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『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』武井咲 単独インタビュー

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『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』武井咲 単独インタビュー

この世は誰かに支配されているゲームの世界みたい

取材・文:高山亜紀 写真:高野広美

人気アニメ「妖怪ウォッチ」の劇場版第3弾となる『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』の実写パートにバレエの先生、木下紗枝役で出演している武井咲。アニメと実写が融合した世界観が公開前から早くも大きな話題となっている本作で、武井は悲しみのあまりアニメの世界を実写に変えてしまう女の子カナミちゃんに、バレエだけでなく夢をあきらめない大切さを教える先生という重要な役割を担っている。

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「なんの妖怪になるんだろう」と思った

武井咲

Q:最初にオファーされたときの気持ちは?

不思議でしたね(笑)。そもそも声の仕事だと思いました。アニメと実写の世界が融合した映画だと聞いて、すごく珍しいし、観たこともない映画になるなと思いました。

Q:「妖怪ウォッチ」に対して、どういうイメージを持っていましたか。

以前は子供向けの作品だと思っていたのですが、わりと目に触れる機会が多くて、知っている情報はたくさんありましたね。特に音楽があんなふうに流行るのはすごいこと。大人も知っているじゃないですか。わたしが子供の頃は、子供しか聞かない曲は、大人は知らなかった。そこが国民的キャラクターなんだなと実感しました。

Q:武井さんは「ようかい体操第一」を踊ったこと、ありますか。

「ヨーでる」ですよね。一度もやったことないし、今回もその機会はなかったので、今度ぜひ、教えてもらいたいです(笑)。

Q:人気アニメの実写パートに出演すると聞いたときの気持ちは?

まず、「なんの妖怪になるんだろう」と思いました。よく聞くと、カナミちゃんという女の子の背中を押してあげる、心優しい先生でした。斎藤工さんや山崎賢人くんを見ると大変そうなので、わたしはこの役でよかったです(笑)。こういう作品に出るのもなかなかないことだったので、どういう存在になったらいいのかということをまず考えました。

ハイテクな妖怪ウォッチにジェネレーションギャップ

武井咲

Q:アニメ×実写の『妖怪ウォッチ』に実写キャラクターとして出演する。どんなことを意識しましたか。

わたしの役は実写の世界にしか登場しないオリジナルキャラクターなので、アニメの方は特に意識することはありませんでした。それよりも子役の方たちとこれだけ密に接する機会がこれまでなかったので、どうコミュニケーションを取ろうかなと。すぐに話してくれる子もいれば話せない子もいるから、本物の先生のようにその子に合わせたコミュニケーションの方法を見つける必要があります。撮影はバレエのシーンだけでしたが、カナミちゃんにとってはバレエが生きがいで、彼女のほかにも夢を持った女の子たちがたくさんいる。そういった世界の先生ということで、厳しくもありながら、夢を追い掛ける生徒さんたちの後押しをしてあげられるような役割ができたらいいなと思ってやっていました。

Q:子役の子たちにはどんなふうに接したのでしょう?

結構、いろいろ話しましたね。まずは「何歳なの?」から始まり、「いま何が流行っているのか」とか聞いてみたりして。さすがに「妖怪ウォッチ」はすごく流行っていました。みんな「妖怪ウォッチ」をしているんですよ。わたしの時代にはあんなハイテクなおもちゃはなかった気がします。のりしろ部分を貼るような、紙でできた箱みたいなものを喜んで作っていた記憶があります。

Q:バレエの先生の具体的なイメージはありましたか?

わたしは小さい頃にエレクトーンを習っていたんですが、先生がすごく一生懸命だったんですよね。当時は習い事って面倒くさくて、行きたくないと思ったこともあったけど、いま思うと、子供が楽しんで学べるよう、いろいろ工夫して丁寧に教えてくれていました。それが印象に残っているので、大人ではあるけれど、子供目線にも立てるような、厳しくはあっても明るい、生徒の味方になれるような先生を心掛けていました。

Q:武井さんが幼い頃、影響を受けた大人の女性はいますか。

やっぱり、お母さんが一番と思っていました。いつも絶対的な味方でいてくれるという信頼があった。たとえわたしが間違ったことをしたとしても、叱りはするけど、突き放さない。そういうお母さんの優しいところが好きでした。

