『銀魂』小栗旬&菅田将暉&橋本環奈 単独インタビュー
撮っても撮っても終わらない!アクションシーンとの戦い
取材・文:イソガイマサト 写真:杉映貴子
空知英秋による人気コミックを、「勇者ヨシヒコ」シリーズの奇才・福田雄一が実写映画化した『銀魂』。原作でも特に人気のある妖刀“紅桜”をめぐる物語を中心に展開する本作は、万事屋を営む銀髪パーマの侍・坂田銀時と少々ヘタれの志村新八、戦闘種族の少女・神楽の万事屋トリオが天下を揺るがす壮大な陰謀に巻き込まれていく。銀時、新八、神楽になりきった小栗旬、菅田将暉、橋本環奈が、原作の世界観と福田ワールドが高濃度で合体した『銀魂』の撮影を振り返った。
もしも銀さんに見えなかったら福田監督のせい!
Q:それぞれご自身の役にどのように臨みましたか?
小栗旬(以下、小栗):ハワイで福田雄一監督から「『銀魂』の坂田銀時をやってくれ」って言われた時は、「考えさせてくれ」って言ったんです。僕はコミックの実写化作品が続いていましたからね。でも、2日後に松橋真三プロデューサーもハワイに来たので……。
菅田将暉(以下、菅田):それはスゴい!(笑)。
小栗:それで、そこまで言うならと思ったし、原作者の空知英秋先生から「実写化するなら福田監督で」って言われた福田さんなので、きっと見えているものがあるに違いないと信じて出演を決めました。ただ、役の構築はすべて福田さんにお任せした感じなので、これは銀さんじゃない! という人は福田さんのせいだと思ってください(笑)。
菅田:僕も特に何もしていないです。テレビに出る時などは普段より2段階ぐらい明るい感じにするので、それと同じようなテンションにして。あとは新八の衣装と髪型、メガネに助けられたところがありますね。
橋本環奈(以下、橋本):私は撮影に入る前にアニメ版を観るように言われたのですが、神楽の特徴的な話し方、「~あるよ」のイントネーションが難しかったですね。やり過ぎてもダメだし、普通過ぎても神楽じゃないですから。でも、福田監督が「こんな感じにしてみよう」と言ってくれたので、監督にゆだねている感じでした。
Q:キャストほぼ全員が全力疾走してくる前半のシーンからおバカな笑いが全開でした。
小栗:あれは暑かった。特に僕の衣装はデニムのツナギだから汗でビショビショだった。
菅田:僕の衣装はジャージ素材だったんです。
橋本:汗を吸収してくれますね。
菅田:そう。だから、快適でしたよ。
橋本:神楽の衣装も暑かったですよ。首まで襟があるから汗をかいて困りましたね。
菅田将暉は一番“大変じゃなかった”!?
Q:福田監督らしいギャグも満載でしたが、カッコいいシーンとの切り替えはどのように?
小栗:福田さんにお任せです。セリフもすべて台本通り。アドリブは1つもありません。
菅田:マジすか?……絶対、嘘だよね。
小栗:嘘ついた(笑)。
橋本:テキトーじゃないですか(笑)。
菅田:ダメだぞ~と思った(笑)。でも、真面目なところと笑いとのバランスが『銀魂』のおもしろさだし、今回は紅桜が登場するのでアクションも欠かせない。稽古をしている姿でさえ見応えのある現場でしたけど、僕は「大変やな~」と言いつつアイスを食べてました(笑)。
小栗:菅田は一番大変じゃないから。(佐藤)二朗さんを刀で突くだけだもん(笑)。
橋本:お尻をちょんちょんって感じで(笑)。
菅田:あれはあれで別の緊張感があったけど、2人の前では「大変」とは言えない(笑)。
小栗:「その痛みには興味がある」だっけ? 二朗さんが本番でいきなり言ったんでしょ?
菅田:そうなんですよ(笑)。そんなセリフ、台本には一切書いてないですからね。
小栗:ふざけんなよ!(笑)。俺なんてめちゃくちゃ大変だったよ。アクションシーンは撮っても撮っても終わらない。岡田似蔵役の新井(浩文)くんとは10日は戦っていたからね。
橋本:いろいろなところで戦ってましたもん。
菅田:でも、環奈ちゃんもけっこうアクションシーンが多かったじゃん。
橋本:こんなに動いたのは初めてです。
小栗:ワイヤーアクションも練習したよね。
菅田:銃撃をかわすアクロバティックなアクションはどうやって撮ったの? 合間でちゃんと環奈ちゃんの顔がわかったけれど。
橋本:どうやって撮ったんだろう? 私は必死だったから、よくわかってないです。でも、バク転するところ以外はほぼ自分でやりました。
Q:来島また子役の菜々緒さんの足元でくるくる回るところもですか?
