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『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』山崎育三郎 単独インタビュー

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『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』山崎育三郎 単独インタビュー

声のエネルギーに圧倒された

取材・文:高山亜紀 写真:尾藤能暢

いまや公開される度に社会的ブームを巻き起こす人気の劇場版『名探偵コナン』シリーズ。その第23弾『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』に、山崎育三郎がゲスト声優として出演している。今回、主人公のコナンたちが大活躍するのは初めての海外・シンガポール。山崎はコナンと敵対する犯罪行動心理学者で実業家の“シンガポールの名探偵”レオン・ローを演じた。セリフの約半分が英語という難役にあたり、相当なレッスンを重ねたらしいのだが……。

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低い声でささやく謎めいた紳士役

山崎育三郎

Q:オファーを聞いた時はどんな感想を持ちましたか?

『コナン』は子供の頃から当たり前のように観ていたアニメだったので、うれしかったです。最も注目されている日本の映画の一つですから光栄でした。サスペンス的な展開には子供ながらにどうなるんだろうとドキドキしながら観ていた記憶がありますが、大人になってから観ても楽しめる作品だと思います。

Q:今回の役柄、レオン・ローについて教えてください。

シンガポールの名探偵という設定で、かなり頭が切れて、見た目もダンディー。隙のないキャラクターなのですが、実は彼の野望がちょっと偏っているんです。つかみどころのない紳士なので、彼ならではの男らしさみたいなものを出せたらなという思いがありました。

Q:紳士というところが山崎さんのイメージに近いでしょうか?

どうなんでしょう(笑)。年齢的には自分より10歳くらい上だと思うので、声の出し方なども自分のなかで低めの音色を使ってしゃべっていました。

Q:監督からのリクエストはありましたか?

「低めの声で話してほしい」と言われたので、それに加えてゆったり、ゆっくり話をするようにしました。相手を洗脳したり、人を自分の世界に引きこんでいく時にはちょっとウィスパーボイスで耳元でささやいているような感じにしてみたり。演じてみるとふり幅の広い役どころでした。

英語セリフに誤算!?

山崎育三郎

Q:英語のセリフが多いと話題です。

英語での芝居はしたことがないので、完全に挑戦でした。レオンは日本語と英語をしゃべるんです。僕自身、高校生の時に1年だけアメリカに留学していたんですけれど、それ以来、英語を常に使っていたわけではないので、そこはかなり心配だったんです。アフレコ前の会見で(共演の)河北麻友子さんに「英語を教えてくださいね」って話をしていたんですけど、それぞれ収録は別々だったので、それ以降一度も会うことのないまま(笑)。自分で英語の先生をつけて、発音などかなりレッスンしてもらって本番に挑んだんです。ただ、自分の先生が話すのはイギリス英語。その先生から「シンガポールの身分が高い方たちはイギリス英語が多い」という話を聞いて、相当練習して行ったんですけど、現場に行ったら英語指導の方がアメリカ出身の方でけっこう直されてしまいました(笑)。

Q:せっかく練習したのに残念でしたね。

「おっと」と思いましたけど、そこは気持ちでぶつけていこうかなと気を取り直しました(笑)。なので発音は自信ないですけど、貴族らしい雰囲気を楽しんでください。

Q:会話とセリフは全然違うものでしたか?

使う英語が全然違いますから。僕が普段、日常でしかも高校生の時に会話しているような言葉は出てきません。当時は本当に簡単な言葉で過ごしていましたし、おまけに芝居となると声もしっかり出していかなければなりません。今回声優をやって思ったのは舞台と同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上の声量を使うんだなということ。映画やテレビで観ている時にはそういうものだと思っているから、そこに意識はいっていないんですが、自分がいざやってみると、ドラマの芝居のような感覚でやると全くその世界観に合わないものなんです。どうしても温度差が出てしまう。今回は僕以外のパートがすでに出来上がっていたので、それを聞きながらの芝居だったんです。声優さんたちの声のエネルギーがすごく強くて。同じ温度、熱量でぶつかっていこうとすると相当の声量というか、声の圧を使わなければなりません。収録の時は自分で練習していた何倍も声を張ってやりました。

集中して台本を読む場所は…?

