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『幕が上がる』本広克行監督&ももいろクローバーZ 単独インタビュー

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『幕が上がる』本広克行監督&ももいろクローバーZ 単独インタビュー

今はまだ、5人でいたい

取材・文:須永貴子 写真:高野広美

高校演劇を題材にした平田オリザの処女小説「幕が上がる」を、『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督が映画化した。その内容は、弱小演劇部が、元学生演劇の女王と出会い、全国大会を目指す青春ストーリーだ。演劇部員を演じるのは、爆発的な人気を集める5人組アイドルグループ、ももいろクローバーZ。原作を読んで即座に彼女たちで映画を撮りたいと思ったという本広監督の熱意が、珠玉の青春アイドル映画として結実。そんな本作について、ももクロと監督が語った。

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アイドル映画の存亡はももクロの双肩に?

本広克行監督&ももいろクローバーZ

Q:本広監督はモノノフ(=ももいろクローバーZの熱烈なファン)であることをかたくなに否定しますが、5人から見るとどうですか?

全員:モノノフ!!

本広克行監督(以下、本広監督):全然違います。

百田夏菜子(以下、百田):クランクアップのとき、「俺、モノノフです」って言ってたのを、わたしはこの耳で聞きました!

本広監督:百田さんが泣いていたから、言ったほうがいい空気かなぁって。

佐々木彩夏(以下、佐々木):じゃあ、撮影現場で夏菜子ちゃんとしおりん(玉井)を呼ぶときに、わざわざ「ももたまい」って言ったのは何でですか?

本広監督:そのほうが、モノノフのスタッフが喜ぶかなと思って。

百田:映画にモノノフ目線の要素を入れたのは?

有安杏果(以下、有安):そうそう! フードコートのシーンで、ジュースの色にめっちゃこだわってました。赤が夏菜子で緑がわたし。それを自然に置くか、逆に置かれたジュースを自分の方に手で取るか、めっちゃ考えていましたよね。

本広監督:この映画がヒットしないとアイドル映画が滅びちゃうんだよ? ももクロの『幕が上がる』はアイドル映画の最後の防波堤なんだよ!

高城れに(以下、高城):責任重大だ~(笑)!

百田夏菜子の涙が伝わったシーン

本広克行監督&ももいろクローバーZ

Q:クランクアップで泣いたのはどなたですか?

本広監督:この人(百田)がすごかったですよ。(モノマネしながら)「えっくえっく」って。

百田:終わっちゃうっていう寂しさと、若干の解放感と(笑)。いろんな感情が入り交じって、何を言えばいいのかわからなくて、取り乱しました。

Q:百田さんが演じるさおりが部員たちに演説するシーンでは皆さんも泣いていましたよね。

本広:本来はみんなでやる気になって「がんばろう!」って盛り上がるシーンであって、泣くシーンじゃなかったんですよ。僕が「国立競技場でスピーチしたときの感じで」って夏菜子ちゃんを演出したら、彼女の気持ちがあそこにいるみんなに伝わったんでしょうね。あそこはもうお芝居を超えたシーンでした。

百田:思わず「わかんねーよ!」って言っちゃいました(笑)。

有安:モノノフじゃないとそんな説明、出てこないですよ(笑)。

玉井詩織(以下、玉井):百田はそこで、高城のセリフを飛ばすんだよね。

百田:そう! 高城に「うん、わかるよ」というセリフを言わせずに次にいっちゃったんです(笑)。

高城:このまま言わないべきか、違うタイミングで言うべきか、すっごい考えて。でも、無理にセリフを挟んだら空気を壊すと思って、さおりの話をひたすら聞いていたらウルウルしてきちゃって……。

玉井:台本には部長が泣くなんて書いていなかったんですよ。それなのに一言目から涙声だから、「これはちょっとまずいな……」と思いながら、部長の言葉に普通に感動していました。それを受けて、あたしが「行くぞ全国!」って言うところも、映画で見たら「全国」っていう言葉に重みがあって、すごく良いシーンだなと思いました。

百田:そのシーンを撮り終わった後、玉井さんが「良かったよ。今日の夏菜子」って言ってきて。別のシーンで、ユッコ(玉井)が「良かったよ。今日のさおり」っていうセリフがあるんですよ。映画と現実で同じことを言ってきたから、ユッコに言われているのか詩織に言われているのかわけがわからなくなって、「お、おお……」みたいな変な気分でした。

温厚な本広監督が声を荒らげた理由とは?