橋本:あれもたくさん練習しましたが、見た目よりすごくキツいんですよ。
小栗:あれは寝技で最初に習う動きで、あれができないとほかの寝技に進めないんだよ。
橋本:私も最初はできませんでした。
菅田:普通はできへんよ。
橋本:最初は半回転もできなかったし、どうやってやるんだろう? と思ってました。
菅田:でも、あのシーンは本当にカッコよかったよ。
橋本環奈のギャグに大爆笑!
Q:おもしろいシーンもいっぱいありましたが、みなさんのお気に入りのシーンは?
小栗:僕はやっぱり主題歌を歌わせてもらったオープニングですね(笑)。
橋本:出た~!(笑)
菅田:あれは名曲でしたね。
小栗:おかげで歌手デビューできたしね(笑)。
菅田:でも、何語かわからない歌詞も……。
小栗:アラビア語ね。
橋本:アラビア語にハングル文字が出て(笑)。
菅田:僕は、新八の姉ちゃんの妙(長澤まさみ)が銀ちゃんに「ドラゴンボール」を音読してあげるシーンが好きですね。
小栗:あれ、おもしろいよね~。
菅田:ドドン、ドン、バーンって擬音ばかり。
橋本:どのシーンなんだろうと思った(笑)。
小栗:それで「僕が負けるか~!」って(笑)。
菅田:全然わからへんやん(笑)。
Q:神楽を助けに行った新八が、途中からヘタレになっていくシーンもおもしろかったです。
橋本:あそこは普通に笑ってました。
小栗:あの撮影の前に「銀ちゃんの立ち方を見せてください」って言われたよね。
菅田:銀さん風の登場にしたかったので。身体の重心の置き方や手の抜き方、刀の差し方などを教わってやったのがあれ(笑)。なかなか決まらないから銀さんはスゴいですよ。
Q:橋本さんの振り切った演技にも笑わせられました。
菅田:また子に「しみつきパンツ~!」と言って動揺させるシーンはおもしろかった。一番笑ったのはあそこかもしれない。
小栗:あれはおもしろいよね。
橋本:でも、今考えるとなんであそこまでできたんだろう? という感じです。
Q:白目になるところも爆笑でした。
橋本:私も見た時はビックリしましたが、撮る前に監督が「こんな顔」って見本を見せてくれるので、それを真似して口と鼻の穴を開いて。でも、すべての穴を開くのってすごく大変なんだなと思いました(笑)。
菅田:すごいことを学んだね(笑)。
Q:小栗さんは今回、若いお二人と共演されてどんな刺激をもらいましたか。
小栗:刺激は1つももらってないけど……。
菅田:なんかあるやろ!(笑)。
橋本:そうですよ~(笑)。
小栗:存在に助けられたことはありましたね。銀さんが営む万事屋を3人で作っているというムードがあったから、そこは頼りになりました。
菅田:小栗さんは、カッコよく決めた後に「今の大丈夫だった?」って聞くんですよ。
橋本:それ、真似したな~(笑)。
菅田:だから、みんなで「カッコよかったです」と言うんだけど、あの瞬間はもう涙が止まらなかったな(笑)。
小栗:今のは俺をバカにしてますからね(笑)。そう、ちゃんと書いておいてください。
菅田&橋本:(爆笑)。
撮影現場の楽しさを伝える3人には、劇中のキャラクターそのままの空気感と距離感が感じられ、冗談と本音がポンポン飛び出す楽しい取材となった。「和気あいあいとした空気はどのようにでき上がっていったんですか?」と尋ねれば、「福田監督の現場はいつもこんな感じなんじゃないですか? 監督がずっと笑っていますからね」と語る小栗。壮絶なアクションの合間合間にくだらないギャグや冗談が詰め込まれた『銀魂』には、子供心をくすぐる楽しさがあふれている。
映画『銀魂』7月14日より全国公開