子供の素直な言葉に感動

武井咲

Q:子供が観客ということは芝居もまた変わってきますか。

シンプルに演じようと思いました。撮影期間はすごく短いものだったので、そこで何が残せるのかって考えると、カナミちゃんに「夢をあきらめないことの大切さ」を伝えることが自分の大切な役目だと思ったんです。そのためには彼女の近くに寄り添って、理解し、応援してあげる。最後にはシンプルな思いだけが残っていました。

Q:1シーンに対する先生のセリフ量は意外と多めですよね。

カナミちゃんに悲しい出来事が起き、そのせいで世界が変わってしまう。それを唯一、知っているのが、バレエの先生だったので、それを伝える大事な役割もありました。「妖怪ウォッチ」らしい、くすっと笑えるような楽しさはもちろん、今回は実写版ならではの「夢をあきらめないで」という感動的なメッセージもあるんです。そこはカナミちゃんだけでなく、映画を観ている子供たちにも感じてもらいたいことですので、丁寧に演じようと心掛けました。

Q:実際にジバニャンと共演してみていかがですか。

まさか同じ作品に呼んでもらえると思わなかったので、うれしかったですね。こういったアニメーションに生身として出られるというのは貴重な体験ですし、衝撃でした。

Q:子役たちとの共演時のエピソードを教えてください。

お仕事はもちろん、学校や友だち関係もなんでも一生懸命頑張っているんだなと思ったら、見ているだけで心が打たれました。特に素直だなと思ったのがケータ役の南出(凌嘉)くんの言葉。監督から「今の、よかったけど、もう一回やろう」って言われたときに、「なんでよかったのに、もう一回やるの?」って聞いたんですよ。その通りですよね(笑)。大人との違いだとは思いますけど、そういうふうに思うのは面白いなと思いました。「あそこがこうだったから、こうしよう」なら、納得したと思うんです。でも大人が子供に気を遣ったことが、逆に子供にバレているのがおかしかったです。

今年は芸能界デビュー10周年

武井咲

Q:武井さんもデビュー時は学生でしたが、当時のことを思い出したりしましたか。

どちらかというと、わたしは仕事の方がやりたくて、勉強の方はおろそかにしていたから、もうちょっと勉強しておけばよかったなと反省しています(笑)、その頃から、ずっとお仕事させていただいているので、初心を忘れず。感謝の気持ちを思い出して、仕事をしていきたいと思いました。

Q:今年はデビュー10周年なんですね。

あっという間でした。モデルからスタートして10年。芝居のデビューはその約3年後ですが、まだまだですね。自分が思ったところで、何かやれるわけではない世界なので、タイミングが合ったときに、自分がどれだけ全うできるかが、一番なのかな。どんな時も。自分らしくいられたらいいですね。これまで通りいけたら幸せですけど、もっと頑張らないと、今のままになっちゃうから。作品をやる度に自分を成長させていきたいです。いまは時代劇をさせていただいていますが、学ぶことがたくさんあって。それを楽しみながら日々過ごしています。

Q:最後にケータは劇中、「この世界は毛穴世界」と言っていましたが、武井さんがこの世界を表現するなら、どんな世界だと思いますか。

いつもゲームみたいと思っているんです。みんながせかせか動いて、どこかに向かっていって、集まったり、離れたり……。なんだか誰かに支配されているみたい。だから都市伝説とか生まれるんだろうな、面白いなって思っています(笑)。


武井咲

中学生で第11回全日本国民的美少女コンテストに応募、みごとモデル部門賞とマルチメディア賞をダブル受賞。その後、モデルデビューし、今年で10年。本人は「あっという間だった」と振り返るが、多感な学生時代を経て、その間ずっと人気者でい続けるのは並大抵の努力では成し遂げられないこと。「『妖怪ウォッチ』になぜわたしが?」と当初は戸惑ったというが、夢を追い掛けることの大切さを伝える先生役は実に適任だったといえそうだ。

(C) LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2016

『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』は12月17日より全国公開

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