『ポケモン・ザ・ムービー XY「光輪(リング)の超魔神 フーパ」』藤原竜也&中川翔子 インタビュー
妄想の憧れの君が苦しむ声に、しょこたん大興奮!
取材・文:斉藤由紀子 写真:高野広美
通算18作目となるポケモン映画『ポケモン・ザ・ムービー XY「光輪(リング)の超魔神 フーパ」』。今回は砂漠の町「デセルシティ」を舞台に、あらゆるものを取り出せるリングを持つポケモン・フーパと出会ったサトシたちが、邪悪な気配を発する伝説のポケモンたちと壮絶なバトルを繰り広げる。ゲスト声優としてフーパと共に育った青年バルザを担当した藤原竜也と、バルザの妹メアリを担当した中川翔子が、アフレコの感想やポケモンの魅力について語った。
伝説のポケモンがカッコいい!
Q:藤原さんはポケモン映画のアフレコに初参加。いかがでしたか?
藤原竜也(以下、藤原):オファーを受けたときは伝統あるポケモンの映画なので、「僕で大丈夫なのかな?」って何度も確認させてもらったんです。まだ台本も読んでいなかったですし、世界観にも詳しくない状態だったので、簡単にお受けしていいものなのか少し悩んだんですよね。でも実際に参加してみて、豪華なメンバーに囲まれたすごく楽しい環境の中で、新しい仕事の面白さを味わわせていただきました。
Q:中川さんは今回で9作連続での声優出演。思い入れもひとしおなのでは?
中川翔子(以下、中川):今でもつい昨日のことのように、お小遣いをためてポケモンのゲームを買いに行ったことを覚えていて、その気持ちのまま気が付いたらレベル30(30歳)になっていた感じです。今でも夢のような気持ちです。ポケモンから人間の男の子、アンドロイドまで、いろんな役をやらせてもらっているんですよ。
藤原:(中川の出演資料を見て)わ、ホントだ。
中川:今回のメアリは自分にはない強さがあるステキな女の子で、大人になってこそ染みるキャラ。9年間のただ「うれしい」という気持ちだけじゃなくて、わたしの経験値を全て出せたらいいなと思いました。これまでは「しょこたんの声だ」って思われるのがいやだったので、なるべく自分を消してやろうとしていたんですけど、今回はそういった物理的なことではなく、ポケモンの世界で生きているメアリとしてどう景色を見るか、気持ちの部分を大事にしました。今までの中で一番難しかったけど、一番楽しかったです。
Q:伝説のポケモンが一堂に会する本作は、ポケモン映画シリーズの集大成のような作品でもありますよね。
中川:そう、伝説のポケモンがオールスターな感じで登場するんですよ!
藤原:実際に映画を観て、勢ぞろいしている姿は本当にカッコいいなと思いましたね。あらためてポケモンの魅力に気付きました。ストレートな中にも、人の胸を打つような温かさがあるんです。すごくシンプルなんだけど、子供だけでなく世代を超えて人々に感動を与える作品になっている。制作側が本当によく考えて作っているなと感心しました。
藤原の苦しむ声に中川が大興奮!?
Q:「ポケモン映画」常連組の中川さんから見て、今回の藤原さんのアフレコはずばりいかがでしたか?
中川:わたしがアフレコをしたときは、藤原さんの声はまだ入っていなかったんです。なので、ものすごく楽しみに試写を観させてもらいました。バルザが闇の力に乗っ取られて「クッ!」って苦しむシーンがあるんですけど、そこで大変興奮しました(笑)。
藤原:アハハ(笑)。
中川:わたし、ダメージで苦しんでいるシチュエーションに萌えてしまうんです。バルザが体を張ってフーパを守ろうとするところとか、もうめちゃくちゃカッコよかったです!
Q:ということは、藤原さんは中川さんが先に入れた声に合わせてアフレコをされたんですか?
