『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』レニー&コリン 単独インタビュー
セルフパロディーなんかじゃない!
取材・文:吉川優子
レニー・ゼルウィガーが、太り気味でドジだが、愛さずにはいられない主人公を演じ、世界中で大ヒットしたロマンチックコメディー『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズが12年ぶりに戻ってくる。1作目の監督シャロン・マグアイアが手掛けた待望の第3弾『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』で、43歳になったブリジットは未だに独身だが、はからずも妊娠。父親は、かつての恋人マークか、アメリカ人起業家ジャックのどちらか。2人の間で彼女の心は大きく揺れ動くというストーリー。相変わらず息の合ったところを見せるレニー&マーク役のコリン・ファースが、新作への思いを語った。
ブリジット、子供を持つ最後のチャンス!
Q:3作目を作るのに、なぜこんなに長くかかったんですか?
レニー・ゼルウィガー(以下 レニー):私はある意味、時間がかかって良かったと思うの。ブリジットの成長が、もっと意味のあるものになったからよ。ちょうどいい時だと思えたわ。彼女は今、人生の新しい節目に直面しているの。子供を持つ最後のチャンスなのよ。年を重ねているから、数年前よりもリスクが大きくなっているの(笑)。
Q:久々にブリジットを演じてみていかがでしたか。彼女は今テレビプロデューサーになっていますが、自然に入っていけましたか。
レニー:とても馴染みのあるところに戻る感じだったわ。準備のプロセスも同じだった。彼女がここに至るまでに、どのように成長してきたかを掘り下げないといけなかったの。彼女がどのように変わったか、または、変わらなかったかについて。私は彼女の失敗やぎこちなさにとても共感できるの。誰かが何かに一生懸命トライして失敗するところを見るのはとても可笑しいものよ。彼女のセリフを言うのはとても楽しかったわ。
Q:あなたにとって、ブリジットはどういう存在なんですか?
レニー:こんな役にめぐりあえるだろうとは思ってもいなかったわ。彼女を演じることは、私の人生を大きく変えることになった。それは素敵な贈り物ね。セットで素晴らしい友情を育むことができたし、とてもクリエイティブな経験にもなった。多くの人々に愛されるキャラクターに命を吹き込むことができるなんて、私は本当にとても恵まれていると思うわ。
マークのセリフはできるだけカット!
Q:マーク・ダーシーを再び演じるにあたって、特に気をつけたことはありますか?
コリン・ファース(以下 コリン):僕が読んだ初期の頃の脚本には、彼がどれほど彼女を愛しているかとか、彼がどう感じているかについて話すところがあったんだ。「これは僕のダーシーじゃない」と思ったよ。彼をまるでダニエル・クリーバー(前2作に登場したヒュー・グラント演じるマークの恋敵で、今作では死亡した設定になっている)のようにしているとね。マークはそういうふうに自分の気持ちを表現できない人なんだ。だから、セリフの量を減らすようにしたんだよ。
Q:今作でもっとも挑戦的だったことは何でしたか。
コリン:観客が前の2作で好きだったマーク・ダーシーを届けないといけない、という責任を感じたことかな。あれ以来映画を観ていなかったから、それがどういうものか覚えていなかったんだ。どんなトーンだったかとか、彼がどんな人だったかということを思い出すために、映画を観直さないといけなかったよ。
Q:レニーとまた一緒に仕事をしてみていかがでしたか?
コリン:素晴らしかったよ。彼女はいつも陽気で、どんなことでもやる気満々だった。僕にとって、今作はこれまででベストのブリジットだと思う。全部大好きだけどね。でも、3作の中で、このパフォーマンスが一番好きなんだ。とても生き生きしていて、真実だと感じられる。時々泣けるし、たくさん笑わせてもくれる。でも、決してセルフパロディーとかじゃないんだ。レニーは、過去の何かを復活させようとしているわけじゃない。彼女は、ブリジットはまさに今生きていると感じているんだ。とても新鮮だと思ったよ。
自分に約束したことに挑戦!
Q:レニー、あなたはここ6年ほど女優業をお休みしていましたね。何をしていたんですか?
レニー:数年間、私が一緒に脚本を書いているパートナーとテレビ番組を作るのに忙しかったの。パイロット版を撮影したのよ。学校に行って、脚本の勉強をしたりもしたわ。女優の仕事は素晴らしいし、エキサイティングだけど、とても忙しくて、人生でトライしてみたかった他のことを何もできなかったの。それで、大学時代に自分に約束したことをやろうと、意識的に決めたのよ。人間として成長したかったから。結局、作った番組は売れなかったけど、ビジネスを違う観点から理解できるようになったし、とてもいい経験だったわ。
Q:今作もそうですが、今話題になっている女性の社会的地位向上についてどう思いますか。女性は以前よりもパワーを持てるようになったと思いますか?
レニー:そうね、何かが起きていると感じるわ。私は、女性が自分の道を決め、パワフルで重要な地位にいることを当然のことと思って育ってきたの。社会が女性に期待している規範からはずれてね。私たちは、ヒラリー・クリントンとか前の世代の女性たちがやってきたことに対して、十分に感謝していないと思う。なぜなら、そういう苦労をそれほどしなくてよかったからよ。それは、ある意味喜ぶべきことで、今起きている変化に関係していると思う。今、女性たちは疑問を持たずに言いたいことを言い、やりたいことをやれるようになってきていると思うわ。
ブリジットとマーク、ジャックの三角関係を、存分に楽しめる今作。最後、ブリジットがどっちと結ばれるのかドキドキさせられるが、実は2バージョンを撮影していたというのが面白い。とはいえ、ヘマばかりするけどけなげで応援せずにはいられないブリジットと、うまく感情を表現出来ない堅物マークの関係が、やはり一番のみどころだ。批評家の評価も高い今作、再び世界中の女性たちの共感を呼ぶのは間違いないだろう。
(C) Universal Pictures
映画『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』は10月29日より全国公開