであるという誇り
Q:あなたは、ハリウッドでのキャリアもとても長く、女優としても若くして成功を収め、スターとなりました。地に足を着けるって大変じゃないですか?
確かに『トワイライト』シリーズに出演したことで、周りからの注目度はすごく上がったし、いつも誰かが干渉してくるようになった。でもね、彼らのうち一体誰がわたしの本当の気持ちや、わたし自身を知っていると思う? 誰も知らないのよ。だからわたしはなるべく気にしないようにしているし、自分自身をスターとも思っていない。わたしは映画を作る担い手の一人で、映画を作ることがすごく好きなの。つらいことがあっても映画を観れば大笑いすることだってできるでしょ? そういうパワーを持つクリエイターの一人であることに誇りを持っているわ。
Q:この5年であなた自身は、どのように成長したと思いますか?
わたしはこの作品に17歳で出演して、今22歳。誰でもそうだと思うけど、その5年間って女性としても一番いろんな経験をする時期でしょ? 具体的に何がってわけじゃなくて、いろんなものを得て、たくさんのものを失ったと思う。この映画に出演したことでいつも注目されて、ずいぶん強くなったわ。本当はこんなこと言いたくないんだけどね。いまだに、誰かの心ない言葉に傷つくこともあるから。
Q:ベラはとても強い女性です。彼女からは、どんなことを学びましたか?
人って必ず、「どうしたらいいかわからない」っていうときがあって、正しい答えを知りたがる。わたしがベラを好きなのは、たとえ答えがわからなくても、自分自身の直感を信じて突き進めるところ。女の子たちがベラを好きなのは、彼女がとてもクールだからだと思うわ。この映画に出たばかりの頃のわたしは「正しい答えが知りたい! どうすればいいか誰か教えてよ!」ってタイプだった。でも最近は、たとえ正しい答えがわからなくても、ベラのように自分のしたいように行動できるようになったわ。自分に正直に行動するって、すごく気分がいいのよ!
「Be myself(自分自身でいること)」。22歳にして「ハリウッドで最も稼ぐ女優」となったクリステンはしっかりとした口調でそう言った。17歳でヒロインに抜てきされて以来、一気に世界中の注目を浴びるようになっても、彼女が自然体のままでいられるのは、そうしたポリシーを持ち続けてきたからなのだろう。芯の通った彼女が演じる、ヒロイン・ベラに会えるのは本作が最後! エネルギーに満ちた本作から、スタッフたちの情熱を感じてほしい。
映画『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 2』は12月28日より新宿ピカデリーほか全国公開