筒井康隆原作のアニメ『パプリカ』が5分間のスタンディングオベーション!
第63回ヴェネチア国際映画祭
2日、コンペティション部門作品である今敏監督のアニメーション『パプリカ』(2007年正月公開)の公式上映がメーンシアターの「サラ・グランデ」で行われ、上映後には約5分間のスタンディングオベーションとなる喝采を受けた。
同作品は、筒井康隆氏の同名小説が原作で、他人の夢に入り込んで精神治療を行う画期的な装置「DCミニ」が、何者かによって盗まれたことから始まるSFファンタジー。数年前に筒井氏とアニメ雑誌で対談した際、「ぜひ、アニメ化して欲しい」と依頼を受けて製作したという。「今となっては普通かもしれないが、93年の出版当時、夢と現実が曖昧になってくるという設定の話は画期的だった。
自分がアニメ監督となり、そういう作品を扱うようになったのは『パプリカ』の影響が大きかった。なので今回、原点に戻ったという感じです」(今監督)同映画祭のコンペに、アニメ作品として唯一選ばれたが、「正直、コンペのありがたみはよく分からない」と苦笑い。
それでも、招待された感謝の気持ちを表わそうと、上映には、イタリア製の黒の高級スーツを「身銭を切って」(今監督)用意したという。今監督は「今回がワールドプレミアで人前に出すのは初めて。ハラハラドキドキしないようにと、90分間の上映中は天井を眺めたりしてましたが(笑)、拍手を頂いた時に約2年間、一緒に作ってきたスタッフにもこの聞かせたいと思いました」とホッとした様子。上映が終わると、イタリアのファンからのサイン責めにあっていた。コンペ部門の結果は、現地時間9日夜に発表される。