本広克行監督&ももいろクローバーZ

高城:監督は何があっても絶対に怒らない、大らかなイメージだったのに、一度だけ助監督さんに「ちょっと! 口出さないで!」ってすごく厳しい言い方をしたんですよ。顔も怖かった。どのシーンだったかは忘れちゃったんですけど。

本広監督:えー? そんなこと言わないよー。

高城:それまではいつもニヤ……ニコニコしている、ただのモノノフだと思っていたんですけど、印象が変わりました。

佐々木:ニヤニヤって言おうとしたでしょ(笑)。

百田:わたしも他のシーンで監督が「もう本番やろうや!」って大声で言うのを聞いた。

本広監督:スタッフがいろいろやっていたときじゃない? ももクロの一生懸命がスタッフにうつっちゃったんだよね。みんないい意味でバカだから、アツくなると「もっといいものを作りたい」っていつまでも作業をしちゃって、進まなくなるのよ。オレは進めなきゃいけない立場だからそう言ったんだよ。

佐々木:俳優さんにきつく言うときはないんですか?

本広監督:演劇のときは言うかなあ。お芝居を研ぎ澄まさないといけないから。

玉井:やばい! 演劇の稽古!(注:5月に、ももいろクローバーZが主演、本広監督が演出で、『幕が上がる』の舞台版が上演される)

百田:怖い!

同じアイドルはいない!ももクロの魅力

本広克行監督&ももいろクローバーZ

Q:今回、映画に5人で挑戦してどんなことを感じましたか?

有安:自分の感情ではなく、役としての感情をちゃんと表現できるか不安でしたけど、完成した作品を観て「5人の映画ができたんだ!」と実感できました。わたしたちはアイドルグループですけど、今回のような映画では一人一人の演技を見てもらいたいなと思います。

佐々木:ムロツヨシさんや黒木華さんの演技を間近で見て、すごいなって思ったので、もっといろいろな人と共演してみたいです。

本広監督:わかりました。(スタッフに)企画書作るぞ!

玉井:SMAPさんや嵐さんみたいに、ずっと続けている女性のアイドルグループはなかなかいないので、メンバーと一緒でも一人一人でも活躍できるグループになることは変わらない目標です。今回こういう機会をもらえてあらためて、それぞれに演技だけじゃなくいろいろなお仕事に挑戦していきたいと思いました。

百田:逆に、5人が同じ作品に出られるのは今の時期だからだろうなって。これから大人になっていくと個々の仕事が増えていって、違うものが見えてくると思うんですけど、今はやっぱり一人よりも5人でいるほうがいいんですよ。

高城:うん。たまに一人でやるお仕事があるけれど、変なことを言ってボケても突っ込んでもらえるかわからないじゃないですか。そういうときにあらためて5人でいることのありがたみがわかるんです。メンバーにすごく助けてもらっているなって。今はまだ5人でやらせてもらう機会がたくさんあるので、自分のためにもグループのためにも、そこで少しでも多く学んでいきたいです。

本広監督:本人たちを前にして言うのもなんですけど、たくさんのアイドルを見てきた僕からしても、ももクロはあまり見たことがないタイプのアイドルです。アイドルのトップ、笑顔のトップを目指して、この子たちがどこまで行けるのか、ちょっと楽しみです。

佐々木:笑顔をみんなに届けられる人を目指します!


本広克行監督&ももいろクローバーZ

まるで気のいいおじさんと5人のめいっ子たちという雰囲気で行われた取材。監督は自分がモノノフであることを否定するけれど、ももクロの5人から攻撃や反論をされるたびに頬が緩みっぱなし。彼女たちの個性や魅力を知り尽くした上で、それを冷静に作品に反映した本広監督だから、ももクロを知らない大人が観ても感じられるものがある青春映画に仕上がった。

(C) 2015 O.H・K / F・T・R・D・K・P

映画『幕が上がる』は2月28日より全国公開

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