『近キョリ恋愛』小松菜奈&山本美月 単独インタビュー
「こうあったらいいな」がいっぱい詰まった映画
取材・文:小島弥央 写真:金井尭子
容姿端麗なツンデレ教師と、感情を表に出すのが苦手な女子高生の恋を描いた『近キョリ恋愛』。インパクトのある設定と、数々の名シーン、名ゼリフで大人気を博したみきもと凜の少女コミックを、映画『君に届け』『おと・な・り』で知られる熊澤尚人監督が実写映画化した。本作で、山下智久演じる櫻井ハルカに恋をしてしまう枢木ゆにを演じた小松菜奈と、彼女の親友のナミを演じた山本美月が、丁寧に作り込まれた本作の魅力を語った。
徹底した役づくりで人気キャラクターを体現!
Q:小松さんが演じたゆにはどんな時も感情を表に出さないキャラクターですが、演じてみてどうでしたか?
小松菜奈(以下、小松):大変でした。撮影の前に1か月くらいリハーサルをしたんですけど、最初の頃は監督に「全然違う。無表情じゃない」と言われました。現場でも監督と話し合いながら作っていきました。
Q:「無表情で……」と思うと、逆に笑っちゃったりしませんか?
小松:そこは抑えました(笑)。笑顔が出てしまう時もあったんですけど、監督から「笑顔はここぞという場面にとっておきたいから、笑わないように」と言われて。でも、無表情でもちゃんと気持ちが伝わるようにしなきゃいけないので、かなり苦戦しました。あとはしぐさですね。ゆにはスカートをギュッとつかんだり、耳たぶを触ったりするんですけど、それを意識せずに自然に見せるのが難しかったです。自分でも「あっ、今意識して触ったな」と思ってしまうことがあったので、細かいところに気を付けながらやるようにしました。
Q:山本さんが演じたナミちゃんは、ゆにの一番の理解者で、理想の女友達とも言えるキャラクターですが、演じてみていかがでしたか?
山本美月(以下、山本):姉のような、母親のような感じがありましたね。ただ、台本を読んだらナミのバックボーンが描かれていなかったので、最初はどんなキャラクターなのかわからなかったんです。でも、基本はゆにのことが大好きで、きっと彼氏よりも大事な存在なんだろうなと思ったので、友情が一番というところはブレずにいこうと思いました。実際には、リハーサルの時に監督と何度も相談して、自分が思っているところと違う部分を修整していきました。
撮影現場ではUNOが大活躍!?
Q:お二人での共演はいかがでしたか? 一緒にドーナツやお弁当を食べるシーンは本当にほほ笑ましかったです。
山本:ドーナツ屋さんのシーンは本当に楽しかったですね。二人で「これ、おいしい」「これも、おいしいね」とか言ったりして(笑)。
小松:「これ食べたいな」とか「こっちが良かったな」とか(笑)。
山本:そのシーンの撮影で(ナミの恋人役の)佐野和真くんがクランクインしたんですけど、すごく人見知りしていたので、二人で「どうする? こっちから話し掛ける?」と相談したり(笑)。
小松:「UNO誘う?」とかね(笑)。
山本:そうそう、「誘いたいね。どっちが誘う?」って(笑)。結果、菜奈ちゃんが誘ったんですけど。
Q:ナミじゃなくて、ゆにが誘ったんですね(笑)。
山本:若い無邪気さに負けました(笑)。
小松:「やりませんかー?」と誘ったら、「え、UNO?」って言われました(笑)。
Q:山下さんともUNOをされたそうですね。山下さんが誘ったとか……?
山本:みんなでやったよね。
小松:すごく楽しかったです(笑)。
Q:本当に楽しそうな現場だったんですね。小松さんは山下さんとの共演シーンがたくさんありましたが、いろいろとお話をされたのですか?
小松:役柄についてというような話は全然しませんでした。ただ、わたしの中ではずっと「山下さん」というより「ハルカ先生」ってイメージでした。
Q:山下さんご自身は「ハルカと自分は全く違う人間なので、演じるのに苦労した」とおっしゃっていたそうなのですが、現場でもハルカ先生としていたということですか?
