『スパイダーマン:ホームカミング』トム・ホランド&ジョン・ワッツ監督 単独インタビュー
スパイダーマンは日本へ行くべき!
取材・文:編集部・市川遥 写真:日吉永遠
ソニー・ピクチャーズとマーベル・スタジオの提携によって、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に組み込まれた初のスパイダーマン映画となった本作。アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr)に認められようと必死な15歳の高校生ピーター・パーカー(=スパイダーマン)をコミカルかつキュートに演じたトム・ホランドと、メガホンを取ったジョン・ワッツ監督が語った。
トムのインスタがピーター・パーカーに影響!
Q:本作には『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でのピーター・パーカーの自撮り映像が使われていますね。撮影するのは楽しかったですか?
トム・ホランド(以下、トム):ああ、だって彼(ジョン・ワッツ監督)の言うことを聞かなくてよかったからね!
ジョン・ワッツ監督(以下、ワッツ監督):僕にとっても簡単だったよ。ただ彼にカメラを渡して、ドアを閉めた。その映像を後で観たわけさ。
Q:このシーンから始めるというのはもともとのアイデアだったんですか?
ワッツ監督:そう、僕の初期のアイデアの一つだ。トムのInstagramにインスパイアされた部分もある。自分が宙返りしたり飛び跳ねたりした動画をすでにアップしていたから、「これだ。ピーター・パーカーもこれをやるはずだ」と思ったんだ(笑)。
Q:本作はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に初めて組み込まれたスパイダーマン映画となりました。ワッツ監督は脚本も執筆されていますが、MCUの時系列に混乱することはなかったですか?
トム:僕は混乱したよ。
ワッツ監督:本当? マーベルは素晴らしい“巻物”を持っていて、そこに全ての起きた出来事が記されているんだ。だからたとえ迷ってしまっても、マーベルの人が僕たちは今どこにいるのかを教えてくれる。MCUの時系列にぴったりはまるようにね。
トム:でもドクター・ストレンジがめちゃくちゃにしているよね。
ワッツ監督:うん(笑)。
トム:彼にかかると“巻物”も全く意味をなさないよ(笑)。
コメディーの才能は父譲り
Q:周りに高い建物が全くなくて、スパイダーマンがウェブスイングできないシーンが面白かったです。
トム:僕も好きなシーンだよ。すごくいいよね。今回のプレスツアーを通して伝えてきたのは、この映画がどれだけユニークかってこと。スパイダーマンは普通マンハッタンにいるものだけど、ジョンがうまくやったのは、スパイダーマンを僕らが今まで見たことのないシチュエーションに置いたことだよ。スパイダーマンが郊外にいるというのは、間違いなく今まで見たことのないものだよね。どこにもスイングできないから、ウェブシューター(手首からクモの糸を飛ばす機械)が役に立たないんだ。だからこのシーンを撮影するのはすごく楽しかった。彼が走り回って、高いビルなしでもスパイダーマンであることを示せるような、クリエイティブな方法を考えなくちゃいけなかったから。
ワッツ監督:このアイデアはとても古いコミックから取ったものなんだ。237号かな。この号でスパイダーマンは郊外で身動きが取れなくなる。ちょっとした過去作からのイースターエッグだよ。
トム:続編ではハワイで身動き取れなくなるっていうのは?
ワッツ監督:(笑)。僕はスパイダーマンは日本へ行くべきだと思うよ。クールじゃない?
トム:そう、東京タワーは想像していたよりずっと高かった。ザ・シャード(ロンドンにある超高層ビル)より高いんだ。
ワッツ監督:何かクールなことができると思うよ。
トム:ああ、すごくクールなことができると思う。
ワッツ監督:彼は日本に行くからって口ひげを生やしたんだ。
トム:うるさい!(笑) これは仕事のためだからね。選択肢があったのなら、絶対こんなことしないのに!(笑)
ワッツ監督:でもクールだと思うよ。
トム:ありがとう!
Q:トムさんはどうしてそんなにコメディーが上手なんですか?
