期待しかない!注目の19歳・杉田雷麟、主演映画で光る演技
イケメン発掘調査隊
『山歌』杉田雷麟(すぎた・らいる)【第163回:イケメン調査隊】
今後さらなる活躍が期待される新世代俳優の素顔に迫る本企画。今回は、かつて日本に実在したという山の放浪民・山窩(サンカ)をモチーフにした映画『山歌』で、主人公を演じる杉田雷麟さんを徹底解剖します!
【杉田雷麟 PROFILE プロフィール】
生年月日:2002年12月10日
出身地:栃木県
趣味・特技:サッカー、ボクシング
芸歴:2017年から俳優活動をスタート。2018年に、テレビ東京開局55周年特別企画ドラマスペシャル「Aではない君と」のオーディションを勝ち抜き、佐藤浩市演じる主人公の息子役に抜てきされる。2019年、映画『半世界』(阪本順治監督)で稲垣吾郎ふんする主人公の息子役を担い、第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第34回高崎映画祭最優秀新進男優賞を受賞した。そのほか、NHK連続テレビ小説「エール」(2020)、映画『教誨師(きょうかいし)』(2018)、『長いお別れ』(2019)、『罪の声』(2020)、『孤狼の血 LEVEL2』(2021)など、話題作への出演が続く。
【PRIVATE 素顔に迫る一問一答】
Q:好きな映画を教えてください。
よく洋画を観ます。好きなのは『グリーンマイル』(1999)、『セブン』(1995)。ハリウッドスターでは、モーガン・フリーマンさんと、トム・ハンクスさんがとても好きです。
Q:どんな方法で映画を観ますか?
動画配信で観たり、父親から勧められたものを借りてきて観ます。父は洋画好きで、勧めてくれる作品を観てハズレたことがないです。
Q:今一番観たい作品は?
白石和彌監督の次回作『死刑にいたる病』(5月6日公開)ですね。予告を観たときから、すごく気になってて。めちゃくちゃ観たいです(笑)!
Q:憧れの俳優は?
共演してみたいのは椎名桔平さんです。
Q:俳優になったきっかけは?
中学から高校に上がるときに、このままサッカーを続けるのか、ほかにやりたいことがあるか考えたんです。その時は、刑事になりたかったし、ほかにもなりたいものはいろいろあったんです。僕は父の影響で映画も好きだったので、映画の中だったら、ずっとやってきたサッカーも無駄にはならないし。役で刑事にもなれるし。それで俳優を目指そうかなと。
Q:俳優になるということを強く意識したのは?
ドラマで佐藤浩市さんとご一緒したときに、佐藤さんから「この世界で食っていくのか?」と聞かれて、「はい」と即答したときからです。そして、この作品で、佐藤さん、天海祐希さんとご一緒して、一層、俳優をやっていく気持ちが強くなりました。
Q:どんな俳優を目指していますか?
どんな作品でも、1シーン出ただけでも自分を残せるような俳優になっていきたいですね。演じてみたいのは、狂気的な役か、刑事です。
Q:自分の強みは?
メンタルが強いことです。
Q:休みがあったら、何をしていますか?
配信サービスで映画やアニメを観たりしています。
Q:ファッションのこだわりは?
ちょっとずつ学んでいる最中です(笑)。これから自分のこだわりが出てくると思うんです。黒系を着ることが多いんですけど。
Q:言われるなら、「可愛い」or「かっこいい」?
どちらでもなくて、「面白い」って言われたいですね。面白い人だなって。
Q:自分のパーツで好きなところは?
指をよくほめられるので、指ですかね。手が大きくていいねって言われるので、いいのかなーって(笑)。指が長いというのもよく言われます。
Q:苦手なもの、克服したいのは?
食べ物なんですけど、大葉が苦手で。大人になったら味覚が変わると言われているので、大葉が食べられるようになりたいなと。最初は手巻き寿司に混ぜるとかバスタとかに混ぜて食べようかなと思っているんですけど、今のところ、大葉って邪魔だなとしか思わない。味が苦くてダメなんです(笑)。
Q:キャッチフレーズをつけるとしたら?
思いつかないですね。
Q:小さなころの夢は?
ずっとサッカーをやっていて、サッカー選手になりたいと思っていました。
Q:生まれ変わるとしたら?
鳥か猫に……。生まれ変わるってことは、またその後があるんだろうなと思うので、気に入らなかったら、また人間に戻ればいいかなと。
Q:習慣として大切にしていることは?
睡眠をよくとること。
Q:ジンクスは?
歩いていて、マンホールとかあったら、左足と右足でまたいでいくと気持ち悪いんで、どっちかに寄って歩きます。
Q:デビュー以来、佐藤浩市さんや稲垣吾郎さんなど、実力ある俳優の方たちと共演したり、話題作にも数多く出演していますが、自分にとって大きな転機になったと思う出会いは?
大杉漣さんですね。『教誨師(きょうかいし)』という作品で、共演シーンはなかったんですが、試写で初めてお会いして、握手してもらって、「また今度やろうな」と言っていただいて。大杉さんとは、それが最後だったんですけど、「脇でも主役でもどっちでも大丈夫って気概がないといけない。その中でどうやって『大杉漣』ってものを残すかが大事」ということをおっしゃっていて。当時の僕は俳優として、とにかく大きな役をやりたいと思っていたんです。でも、そうじゃないんだ、どんな役でどんなシーンでどういう風に出ても、ちゃんと自分らしく自分を残せるような俳優になりたいと、その時に気づかされました。
Q:俳優として、演じる楽しさはどこで感じていますか?
