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『のぞきめ』板野友美 単独インタビュー

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『のぞきめ』板野友美 単独インタビュー

初めて“板野友美”から離れて役づくり

取材・文:高山亜紀 写真:尾鷲陽介

アーティストとして活動してきた板野友美が、満を持して映画『のぞきめ』で初主演。怖がりの彼女が挑んだのは意外なことにホラー映画で、彼女自身今までも日常で感じてきたという「見られる恐怖」を演技で表現し、女優としての自覚も芽生えてきたという。ヒールをスニーカーに履き替えて挑んだテレビ局のAD役は彼女自身にも大きな刺激になったといい、今後はアーティストとしてだけでなく、女優としても活動していきたいと意気込む。

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演技をしてみたいという思いはずっと持っていた

板野友美

Q:「初主演映画を」と聞いたときはどう思いましたか。

うれしかったんですけど、昔からすごく苦手だったホラー映画だと聞いて不安でもありました。以前から演技はやりたかったんですが、そんなに経験もない自分が主演として演じ切れるのか、そこも心配でした。

Q:アーティストのイメージが強いですが、女優業をやらない理由などはあったんですか。

AKBの頃にメンバーとして演技させてもらったり、ちょっとした役で出させてもらったりしたことはありました。とはいっても、自分のキャラクターに沿った役が多かったので、今回演じた主人公・彩乃のような「自分とは見た目も性格も違う人」になりきって演技してみたいという思いは以前からずっと持っていました。ただ、最初から思い描いていた目標はソロデビューしてアーティストとして活動することだったので、卒業してからはまずはそっちに専念したいという思いがありました。

Q:満を持しての主演デビューですね。事前に準備はしましたか。

彩乃はテレビ局のADの役なので、まずは見た目からイメージチェンジが必要でした。「ADさんってどういう仕事?」「どんな髪型や服装をしているの?」っていろいろ考えたり調べたりするうちに、人のことをよく観察するようになって。これまでは、自分自身のイメージや自分のやりたい音楽に合ったものを中心に考えていたので、とても新鮮でした。今まで思いもしなかったことだったので、女優さんって人間観察も仕事の一環なんだと実感しました。

Q:自分からメイクやファッションの提案をしたりしましたか。

アーティストの仕事のときは自分主導でやりたいことを提案していかなければならないんですけど、女優の場合は、周りの意見をよく聞いて自分が染まっていくような感覚。特に今回は初めてということもあり、皆さんの意見をすごく参考にして役づくりさせていただきました。監督ともよく話し合ったんです。髪型は雰囲気をがらりと変えた方がよいと言われたので、黒くして、前髪も切りました。普段はヒールしか履かないんですが、衣装部の皆さんの意見を参考にスニーカーを履いたり。そうやって彩乃になったわたしは、わたしなのに板野友美ではないという気持ちが強くて、楽しかったです。自分について新たな発見もありました。

Q:どんな発見でしょうか。

見た目もそうですし、話し方や歩き方もそうですね。自分がいつもどんな風に喋ったり歩いたりしているか、特に意識したことはなかったんですが、監督から「彩乃はしっかりした芯のある女の子だから、演技のときはもっとてきぱきと」と指導を受けて、普段のわたし自身を見つめ直す機会にもなりました。

叫んだり泣いたりするうちに、どん底の精神状態に

板野友美

Q:彩乃は実に大胆で勇気のある女の子ですよね。

ホラーは苦手なので、わたしなら、呪われるかもしれない場所にはわざわざ行かないと思うんです(笑)。でも彩乃の場合、自分が連れ出したせいで彼氏が呪われてしまう。彼を救うためにそういう行動をとったということは間違いではないと思います。

