『ハリー・ポッターと賢者の石』20周年!キャストの現在
今週のクローズアップ
大ヒットシリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』が世界初公開されたのは2001年11月4日のこと。20周年の記念すべき時を前に、『賢者の石』のポスターを彩った7人のキャストたちの現在に迫りました。(編集部・市川遥)
ハリー・ポッター役ダニエル・ラドクリフ
11歳でハリー役を射止めたダニエル・ラドクリフは32歳に。『ハリー・ポッター』シリーズ(2001~2011)を終えてからは、シュールなドラマ『スイス・アーミー・マン』での“おならの勢いで水上バイク代わりにもなる万能の死体”役や、バイオレンスアクション『ガンズ・アキンボ』での両手を銃に改造された悲劇のオタク役を筆頭に、挑戦的な役柄に果敢に挑み続けてきました。「演技というのは、挑戦的なものになればなるほど面白くなる」と語るダニエルならではのチョイスといえるでしょう。
ダニエルはシネマトゥデイのインタビューで、『賢者の石』から始まったこの20年についても振り返っています。「素晴らしい20年だった。夢の仕事と言っても過言ではないし……もし学校に行き続けていたら、何か他に興味の対象を見つけたかもしれないけれど、僕は11歳にしてこの業界で自分の場所を見つけた。ここが自分のホームだって。例えば学校では受け入れられないものでも、ここでは歓迎されて逆に良かったりする。“めちゃくちゃエネルギーが有り余っている”といったことは、学校では問題になるかもしれないけれど、映画の撮影現場では素晴らしいこと。そんな風にして、映画の撮影現場は僕にとてもよく合ったんだ。そんな機会をもらえて本当に幸運だと思っているし、『ハリー・ポッター』が終わってからの10年は映画や演劇、本当にいろいろなことをやって、さまざまな人たちと働き、とても幸せだった。今も続けていられるなんて信じられないくらいだよ。これからも演技を続けられたら、そしていつかは監督と脚本もやれたらと思っている。だって僕は映画の世界を愛しているし、そこで働く人たちが好きだから」
そんなダニエルの次回作は、2022年3月25日に全米公開を控えるコメディーアドベンチャー映画『ザ・ロスト・シティ(原題) / The Lost City』。サンドラ・ブロック&チャニング・テイタムの前に立ちはだかる悪役を演じています。
ハーマイオニー役エマ・ワトソン
ハーマイオニー役のエマ・ワトソンは31歳に。世界的大ヒットとなったディズニー実写版『美女と野獣』をはじめとした話題作に出演する傍ら、フェミニズム活動家の顔も持ち、国連における女性の権利のための機関「UN Women」の親善大使や、セクハラ撲滅を訴える活動団体タイムズ・アップのエンターテインメント運営委員会の一員を務めるなど、世界の女性たちのために自分の影響力を使ってきました。サステナブル(持続可能)なファッションを推進していることでも知られ、2020年6月には高級ブランド「グッチ」「サン・ローラン」などを擁する仏高級ファッショングループ、ケリングの取締役に就任し、持続可能性委員会の議長を務めています。
一方で『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)以降は女優業をセーブしており、今年に入ってからはカリフォルニアの実業家で恋人のレオ・アレクサンダー・ロビントンとの婚約&女優業引退が報じられたことも。しかし、エマはその後、こうしたウワサはメディアによるクリック稼ぎの方法に過ぎないと苦言を呈し、「もし何かお知らせすることがあれば、わたしから皆さんにシェアすると約束します」とツイートしました。そして今月17日には、地球環境問題への取り組みを表彰するために英ウィリアム王子が創設した「アースショット賞」の授賞式でプレゼンターを務めるべく、約2年ぶりとなるレッドカーペットに登場。10着の古ドレスを再利用したドレスを見事に着こなし、ますます磨きがかかった美しさでファンを魅了しました。今月末からはイギリス・グラスゴーで第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が開催されるとあって、1年以上ぶりにInstagramの投稿を再開してCOP26をアピールしています。
ロン役ルパート・グリント
ロン役のルパート・グリントは33歳に。2020年5月には長年の恋人で女優のジョージア・グルームが第1子女児ウェンズデー・G・グリントちゃんを出産し、めでたくパパとなりました。同年11月には公式Instagramアカウントを開設し、まな娘とのツーショット写真もお披露目しています。
