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『ファーストラヴ』北川景子&中村倫也 単独インタビュー

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『ファーストラヴ』北川景子&中村倫也 単独インタビュー

目を見たら大丈夫だと思えた

取材・文:高山亜紀 写真:日吉永遠

直木賞受賞のベストセラーを映画化したサスペンス『ファーストラヴ』はアナウンサー志望の女子大生が父親を刺殺する驚愕のエピソードで幕を開ける。事件に興味を持ち、取材する公認心理師の真壁由紀を演じるのは北川景子。担当弁護士・庵野迦葉役は中村倫也。同い年の二人は本作で初共演。二人にとって長年、憧れの存在だった窪塚洋介との共演、そして堤幸彦監督の撮影現場を体験した興奮を同い年ならではの息の合ったトークで展開する。

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中村倫也が見習いたい北川景子の長所とは

北川景子&中村倫也

Q:初共演だそうですが、お互いの印象を教えてください。

北川景子(以下、北川):うまく言えないんですけど、とにかく空気感がすごく魅力的な方ですね。男性にも女性にも感じられる、ほかの俳優さんにはない色気みたいなものが漂っていて、周りの空気も全部、自分の色に染めてしまう。独特な雰囲気をまとっていて、お芝居にしろ、会話にしろ、相手を引き出すのがとてもうまいんです。私自身、初対面から個人的な話をいっぱいしてしまいましたし、お芝居に関しても台本を読んだだけだとどういう風になるのか、想像がつかないようなシーンも一緒にやると成立する。自分が特別になにかをしたわけじゃないと思いますから、たぶん、自然と導いてくれているんだと思います。

中村倫也(以下、中村):ありがとうございます。景ちゃんは見ての通り、美人です。そして真面目な方なんです。どこか抜けてしまうところももちろん、きっとあるんでしょうけど、ちゃんと自分の仕事や関わる人、一つひとつにちゃんと整理をつけて誠意を持って行動されている方だと思っています。それがいまの北川景子を作り上げている。そのストイックさときたら。僕とはえらい違いです(笑)。見習わなきゃと思いました。

Q:同い年だそうですが、どんな時に感じますか。

北川:同級生だと聞いて、「しっかりしよう。かっこよく主演っぽい感じでいよう」と気負わずに済みました。それから、今回、(夫役の)窪塚(洋介)さんとの共演は私にとってものすごく感動的なことだったのですが、それもきっと一緒だろうなと思いました。窪塚さんはわたしたちの時代のカリスマ。当時、ヘアスタイルやファッション、男性たちはみんな真似していたし、女性は憧れを抱いていました。そういう時代でしたから。

中村:この世代は窪塚さんには多大なる影響を受けていますよね。僕はついさっき、ポケモンのキャラクターの「メタモンみたい」って言われて、どんぴしゃ同世代の匂いがしました(笑)。

中村倫也はプロの俳優

北川景子&中村倫也

Q:我聞(窪塚)と迦葉は北川さん演じる由紀にとって対照的な存在ですが、俳優としての中村さん、窪塚さんは北川さんから見てどんなタイプでしょう?

北川:緊迫するシーンだろうと楽しいシーンだろうと、ずっとニュートラルで浮き沈みなく、一定の温度感で現場にいてくださるという意味ではお二人とも共通している感じがしました。「重いシーンの前は話しかけないで」とか「楽しいシーンだからあげていこう!」みたいなこともなく、私がどんなことをしても合わせてくれる。そんな距離感でいてくださったところは似ているかもしれません。でも、窪塚さんは年上で踏んできた場数も多いせいか、監督的な目でも現場を見ている印象がありました。一方、中村倫也さんはプロの俳優としてそこにいる。僕をどう料理するかは監督に任せます、というような、ある種の潔さがありました。自分の解釈はあっても、監督が求められてるものを出す。しかも出せるからすごい。私はそうしたくても頭で考えている演技が体に出てこなかったりするんですけど、なんでもできてしまう。より職業として、俳優を捉えている気がしました。

中村:モードはいくつかあると思うんです。今回は映画で憧れの堤組。自分でも調理されたいという判断だったのだと思います。窪塚さんもそうなんですけど、堤さんも僕が仕事を始める前から一ファンとして見てきた、好きな作品がいっぱいある方です。19歳の時に堤さんの作品(「H2 ~君といた日々」)に出演させていただいたんですけど、ニアミスで現場では堤さんとお会いできなかったので、やっとご一緒できるという思いがありました。ですから、どういう風にディレクションされるのか、見てみたかった。もう飛び込むような気持ちでやっていました。

