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『今日も嫌がらせ弁当』篠原涼子 単独インタビュー

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『今日も嫌がらせ弁当』篠原涼子 単独インタビュー

お弁当は子どもへのメッセージ

取材・文:石塚圭子 写真:日吉永遠

海苔とチーズを使って作られたメッセージ入りのユニークなキャラ弁が話題を呼んだ人気ブログを書籍化したエッセイ「今日も嫌がらせ弁当」を映画化。本作でシングルマザーとして2人の娘を育ててきた主人公・かおりにふんするのが、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『人魚の眠る家』など映画主演が相次ぐ篠原涼子。自身も2児の母である篠原が、実生活を振り返りながら、自然体で愛情深いヒロインに寄せる思いを語った。

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Kaoriさんのポジティブな母親像

篠原涼子

Q:楽しいビジュアルのキャラ弁を紹介したブログは読まれましたか?

はい。キャラ弁はどれもすごく見ごたえがありました。筆で書いたような達筆な文字もあるので、どうやって作るんだろう……!? って。日記エッセイの部分に、反抗期の娘さんとのバトルも書かれているんですが、その親子ゲンカがすごく明るくて楽しい雰囲気だなと思いました。

Q:主人公のかおりは、どんな女性だと思いましたか?

とにかく包容力がある方です。反抗期の娘のことも、ちゃんと理解した上で見守ってあげている。それから、たとえイヤなことがあっても、決してネガティブに考えず、いつでも前向きに、前向きに、明るく振る舞う。それでいて、自分が本当につらいときは素の顔を見せる弱さもあって……人間らしくて、すごく愛おしい女性だなぁって思いました。

Q:子どものことを心底、大切に思っているお母さんですよね。

一見、とことんマイペースのようでいて、実は意外と子どものペースに合わせているんです。幼い子どもは“かまってちゃん”なので、親も「はいはい、わかりました」っていう対応ができますよね。成長するにつれて、子どもの態度も変わっていくけれど、本質的にはそんなに変わっていないはずなんです。かおりはその辺りがちゃんとわかっていて、娘の反抗的な態度も、“まぁ、子どもだしな”っていう感じで、かわいく優しく受け止めてあげている。そこが素敵ですね。

カジュアルなヘアメイクで準備はラクチン!

篠原涼子

Q:塚本連平監督からは、どのようなリクエストがありましたか?

今回の映画はドキュメンタリーではないから、実在のKaoriさんに近づけることを意識しなくてもいいとのことでした。「ポップな感じでやりたいので、明るく、明るく、テンション高くやってほしいです」とうかがいました。わたし自身、笑顔が多い女性にしたいと思っていました。あとは、いつも子どものことを必死で考えているようなところが、観ている方に最終的に伝わるといいなと思いながら演じていました。

Q:ナチュラルなメイクに大きな眼鏡、ラフなまとめ髪、服装はシャツにジーンズというキャラクターのルックスが新鮮でした。

かおりは自分にはあまり手をかけていない人です。毎朝5時くらいに起きて、お弁当を作る。とにかく子ども優先なので、外見を通して、かおりのそういう感覚が見えたらいいなと思いました。だから、撮影前の準備がラクでした(笑)。メイクもそんなにきれいにしなくてもいいし、眼鏡をかければごまかせるし、髪はおだんごにしちゃえばいいので。撮影後もそのままの状態で「おつかれさまでした~」って帰ることもありました(笑)。

Q:娘の双葉を演じた芳根京子さんは同じ事務所の後輩です。芳根さんは以前から、憧れの女優は篠原さんだと話していますよね。

わたしは京子ちゃんのデビュー作のドラマ(2013年放送の「ラスト・シンデレラ」)で共演していて、京子ちゃんが小っちゃい頃から知っているので、今回も、すごくかわいらしくて、癒やされましたね。本当にこういう娘がいたらいいなぁ、大切にしたくなるなぁって。一応“先輩として、かっこいい姿を見せなきゃ!”と思っていたんですけど、肩ひじ張ってやっちゃいけない作品だと思ったので、一緒にリラックスして演じられてよかったです。

人と動物が一緒に暮らす八丈島に癒やされる

篠原涼子

Q:八丈島でのロケはいかがでしたか?

