『ストロボ・エッジ』福士蒼汰&有村架純 単独インタビュー
好き、好き、好きという空気がいっぱい
取材・文:前田かおり 写真:奥山智明
咲坂伊緒の人気漫画を、福士蒼汰、有村架純のダブル主演で実写化した青春恋愛映画『ストロボ・エッジ』。学校一の人気男子・一ノ瀬蓮をいちずに思う女子高校生・木下仁菜子の姿を、周囲の恋模様と交えて追う。原作の大ファンという福士蒼汰と、ピュアなヒロインを演じるため、髪を20センチも切った有村架純が、胸キュンシーン満載の本作について語った。
胸キュン映画で演じる難しさ
Q:いろいろなラブストーリーに挑戦されているお二人ですが、演じる難しさはどんなところにありますか?
福士蒼汰(以下、福士):恋愛映画は、アクション映画のように見た目のカッコよさや派手さもないですし、ささいなところで動く心の「揺れ」や微妙な変化を大切に演じていかないと、キャラクターの感情が伝わらないなと思うので難しかったです。
有村架純(以下、有村):そう、とっても難しい。だから、作品の中で本当に相手を好きにならないと、「好き」っていう感情を出すことができないと思うんです。それは片思いだったり両思いだったり。どんな設定でも、作品の中で相手に恋しないと難しいなって思います。
Q:では今回のキャラクターには、どうアプローチされましたか?
福士:僕は高校時代に原作を読んでいて、「演じるなら、蓮!」と思っていたくらい、思い入れがありました。でも、蓮はあまり自分の気持ちを主張しないし、そういうシーンも少ないので、彼の思いをどうやって伝えればいいのか、ものすごく悩みました。
有村:仁菜子はすごくかわいい子だなと思うんです。「好き」という気持ちを大切にしているし、好きな人のために一生懸命になる。周りから見ると、それは自分本位で勝手に思われちゃうかもしれない。だけど、わたしもそんな仁菜子みたいに蓮くんに恋をしたいなと。その思いを大事にして演じました。
あざとさと紙一重の演技
Q:廣木隆一監督とは、どんな話をされましたか?
福士:廣木さんは、最初から細かく演出される方ではなくて。だから、蓮が少しずつ自分の気持ちに気付きながらもそれを押し隠そうとしたり、だけど、耐え切れずに仁菜子に告白したいと思ったり。そんな感情の流れをどう出していけばいいのか、僕が悩んでいたら、気持ちをくみ取ってアドバイスしてくださいました。
有村:わたしの場合は、「仁菜子はよくこける女の子なんだよね。ドジだし、ちょっと抜けているところがある。だけど、そこを意識して演じるとあざとく見えるよね」という話をされて。わたしも仁菜子がそんなふうに見えてしまうのはイヤだなと思ったので、「蓮くんが好き」という思いだけで撮影に臨んでいました。
Q:報われない恋と知っていてもいちずに蓮を思う仁菜子に蓮も少しずつ惹(ひ)かれていきますが、そんな距離感についてお二人で話し合ったりしたのですか?
有村:新潟でロケしたときはみんなで一緒にいるというシーンが多くて、二人で話すことがなかったんです。電車内でのシーンや二人でいるシーンは東京に戻ってからだったので。というか、実際に二人で話すシーンってあんまりないんですよね(笑)。
福士:そうそう、蓮は麻由香(佐藤ありさ)と、仁菜子は安堂(山田裕貴)と同じシーンで一緒にいることが多くて。結果として、それがいい距離感につながったのかもしれません。
それぞれのベスト胸キュンシーンは?
Q:電車でのシーンなど、数々の胸キュンシーンがありますが、お気に入りのシーンはどこですか。
有村:その電車の中で、蓮の肩に仁菜子もたれ掛かるシーンが好きです。
福士:へぇー、そうなんだ。
有村:蓮くんが学校帰りに倒れてしまって、仁菜子が夜まで看病するのですが、帰りの電車で、仁菜子が寝ちゃって。それを蓮くんがそっと見てくれているところは、胸キュンですね。
福士:僕が好きなのはそのシーンの後です。蓮が仁菜子を駅の改札の方まで送るのですが、彼女が「やっぱり見送るよ」と言っても、蓮は「今日は遅いから帰りな」と断って、そこで別れるんです。でもその後「やっぱり見送るよ!」って仁菜子が全力の笑顔で階段を駆け下りてくる。そのシーンが結構好きで(笑)。原作を読んでいたときから、好きだったんです。
Q:蓮を演じていて、好きなシーンはどこですか?
福士:蓮が仁菜子に告白するシーンです。僕自身、演じたときはとてもやりづらかったんですが、ひょっとしたら、蓮自身もそうじゃないかと思ったんです。蓮は主張するキャラクターではない。それなのに、仁菜子への気持ちが抑え切れなくなって自分の気持ちを言う。すごく勇気が要ることだったと思うんですけど、完成した作品を観たら、とてもステキなシーンになっていてうれしかったです。
誰もが共感できる青春の1コマがある
Q:劇中では、遠足や学園祭など、誰もが自分と重ねたくなるような高校生活が描かれていますが、演じていてお二人が懐かしく思い出された高校時代のイベントは何でしょう?
有村:わたしは遠足を思い出しました。高校1年生のときに、滋賀の琵琶湖に行ってカヌーをしたんです。その後にバーベキューをして、楽しかったですよ。
福士:僕は学園祭を思い出します。高校時代、ダブルダッチ(2本の縄を使って跳ぶ縄跳び)をやっていて、学園祭でパフォーマンスしたんです。僕がMCをやったので、ものすごく思い出に残っています。
Q:では、そんな学生時代のことも思い出しながら、もし自分が誰かを好きになったら自分から告白するほうですか、それともされるほうがいいですか?
有村:できれば、相手からしてもらいたいですね。でも、我慢できなくなったら自分から告白します(笑)!
福士:僕は自分から告白したいタイプです。でも、蓮みたいに「壁ドン」はしないです。なかなかシチュエーションとして難しいと思いませんか(笑)。
Q:これから映画を観る方へメッセージをお願いします。
有村:好きな人に好きな人がいても、「好き」と言う。好き、好き、好きという空気がいっぱい。原作でも「『好き』が積もっていく―」というキャッチコピーがあるんですけど、その表現がぴったりに思えるんです。そして胸キュンだったり、片思いの切なさがストレートに伝わってくる作品なので、そういうところを楽しんで共感してもらえたらいいですね。
福士:登場人物がみんな片思いをしているので、もどかしくもあり、応援したくもなると思うんです。だから見終わってもきっと気持ちがいい。原作は少女漫画だけれど、リアルな世界観を描くような映像です。ぜひこの世界に没頭してもらえたらと思います。
今一番勢いのある二人。新たな作品も待機する中で、名匠・廣木監督の下、ラブストーリーに挑んだ。目をキラキラと輝かせて作品の魅力を語る言葉の端々から、確かな手応えをつかんだ、そんな自信が見て取れた。
(C) 2015 映画「ストロボ・エッジ」製作委員会 (C) 咲坂伊緒/集英社
映画『ストロボ・エッジ』は全国公開中