乗っかる気持ちがあれば、無茶じゃない

北川景子&中村倫也

Q:堤監督の撮影現場はなにが起こるかわからない印象がありますが、どんな撮影現場でしたか。無茶ぶりなどはなかったですか。

北川:カットをいっぱい割っていたシーンを急きょ、長回しでいこうと撮り方が変わることはありましたけど、今回はそれぐらいですかね。

中村:無茶ぶりも乗っかる気持ちがあれば無茶じゃないです。僕は無理なことはしないけど、無茶はしたい。好きなのかもしれません。いろんな監督、いろんな作品、いろんな現場をやってきましたけど、無茶と思ったことは一度もないです。

北川:今回は監督が順撮りにこだわられていて、どうしようもなく前後したところ以外は、全体を通して、順番通りに撮影していきました。クランクインも学生時代のシーンでしたから、私は少し人見知りなんですけど、私たちの出会いの場はそこをそのまま生かして、初めて会った者同士の緊張感があって、よかったと思っています。

中村:僕はもともと相手の出方を探るタイプでもない、デリカシーのない人間なんですが、景ちゃんがその時々の由紀として現場にいてくれたので、きっと迦葉もこんな気持ちだったのかなと思うことがいっぱいありました。確かに題材や役の抱えてるものはずしっとしたものがあり、家で台本を読んでいるとやるのが怖かったところもあります。でも現場に行って、景ちゃんの目を見たら、大丈夫だと思えて、出てくるものがたくさんありました。

Q:今回はそれぞれのキャラクターに過去があり、複雑な役どころですね。

中村:いろいろ勉強はしました。迦葉は親との関係で傷ついた暗い過去があるのですが、なにを機に弁護士になろうと思ったのだろうとか。知識的なことはもちろん勉強して、それによってどういうものが形成され、どういう人物になり、どんな癖があるのか。最終的には自分の生きてきた経験から、なんとかくっつけていくしかないんで。なんとかかんとかやって現場にたどり着いた感じです。

北川:私も今回の役は公認心理師という職業だったので、本を読んだり、実際の公認心理師の方とお話させていただいたりして知識を得ていった感じだったんですけど、由紀の過去の体験や親との関係は自分には経験がないので、想像するしかありません。想像の域を出てないんじゃないかという不安を抱えながらのクランクインでした。ただインしてみると、自分が悩んでいたことなんて、ほとんど役に立たなかった。実際、現場に行って、(容疑者の)環菜さん(芳根京子)と対峙したり、迦葉と一緒に過ごすことで、できあがっていったものが大きかったと思います。

今年の目標は…

北川景子&中村倫也

Q:お二人は昨年、目覚ましい活躍をされましたが、今年の目標を教えてください。

中村:仕事は現状維持でいきたいですね。作品数は実は3年前くらいの方が多かったんですよ。毎日、楽しければ、それでいいんですが、ただ楽しいだけだとスカスカになるので、反対側のものもちゃんと持ちつつ、ですね。どうしても気が滅入るニュースが多いですけど、そうじゃないポジティブなところは自分たちで見つけながらも生きていかなければいけないと思います。そういうアンテナもちゃんと発達させて、自分だけじゃなく周りの人にも楽しい思いをしてもらえるよう、一日一日が過ごせればと思っています。

北川:昨年は目まぐるしかったですね。緊急事態宣言後のステイホーム期間は、こんなに働かないのは初めてと思うくらい何もしなくて、不安にもなりましたが、動き出すといつもの通りの忙しさで。今年もなるべく忙しくはしていたいけれど、子どもが生まれて、周りの方や応援してくださる方から「働きすぎないで。無理しすぎないで」という声も聞こえてくるので、心配されない程度に。一時期、エンターテインメントは不要不急と言われて、寂しい思いもしましたが、私もNetflixで観た作品に救われたように、私自身も面白かったと思ってもらえる作品に出たい。プライベートでは育児にまだ慣れてなくてあたふたしているので、今年はちょっとこなれた親になりたいです(笑)。


北川景子&中村倫也

いろいろなことがあった昨年において、さまざまな活躍で世の中を明るくしてくれたのがこの二人といえるだろう。人気者らしく当日も分刻みのスケジュールだったが、誰よりも落ち着いて、対応していたのが二人だった。それにしてももともと美しかった北川景子がまぶしすぎるほど磨きがかかっていて衝撃の域。中村倫也の「美人です」発言も同い年同士、忖度しない間柄なら、あながちお世辞じゃないはず。本当に息をのむ美しさだった。

映画『ファーストラヴ』は2月11日(木)より全国公開

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