近年はテレビドラマ界で活躍しており、ガイ・リッチー監督の映画をドラマ化した「スナッチ・ザ・シリーズ」、ニック・フロストと共演したブラックコメディー「Sick Note ~診断書で人生復活?!~」に主演。今年6月には、ヒロインの弟役を務めている Apple TV+ のホラー「サーヴァント ターナー家の子守」(M・ナイト・シャマラン製作総指揮)シーズン3の撮影も終えています。
マクゴナガル先生役マギー・スミス
マクゴナガル先生役のマギー・スミスは現在86歳ですが、年齢を感じさせない精力的な活動を続けています。人気ドラマ「ダウントン・アビー」シリーズの先代グランサム伯爵未亡人バイオレット・クローリー役でも知られる彼女は、2019年には映画版『ダウントン・アビー』に出演。2022年3月18日に米公開予定の続編『ダウントン・アビー:ア・ニュー・エラ(原題) / Downton Abbey: A New Era』にも出演しています。
11月24日にはNetflix映画『クリスマスとよばれた男の子』が配信開始になるほか、ナチスの主要人物ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書だったブルンヒルデ・ポムゼルの半生についての一人芝居(演劇版もマギーが主演)を映画化する『ア・ジャーマン・ライフ(原題) / A German Life』、キャシー・ベイツ、ローラ・リニーと共演する『ザ・ミラクル・クラブ(原題) / The Miracle Club』の撮影も控えています。
ハグリッド役ロビー・コルトレーン
ハグリッド役のロビー・コルトレーンは71歳に。関節に問題を抱えているロビーは映画・ドラマ界から離れることもしばしばでしたが、2016年には杖をついてドラマ「ナショナル・トレジャー(原題) / National Treasure」の撮影を乗り切り、BAFTA TV アワード主演男優賞ノミネートを果たす名演を披露しました。ロビーが同作で演じたのは、複数の女性たちから過去の性的暴行で告発されることになる伝説的なコメディアンという攻めた役柄でした。2020年には、伝記コメディードラマ「アーバン・ミス(原題) / Urban Myths」シーズン4のオーソン・ウェルズを題材にした回に主演しています。
追悼:スネイプ先生役アラン・リックマンさん&ダンブルドア校長役リチャード・ハリスさん
スネイプ先生役のアラン・リックマンさんは2016年1月14日、膵臓がんのため69歳で死去しました。ハリー役のダニエルは追悼文の中で「アランさんは間違いなく最も偉大な俳優の一人であり、僕がこれまで映画業界で出会った人々の中でも最も誠実で協力的な人でした。彼は僕を『ハリー・ポッター』の撮影現場でも、シリーズ終了後であっても、すごく励ましてくれました。僕がロンドンとニューヨークでやった全ての舞台を見に来てくれました。そんなことをする必要なんてなかったのに。僕よりアランさんとずっと付き合いの長い人たちも皆、『彼に電話すれば、世界のどこにいようとどれだけ忙しかろうと、1日以内にかけ直してくれる』と言っていました。人々は役柄に基づいて俳優の印象を決めるので、アランさんが彼が演じた厳めしく恐ろしいキャラクターとは裏腹に、非常に優しく寛大で、控えめで面白い人だったと知り驚く人もいるかもしれません」とその人柄を明かしていました。
ダンブルドア校長役リチャード・ハリスさんは悪性リンパ腫の一種であるホジキンリンパ腫を患い、2002年10月25日に72歳で帰らぬ人となりました。第3弾『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』からリチャードさんの代役を務めたのは、同じくアイルランド人俳優のマイケル・ガンボンです。
20年という歳月は全ての人に大きな影響を及ぼしており、『ハリー・ポッター』シリーズを糧に大きく飛躍を遂げた子役たちがいれば、惜しまれつつもこの世を去った名優たちも。イギリス・アイルランドを代表する俳優たちが一堂に会した同シリーズをあらためて見返しながら、この20年を振り返るのも一興です。
なお、ハリー・ポッター魔法ワールドは今も拡大を続けており、ハリーたちが魔法界を救ってから19年後を描く舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」の東京公演が2022年7月8日に開幕するほか、体験型のエンターテインメント施設「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ‐メイキング・オブ ハリー・ポッター」が練馬区としまえん跡地に2023年前半にオープン予定。映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズ第3弾『ファンタスティック・ビースト:ザ・シークレッツ・オブ・ダンブルドア(原題) / Fantastic Beasts: The Secrets of Dumbledore』の世界公開も2022年4月15日に控えています。