『ゴーストバスターズ』クリステン&メリッサ&ケイト&レスリー 単独インタビュー
泣かせるより笑わせる方が大変!
取材・文:山口ゆかり
1980年代当時、乗りに乗っていたコメディー俳優が集い大ヒットとなった『ゴーストバスターズ』を、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』のポール・フェイグ監督がリブート。フェイグ監督が新バスターズに選んだ、今、最も乗っているコメディー俳優はなんと4人の女性たち! まさに大抜擢を受けたクリステン・ウィグ、メリッサ・マッカーシー、ケイト・マッキノン、レスリー・ジョーンズが本作について語った。
コメディーの新境地を開いたオリジナル
Q:オリジナル版の『ゴーストバスターズ』はご覧になっていましたか?
レスリー・ジョーンズ(以下、レスリー):高校生の頃に観たのだけど、ゴーストの映画で、しかもビル・マーレイが出ていて、『ブルース・ブラザース』で大好きなダン・エイクロイドに、シガーニー・ウィーヴァーも出ているし、リック・モラニスはとってもキュートで! 本当にすごい映画だと思った。
ケイト・マッキノン(以下、ケイト):最初に観た時は幼かったから、ただ単純に面白いと思ったけど、大人になってより映画やエンターテインメント全般について学んでから観たら、ゴースト、テクノロジー、コメディーといった要素を組み合わせるアイデアのユニークさ、そして、それがしっかりと功を奏していることに気がついたの。素晴らしい映画だわ。
メリッサ・マッカーシー(以下、メリッサ):私は今回、6歳と9歳になる自分の子供たちと観たの。彼らはもう夢中! 9歳の子なんて、役所の人間がバスターズの忠告を無視するシーンで「ゴーストが来るのに! 誰も話を聞かないんだから!」とカンカン(笑)。「クレイジーなスポーツファンがテレビに向かって叫んでるみたいよ」と言ってやったわ。子供でさえ、それほど引き込まれるのね。
クリステン・ウィグ(以下、クリステン):みんなが作品と共に育っていく。クラシックよね。
ラッキーすぎる大抜擢
Q:それほどの成功作のリブートに参加されるのはいかがでしたか?
クリステン:ゴーストバスターズになれるなんて興奮したわ! 光栄なことよ。それに、(これまでにもフェイグ監督と組んだスタッフ、キャストが多数参加していて)ファミリーが再結集したような感覚もあった。
メリッサ:ポール(・フェイグ監督)とみんな一緒で、面白い撮影になると思ったわ。
レスリー:同じ学校に通っていた者同士が集まった感じよね。
ケイト:そう、偉大なコメディー学校に入学できたみたい。ラッキーすぎて何かの間違いじゃないかと思ったほどよ(笑)。でも一番ひかれたのは、女らしさを強調していない役だっていうところ。私の子供時代のヒーローは「X-ファイル」のダナ・スカリー捜査官(ジリアン・アンダーソン)だったの。FBIエージェントかつドクターで、かっちりしたスーツ姿のスカリーよ。ああいう役がやりたいと思っていた。見た目より中身が重要なの。だから、この役に飛びついたわ!
バスターズが女性になった!
Q:今回は、バスターズが女性になったことでも注目されていますね。
メリッサ:何も特別なことではないわ。女の4人チームなんて、いくらでもあるもの。もちろんクールだし、女性チームになれたのはうれしいけれど、革命的というほどのことではないはずよね。
クリステン:本当にそう。大げさに、それもネガティブな意味で扱われると、まだ世の中にそういう考えの人がいるのかと思って、残念だわ。
ケイト:役を全うしようとしただけだから、私たちの誰もジェンダーについて考えたりはしなかった。男性、女性にかかわらず、役をもらった役者がやることを、ただやっただけよ。
レスリー:そう。良い映画を作ろうとしただけよね。
クリス・ヘムズワースの演技に爆笑
Q:コメディエンヌとして大活躍の皆さんですが、人を笑わせるのが得意だと気がついたのはいつごろでしたか?
レスリー:こうしてコメディエンヌって仕事に就くまで、コメディーをやっているって意識はなかったわね。ただ、自分はクレイジーだと思っていた。人を招いてパーティーをしては、何かをやらかして笑わせるのが大好きだったから。コメディーを意識したのは、それを仕事としてやるようになってからね。
ケイト:私は単純に、誰かの口真似をするのが好きだったの。馬鹿にするのではなくて、その人の頭の中に入り込みたくて話し方をマネるのよ。そしたら、それが仕事になっちゃった!
クリステン:人を笑わせるのが得意と自分で言ったことはないわ。そうあろうと努力はしているけど。笑いのセンスはその人自身を表すし、コメディーの世界は休みなく変化し続けているから、それを感じ続けなくてはいけない。
メリッサ:私はそのキャラクター特有のものの見方をとらえるようにしている。その人が真剣だったり、大事に考えていたりする何かが、はたから見ると奇妙なことだったりする。そういうことが私にとってはおかしいの。
Q:人を泣かせるのと笑わせるのは、どちらが難しいのでしょう?
メリッサ:笑わせる方ではないかしら。笑いのセンスは人によって違うから、とてもトリッキーよ。
Q:受付係のケヴィンを演じたクリス・ヘムズワースのコメディアンぶりには驚きました!
クリステン:最初に彼と撮影をしたのが、ゴーストバスターズに応募してきたケヴィンと面接をするシーンだったんだけど、もうおかしくって。
メリッサ:その撮影風景を撮った写真があるんだけど、私とケイト、クリステンったら、涙を流して笑っているの。クリスは次から次へと、違う種類のおかしい演技をその場で繰り出してきたわ。あんなに面白い人だったなんて、知らなかった!
ゴーストバスターズが幽霊に立ち向かっていく大筋はオリジナルを踏襲しつつ、新しいストーリーが展開する本作。女バスターズにマスコットボーイ的なクリス・ヘムズワースの組み合わせも見どころだ。心意気を感じさせるバスターズに対し、そのお馬鹿ぶりが際立つ受付係になっている。明るく周囲を笑わせながらも、映画をジェンダーの観点からばかり論じる風潮には冷ややかに反応してみせた4人からは、クレバーな視点を感じた。そうでなくては、人を笑わせる仕事は務まらないのかもしれない。
映画『ゴーストバスターズ』は8月19日より全国公開