八丈島に行ったのは初めてだったんですが、ほんっとにいいところで、大好きになりました! ジャージー牛がホテルの真ん前にいたり、リスが歩いていたり、海でクジラが見られたりして。もう自然と一体化しているというか、人間と動物が一緒に暮らしている島、という感じ。緑もきれいでしたし、空気もすごく澄んでいて、島全体にマイナスイオンがあふれているような感覚でした。子どもたちを連れて、ぜひまた行ってみたいですね。

Q:そんな環境だと、現場の雰囲気も和やかになりそうですね。

そうですね、現場は本当に楽しくて、スタッフの人たちとも和気あいあいで。完成した作品を観たとき、そのときの雰囲気が映像にも生きていると思いました。撮影中は実際に島に住む地元の方々が全面的に協力してくださって、原作者のKaoriさんご本人が、キャラ弁作りのお手伝いをしてくれたこともあったんです。

Q:実際のKaoriさんの印象は?

穏やかで、恥ずかしがり屋さんな感じでしたね。Kaoriさんに「監督のリクエストで、ポップに演じているので『わたし、こんなことしないわ!』って思うかもしれませんが、よろしくお願いします」と、ご了承をいただいたんです。Kaoriさんは「全然かまわないです~」と優しく言ってくださって。そんなKaoriさんが、キャラ弁ではあんなに笑えるメッセージを描くんだ! と思うと、すごくギャップを感じて面白かったです(笑)。

キャラ弁作りに奮闘

篠原涼子

Q:映画ではキャラ弁を作るシーンもたくさんありましたね。お弁当を作る様子がとても自然で、普段からお料理をされていることが伝わってきました。

でもやっぱり、キャラ弁作りは難しかったです……! 人がやっているのを見ると、あ、できる、できる、って思うのに、いざ自分がやるとなると、手が震えて、海苔は破けちゃうし、全然上手にできなくて。練習しすぎて腱鞘炎になるんじゃないかと思ったんですが、いざコツをつかむと、段々上手になってきて。撮影現場ではスタッフの人に声をかけられるまで、ずーっと黙々と作っていたくらい集中しちゃって。楽しかったです(笑)。

Q:ちなみに実生活で、お子さんたちに作っていた定番のお弁当は?

映画のキャラ弁とはまったく違って、おばあちゃんが作るお弁当、っていう見た目の茶色い系のお弁当です(笑)。ひじきの煮物とか、切り干し大根とか、副菜をストックしておいて、メインのおかずを当日に揚げたり、炒めたりして。必ず入れるのは、だし巻き卵ですね。子どもたちが大好きで、だし巻き卵を入れると、残さず帰ってくるんです。

Q:お母さんが子どもに作るお弁当とは、どんなものだと思いますか?

わたしもKaoriさんと同じように、子どもへのメッセージだと感じていました。忙しくて、なかなかコミュニケーションが取れないときでも、子どもが幼稚園や学校でお弁当のふたを開けたときに、母親の温もりを感じられるのではないかと。今回のようなキャラ弁だと、作るのに3時間くらいかかるんですよね。見た目でも、一つ一つのおかずの味わいでも、お母さんが時間をかけて、労力を使って作ってくれたありがたみが、子どもに自然と伝わるのが、お弁当のいいところだと思います。


篠原涼子

本作の主人公・かおりは、『アンフェア』シリーズを代表とする篠原のクールビューティーなイメージを覆す、カジュアルで素朴な等身大キャラ。少々暑苦しいほどポジティブで、子どもへのあふれ出る愛情を隠さない“日本のお母さん”像は、子育てに奮闘する親世代はもちろん、反抗期真っ只中のティーンや、これから家庭を持つ若い人たちまで、幅広い層の心をわしづかみにするに違いない。共感を呼ぶ愛すべきヒロインを、肩の力を抜いて生き生きと演じ切った篠原の新しい魅力がつまった作品だ。

(C) 2019「今日も嫌がらせ弁当」製作委員会

映画『今日も嫌がらせ弁当』は6月28日より全国公開

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