藤原:そうですね。僕はポケモン映画のアフレコに戸惑いなども感じていましたし、どういうふうに進行するかもわからなかったので、しょこたんの声にすごく助けてもらいました。メアリという役を見事に成立させている彼女に引っ張られるがまま、声を入れさせてもらっていました。逆に、しょこたんは大変だったと思います。僕のいない中で入れていたわけですから。
中川:ありがたきお言葉過ぎます! わたし、中学生のときに藤原さんの舞台を観て感動して、藤原さんのイラストを描いていたことがあるんです。すごく気持ち悪いんですけど(苦笑)。
藤原:「身毒丸」(蜷川幸雄演出の藤原デビュー作)を観てくださっていたんですよね。
Q:そこまで感銘を受けた藤原さんとのアフレコ共演。かなりテンションが上がったのでは?
中川:いやもう、うれし過ぎますよ! 妄想が現実化したような感じです。実写でどんなに難しい人物でも演じてしまう藤原さんが、2次元でも完璧にバルザになっていて、2次元も3次元も制覇されていらっしゃるから本当にすごいです!
藤原:制覇なんてしてないですよ(笑)。でもね、僕はしょこたんがすごいと思う。山寺(宏一)さんもそうですけど。声優というのは本当に奥の深い仕事だと思いますね。「ただ声を入れればいいということではない」と学ばせてもらいました。やはり、長いこと第一線で声優として活躍されている方には、ちゃんとそこに立ち続けている理由があるんでしょうね。
ポケモンの力で黒歴史を消してほしい!
Q:“自分の中の闇と闘う”というテーマも持つ本作。お二人は、ご自身の闇の部分と闘った経験はありますか?
藤原:僕はないですねえ。
中川:えっ! ないなんてさすがです! わたしなんて、昔からスーパーネガティブなので、学生時代は友達のグループに入り損ねて悩んだり、今でもコンサートの直前に、「わたしなんて誰も望んでないんだよ」とかネガティブ妄想がいくらでも浮かんでくるんです。でも絵を描いたりゲームをしたり、好きなことに没頭していると落ち着くんですよ。友達があまりできなかった10代は、ポケモンのゲームにすごく助けてもらいました。今は、自分の孫と一緒にポケモン映画を観るのが夢なんです。それがかなう日のことを考えると、生きるのが楽しくなります。
Q:ちなみに、物語のキーとなるフーパは何でもお取り寄せできるポケモンですが、今ここにフーパがいたら何を取り寄せてもらいたいですか?
中川:一緒に藤原さんの姿をイラストに描いていた中学時代の仲間がいるんですけど、たまに「おまえの描いた絵が残っているぞ!」って写真を送ってくるんですね。それをいつか焼却したいと考えていたので、フーパに黒歴史のイラストを「おでまし」してもらって、今すぐ破りたいです。わたしたち、自分が主役の気持ち悪い漫画をたくさん描いていたんですよ(苦笑)。
藤原:それ、面白いじゃないですか(笑)。僕はね、この間千葉から果物を取り寄せたんですけど、あまり品質の良くないものだったから相手が謝ってきたんです。だから、新しく品質の良いものを取り寄せたいと思います。
Q:では、最後に本作の注目ポイントを教えてください。
中川:17年前に第1作が公開された頃はちびっ子だった人ももう大人になっていて、ポケモンは久々という方も多いと思いますが、サトシやピカチュウたちが一生懸命に今を生きている姿やセリフには、生きるためのヒントがたくさんあります。ぜひ大人の皆さんに観ていただきたいです。
藤原:篠原(信一)さんが、バルザに負けず劣らずの重要キャラクターで出ていますので、ぜひ! そこに注目していただきたいですね(笑)。
子供の頃から親しんだポケモンへの思いを語り始めると、止まらなくなってしまう中川。そんな彼女を笑顔で見守りつつ、時折「へえ!」と感嘆の声を発する藤原。二人の間にはポケモン上級者がビギナーに魅力を伝えているような、ほほ笑ましさがあった。過去の映画版に登場したポケモンたちが勢ぞろいする本作は、子どもたちはもちろんのこと、かつてポケモンに夢中になった大人の心も刺激することだろう。
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