トム:(笑)。父がコメディアンなんだ。だからその血を引いているのかも。でも多くのコミカルな要素は脚本から来ている。脚本がいいから、それを面白く演じるのはとても簡単なんだ。そしてスパイダーマンを面白いシチュエーションに置くから、本作における多くのコメディーは彼の身体性から来ている。僕はダンサー経験があるから、そうした“動き”はこのキャラクターに命を吹き込む助けになった。でも本当に脚本のおかげだよ。
ワッツ監督:君はタイミングの取り方がうまいからね! コメディーのタイミングをつかんでいる。
トム:ありがとう! それはきっと父譲りだよ。夕食のテーブルの周りで歌ったり、お話を聞いたりしていたから。
トムがすごくがっかりしたこと
Q:撮影現場の雰囲気は?
ワッツ監督:とてもシリアスだった。フフフ(笑)。
トム:クリス(トファー)・ノーランの映画みたいな(笑)。
ワッツ監督:とても静かで(笑)。誰も声を出してはいけなかった。
トム:(笑)。
ワッツ監督:うそ。僕は面白くしたかった。みんなに居心地よく感じてもらい、即興とか、違ったことに挑戦できるような環境にしたかった。俳優たちの交ざり具合も素晴らしかったし。オスカー受賞者がいれば、ジェイコブ(ピーターの親友ネッド役のジェイコブ・バタロン)みたいにこれまで映画に出たことのなかったような人もいる。だからみんなに安心してもらえたらと思った。
トム:IMDb(映画などのオンラインデータベース)の『スパイダーマン:ホームカミング』のページを見ていて、素晴らしい俳優がこんなに出ているのかと驚いた。クレイジーだよ。
Q:ドナルド・グローヴァーとの共演はどうでした?
トム:素晴らしかった。この映画で一番がっかりしたのは、彼がチャイルディッシュ・ガンビーノだって知らなかったこと。彼が撮影を終えて去ってしまうまでね。
ワッツ監督:本当?
トム:「チャイルディッシュ・ガンビーノって超クールじゃない?」って言われて、何だって!? どこにいた!? いついた!? って。「ドナルド・グローヴァーだよ」って言われて、あー……そうだったんだ……って。チャイルディッシュ・ガンビーノの音楽を聴いていたけど、彼の姿は見たことがなかったんだ。だからすごく悲しかった。僕が愛する彼の音楽について話せなかったから。
ロバート・ダウニー・Jrのシェフがご飯を作ってくれた!
Q:すでに続編のアイデアはあるんですか?
ワッツ監督:ああ、アイデアはたくさんある。でも話すことはできないよ(笑)。
トム:ジョンと会うのは約1か月ぶりなんだ。だから彼から続編のアイデアについて聞けるのを楽しみにしているよ。僕には言えないなんて言っちゃダメだよ。教えてくれなきゃ。
ワッツ監督:オッケー。でも今はシーッ。
Q:トムさんはこのプレスツアーを終えたら『アベンジャーズ』第4弾の撮影ですか?
トム:残念だけど、それは言ってはいけないことになっているんだ。
Q:では、アベンジャーズの中で一番の友達は誰ですか?
トム:それはRDJ(アイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr)に違いないよ。僕たちはとてもうまくいっていて、一緒にセットにいるのはとても楽しい。『アベンジャーズ』シリーズの撮影のときにケータリングがなかったことがあって、12時間近くセットにいたんだけど1日何も食べていなくて、ロバートに「ねえ、君のシェフが僕にご飯を作ってくれたりしない?」ってメールしたら、「いいよ!」って。それで彼のところへ行って夕飯を作ってもらった。すてきだったよ。本当に特別な瞬間だった。
ワッツ監督:なんだかおなかが減ってきたよ(笑)。
少年のようなルックスとは裏腹に頭の回転が驚くほど速く、テンポよく質問に答えていくトムと、そんなトムを兄のような眼差しで見守り、時にツッコミを入れていくワッツ監督。この日のインタビューの場で約1か月ぶりの再会を果たしたという二人は息もぴったりで、そんな兄弟のような関係性が本作の魅力につながっていると感じられた。
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映画『スパイダーマン:ホームカミング』は8月11日より全国公開