小松:いえ、休憩中はハルカ先生を意識されていたわけではないと思うんですが、山下さんは存在自体が華やかなので、そこにいるだけで現場がパッと明るくなるんです。そういうところも含めてハルカ先生のようだなと。わたしが勝手にそう思っていただけなんですけど(笑)。
胸キュンが止まらない二人の関係
Q:本作には、女子中高生たちの「こんな恋してみたいな」という夢や希望がたくさん詰まっていると思うのですが、お二人が一番キュンとしたシーンはどこですか?
山本:やっぱり教卓の下でキスをするところですね! でも、美麗先生(水川あさみ)がゆにとハルカ先生にヤキモチを焼くのがかわいいなと思って、そういうところにもキュンキュンしました。
小松:わたしは、砂浜で後ろからギュッとされて「結婚しよう」と言われるところが、キラキラしていて、ベタだけどすごくいいなと思いました。恥ずかしいけど、ベタが一番いいんだなと思って、「わたしもされたい!」と思いました(笑)。
Q:そのシーンを実際に演じているわけですが……。
小松:あの時は、「海が荒れてるな……」って思っていたんですよね(笑)。
山本:ええっ!?
小松:すごく荒れていたんですよ! 「風、強いな。大丈夫かな……」って思っていました(笑)。
Q:あまり堪能する感じではなかったんですね(笑)。
小松:あっでも、後ろからギュッとされたときは「ハッ!」となりました。ただ山下さんはわたしの後ろにいるので、来るタイミングがわからないんです。だから、「来るのか? 来ないのか? いつなんだ!」とドキドキしていました(笑)。
Q:本作は、「大嫌いだけど、大好き」というセリフに代表されるように、恋愛中の心の葛藤が丁寧に描かれているのも魅力の一つだと思うのですが、お二人が思う本作の魅力はどこですか?
山本:「大嫌いだけど、大好き。両方あるのが本物の恋なんだ」(ナミのセリフを復唱して……)でも、本当にそうですよね。『近キョリ恋愛』の世界って、「こうあったらいいな」という要素が強いので、「あっわかる、わかる!」と共感するよりも、「いいな~。もしわたしがゆにだったら……」と憧れる映画だと思うんです。そういうところがいいなと思いますね。
小松:わたしは、なさそうでありそうなところかなと思います。お姫様抱っこや“壁ドン”は漫画っぽいなと思うんですけど、好きという気持ちはみんな感情のままに伝えたいものだと思うし、実際に教え子と結婚する人もいるから、教師と生徒の恋も現実にあると思うし。それが映画ではすごくキレイに描かれているから、胸キュンが止まらないですけど、二人の関係はリアルだと思います。
これを観れば、ナチュラルな“壁ドン”ができるようになる!?
Q:恋愛映画というと観客は女性というイメージが強いですが、男性にもアピールできるポイントがあったら教えてください。
山本:それはゆにのかわいらしさよね~。と言いつつ、「ハルカ先生を見て勉強してほしい」というところかな。ハルカ先生は、女のツボを押さえている教科書みたいなキャラクターだし、空気を読みつつ、やり過ぎず、ナチュラルな“壁ドン”ができるのは彼だけだと思うので、男性の方はそれを見て、自然な“壁ドン”ができるようになってほしいですね(笑)。
小松:え~、ヤダー! いたる所でみんなが“壁ドン”していたらどうしようって想像しちゃった(笑)。
山本:それはちょっとね(笑)。でも、女の子の頭をポンポンしたり、後ろからギュッとしたり……。ちゃんと「好き」という気持ちを伝えてほしい。
小松:それを自然にやってほしいよね。
山本:そう、自然にね。勉強したままやるんじゃなくて、応用して自分の経験値に組み込んでもらいたいですね。
小松:「こういうことにキュンっとするんだな、女の子って」というのを知ってほしいです。
まるで映画の中のゆにとナミのように仲が良く、撮影中も会話が止まらない二人。何かの拍子に、山本が小松に顔を寄せて耳打ちした瞬間、その場にいた全員から思わず「かわいい!」との声が上がり、カメラマンが「それ、もう一度!」とリクエストして撮れたのが掲題の写真。ハルカとゆにの恋愛模様が描かれる中で、ゆにとナミの友情を感じさせるシーンは、恋愛とはまた違った安らぎや温かさが感じられることだろう。
(C) 『近キョリ恋愛』製作委員会
映画『近キョリ恋愛』は全国公開中