Q:撮影中、辛かったことはありましたか。

ホラー映画の撮影って怖いのかなと思ったんですけど、現場はそんなことはまったくありませんでした。ただ、クライマックスで彩乃が精神的に追い詰められてしまう場面を撮影しているとき、演技とはいえ、叫んだり泣いたりしているうちに自分の気持ちがどんどん入り込んでしまって……。撮影だとわかっているのに同じような精神状態になってしまい、そのときは本当に辛かったです。ちょうど同じ頃、去年発売したシングル「Gimme Gimme Luv」を制作中だったんですが、それがすごく明るい曲だったので気持ちが切り換えられました。『のぞきめ』の撮影も全力で頑張ろうと思えて。

Q:女優とアーティスト、いいバランスになりそうですね。

わたし自身もそうですが、世の中的にも「板野友美=アーティスト」のイメージが強くて、なかなかギャップを出しにくいと感じていました。演技の仕事を通して、もっと違う板野友美を見せられたら、どちらにもプラスになると思っています。

Q:エンドロールではご自分の曲がかかりますね。

不思議な気持ちだったけど、最後に自分の曲がかかるとうれしかったです。「HIDE & SEEK」は『のぞきめ』を意識して作りました。ロック調でかっこよくて、普通に聞いたら、恋愛にも重ねられるような歌詞になっているんですが、途中で「気づいて」というささやきを入れたり、よく聞くと怖いはず。『のぞきめ』の後に聞くと、すごいホラーです(笑)。

日常的に感じていた「のぞかれる恐怖」

板野友美

Q:「見られる恐怖」みたいなものはこれまで以上に強くなりませんでしたか。

昔から、ホテルや知らない場所の換気口や空調などが苦手で、髪の毛が降って来たらどうしようとか、目が見えたらどうしようと思っていたところに、このお話だったんです。わたしのなかで一番怖い、日常に起こりうる恐怖の「誰かにのぞかれているかもしれない」という不安を描いたお話なので、最初からとても共感していました。でも、意外と演技しているうちに、怖くなくなったんです。隙間に目玉を置いて、そこから見られているシーンを何度も撮っていると、それが当たり前に思えてきて。だから今度、もしホテルの換気口で目玉を見つけたとしても、「撮影だったかな?」って平気だと思います(笑)。とはいっても、今回の映画の告知やイベントのときに、急にのぞきめちゃんが現れたり、スタッフさんが嫌なサプライズをしてくれるので、それは恐怖でしかありません(苦笑)。

アーティストとして、女優として

板野友美

Q:主演映画1本撮り終えて、女優として大きな自信になりましたか。

アーティストとして、ミュージックビデオや歌番組でカメラに撮られることはずっとしてきたことなので、慣れているというか、「ここから撮られるなら、こういう顔」「こう見せたいからこういうポーズ」と経験上判断できます。だけど、女優としては別。自分が怒ったり叫んだりしている姿は今回の試写で初めて見たので、「こういうときはもっと大げさにした方がいいんだ」「自分では小声のつもりでも劇場ではこんなに響くんだ」とか後で勉強になったこともたくさんあります。今度演技をするときは、そういうことも予想して演技していきたい。『のぞきめ』の後に中国映画『雨衣(レインコート)』でも主演をやらせてもらったんですが、ラブストーリーだったので、同じ映画とはいえ何もかも全然違いました。もちろん、同じ役なんてひとつもない。女優の仕事って、ものすごく幅が広い。今後もいろんな役に挑んでいきたいです。


板野友美

寡黙でクールな女性というイメージを持っていたが、実際に会ってみると、自分の言葉でしっかりと話す真摯な態度が印象的。それだけセルフプロデュース力に長けているのだろう。これまではアーティストとしての板野友美を大切に、それを前面に出してきた彼女。これからは女優として、これまでとは違う面をちょっとずつ見せてくれるに違いない。まずは『のぞきめ』で、彼女自身ですら初めて見たという姿を堪能してほしい。

ヘアメイク:宮本由梨(roraima)/スタイリスト:MANA KOGISO

映画『のぞきめ』は4月2日より全国公開

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