山崎育三郎

Q:事前に自主的に練習していたんですか?

もちろん。セリフを声に出してみるのは家でというより、車の中が多いですね。車の中だと大きな声を出しても平気ですが、家でやると近所迷惑になります(笑)。自分で運転してどこかに移動して、車を停めてから台本を読む。ドラマなどのセリフを覚える時はぼそぼそ言いながら覚えられるので、カフェなどでもできますが、本当に声を張りたい時は車が多いですね。僕にとって集中できる場所です。

Q:子供の頃に見ていた『名探偵コナン』の世界に入り込んだ感覚はどんなものなのでしょう?

はじめは不思議な感覚がありましたね。目で見てもそうですし、何より自分が聞いていた声と芝居していることが面白い経験でした。でも途中から楽しんでいる自分がいて、本当にこの作品の映像の中に自分がいる感覚になって、お芝居としてもいままでにない体験になりました。

Q:劇中にはマリーナベイ・サンズのプールやマーライオン、ラッフルズホテルのシンガポール・スリングなど、シンガポールの観光名所・名物が続々出てきますが気になったところはありますか?

冒頭でマリーナベイ・サンズがバーンと出てきて、アップになる映像は圧巻です。僕は行ったことがないのですが、行ってみたくなりました。

Q:レオン・ローを演じたことは山崎さんにとって、どんな経験になりましたか?

彼は謎が多くドキドキするような見せ場が多いんですけど、最終的には彼の秘密が暴かれていくので、ひとつの役でありながら、いろんな面が見せられるんです。すごくやりがいを感じました。

気になるのは相手の声!

山崎育三郎

Q:舞台や映像の芝居をはじめ、歌手やパーソナリティーの分野でも活躍している山崎さんにとって、声優業はどんなポジションですか?

本格的なアフレコは『美女と野獣』(2017)以来になります。前回は実写だったので、英語を話している口の動きに合わせていく作業の難しさがあったんですが、今回はどちらかと言うとわりと自由に自分らしく演技させてもらったので、声だけで表現することが挑戦でした。普段は全身を使って、舞台中を走り回って、動き回って表現しているんですけど、マイクの前に立ったまま声の音色だけで表現するというのは職人技だなと思いましたね。体を動かさないで感情を動かしていくことにはじめは苦戦しました。そうは言っても、やっぱりエンターテインメントとして実に面白い。今後もチャンスがあれば続けていきたいです。

Q:みんなが山崎さんの声に注目していると思いますが、山崎さん自身も「声」に注目している気がします。

人の声ってすごく気になります。特に音域。歌で言うとバリトンなのかテノールなのかって声を聞いていても考えちゃいます(笑)。日本人、アジア人は低い声の人が貴重で、高い声の人の方が圧倒的に多い。身長と声は比例するところが多くて、背が高ければ高いほど声帯が長くなるんです。輪ゴムみたいな感じなんですよ。輪ゴムの長くてゆるいのは引っ張るとぼんと低く響く。短くて張るとピンという高い音がする。僕も実はどちらかというと高い声なので、今回のレオンのような声を出すのは難しかったですね。低い声を出す時はちょっとのどに負担がかかっている、傷んでいるくらいがちょうどよいんです。いまもそうなんですが、収録時はちょうど舞台の稽古中で、叫んだりするシーンが多かったりしたので、のどに負担がきていてむしろそれがよかったです(笑)。


山崎育三郎

ピンと背筋を伸ばしてさっそうと現れた山崎育三郎は目の前にいるのに舞台の上にいるような、まるでオーラのベールに包まれているような空気をまとっていた。柔和なほほ笑みと美しく響く声、身振り手振りにも品があり、とても謎めいている。とてつもないエネルギーを消耗するであろう舞台公演中とは思えぬさわやかさはいったいどこから来るのか。スターならではの気品は“シンガポールの紳士”レオン・ローの魅力の一つとなったに違いない。

(C) 2019 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

映画『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』は4月12日より全国公開

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