現場でスタートしてから、カットがかかるまでの間がすごく楽しいですね。これは最初からずっと変わっていません。もちろん難しいなとか、うまくできなくて悔しいと思うこともあります。でも、それも含めて演技をしているときの自分が一番楽しいなと思っています。
【INTERVIEW 作品について】
Q:オーディションで出演が決まったそうですね。
いつものようにオーディションを受けるときは自分を残そうと思って、闘いにいくつもりで挑んだら、監督から「何かを思わせる何か」を持っている少年と見られたみたいです(笑)。でも、いつもそうです、会場に入ったら、この役を取りに行くぞ! と思っています。
Q:この映画は、かつて日本の山々に実在した流浪の民・山窩(サンカ)の人々を描いた作品ですが、脚本を読んだ印象は?
山窩(サンカ)というものを、最初はよくわからず、あとから、監督が資料をいっぱい持ってきてくださって、説明も伺いました。サンカという山の民をクローズアップするなんて、すごいところに着目した脚本だなと思いました。その後、また資料をかなり読み込んだり、サンカがいた当時の記録写真を見て、自分の中でようやくイメージが湧いてきてという感じです。山から山へ、旅の生活を続け生きていた人たちなので、ひょっとしたら自分の地元、栃木にもきていたんじゃないかなと思ったりしました。
Q:撮影で印象に残っていることは?
ほぼ全て群馬県の山の中で撮ったんですけど、自然と共存しながら撮ったというのが正しいですね。雨が降ったり、天候に左右されながらの撮影でした。山の自然に対して共演者という言い方はおかしいけれど、サンカの人たちと同じような感覚で過ごしたというか、だから半分ドキュメンタリーのような感じでした。
Q:則夫という役柄を演じるに当たって、心がけたことは?
則夫は都会育ちで、祖母のいる山奥の田舎に来て、勉強はできるけれど、殴られても殴り返さない優しい少年。ただ、父親から抑えつけられている面もあって、そんな彼がサンカという山の民に出会って、彼らの自由さに憧れていく。彼の心情の変化というのは大切に演じようと思いました。
Q:山窩(サンカ)の少女・ハナ役の小向なるさんはトレイルランニングの練習をしたそうですが、役づくりで気をつけたことは? 僕は都会の子の役なので、山に慣れていてはだめなので。むしろ、日頃から地元の栃木でよく山を登り下りしているので、登り慣れているから、気をつけようと思いました。
Q:共演の渋川清彦さんとは『半世界』以来ですか?
そうですね。『半世界』のときも共演しましたが、今回はがっつりご一緒できたので、近くにいて演技の仕方とか学ぶことも多くて。たくさんお話しできて、嬉しかったですね。この作品で演じられている役の通り、気さくで、いろんなことを教えていただきました。
*Q:この撮影で一番、苦労したこと、大変だったことは?**
ずっと山にいたことですね。撮影に入ると、トイレをするためにも、そのつど戻らなくてはいけないし。一番大変だったのは天候です。山の天気は崩れやすいので、川が増水してセットが壊れたこともあって、そうなると(本編の)つながりとかも含めて大変でした。それから、撮影中に、いつの間にかヒルに吸われちゃって。気づいたときには、血だらけになってて。ヒル予防のために、みんな長靴を履いていたんですけどね。あとクマを目撃したというのもありました。本当に自然と共存して撮っているなと思いました。
Q:この映画で得たものは?
役柄はもちろん、川魚を食べたり、ヘビをさばいたりするシーンがあって命をいただいているなということをきちんと実感できたことは大きかったですね。山の中では、天候や山の様子次第では撮影を止めるしかなかったので、それだけ自然の大きさを感じました。それから、渋川さんからは自分にないものを学ばせていただきました。僕は自然に演技していると思っていても、どこか作ってしまっている。渋川さんは映っている姿がサンカそのもの。叫ぶシーンはもう鳥肌ものでした。僕は気持ちを言葉にして吐き出すというのが難しくて、行き詰まっていたところもあったので、勉強になりました。
Q:共演の小向さんは?
本当に現場での小向さんもサンカになりきっていました。最初、顔合わせしたときはそんな印象はなかったので、「あれ、こんな感じだったけ?」と思うぐらいに役づくりをすごく頑張られたんだろうなと思いました。いい刺激を受けました。
Q:とくに観てほしいところは?
最初、教えてもらって僕が魚を釣っているところをはじめ、渋川さん演じるサンカと山中で行動をともにしているところなど、自然と共生しているシーンがすごく多くて、神秘的に映っているところもあるので、自然の偉大さを含めて、何かを感じ取ってもらえたらなと思います。
(取材・文:前田かおり 写真:興梠真穂)
インフォメーション MOVIE INFO
かつて日本に実在したという山の放浪民・山窩(サンカ)をモチーフに、孤独な少年と山窩の一家の交流を描く人間ドラマ。『馬ありて』などの笹谷遼平監督が、伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞(中編の部)2018を受賞した自身の脚本を基にメガホンを取った。『子どもたちをよろしく』などの杉田雷麟が主人公を演じ、山窩の娘を『溶けるおと』などの小向なる、彼女の父親を『破壊の日』などの渋川清彦が演じるほか、飯田基祐、蘭妖子、内田春菊らが共演する。
『山歌』は4月22日公開
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