横田めぐみさんの映画を撮ったアメリカ人監督激白
アメリカのユタ州で1月に行われたスラムダンス映画祭で観客賞を受賞した『Abduction(拉致)横田めぐみ物語』を撮った監督はなんとアメリカ人。そのアメリカ人監督クリス・シェリダンに直撃インタビューを敢行した。
Q:家族事務局長の増元さんが早期解決を訴えるため映画祭を訪れたのですが、観客の反応は、いかがでしたか?
僕にとって一番価値のある経験だったのは、増元さんが映画を見終わった直後に立ち上がり、観客から質問を受けた時に、その中の一人が「僕に何か出来ないですか?」と言ったことです。
Q:アブダクション(拉致)は、世界中が抱えている共通の問題とはいえ、なぜアメリカ人のあなたが、日本のこの問題に取り組もうとしたのですか?
われわれが最初にこの事件を耳にしたのが、2002年に平壌で開かれた北朝鮮の金正日総書記と小泉首相との首脳会議で、その時にようやく金正日総書記が、過去にめぐみさんを含め13人を拉致した事を認めたんです。
当然それには、驚かされたのですが、さらに衝撃を受けたのは、その中に13歳の少女がいた事です。そのことが、さらなる情報収集と研究を呼び起こす、われわれの探求の始まりでした。
Q:現在(インタビュー日:2月9日)北京で適時にも日朝並行協議が行われている最中ですが、この会議をどれくらい着目していますか?
もちろん、撮影後の今も、片目を日本と北朝鮮に向け、もう片方はこのアメリカの対応に注視し、今回の協議では、どういった言及がされるかを見ています。それと今でも日本から関係者の方が最新情報をe-mailで送ってくれてます。
こちらでは、入らない情報がたくさんありますからね。ただわれわれが今も追いかけている理由は、映画を撮影したからでなく、彼らに親密な関係を個人的に感じているからです。
Q:日本は現在、容疑者の引き渡しを要求しているですが、それが成立すると北朝鮮側は、この問題の全ては終結したと主張し、われわれが本当の黒幕を知らずに終わることになるのではないでしょうか?
それは、僕には返答する事ができません。あなたは、何が次に起こるか質問している訳ですから。
誠実で熱心に語る言葉と泣きながら撮影していた事もあったという彼、目頭を赤くしながらインタビューをしたときに誓ったことは、この映画をあらゆる手段を使って人の目に触れさせる事である。現在、日本と北朝鮮は、安全保障問題の並行方式による協議を継続することを確認している。(ニューヨーク:細木信宏)