観客からのイタイ質問に、バイオレンス映画の監督が大あわて!
第19回東京国際映画祭
26日、渋谷・Bunkamuraでコンペティション部門の注目作品『ドッグ・バイト・ドッグ』のティーチ・インが行われ、主演のエディソン・チャン、監督のソイ・チェン、プロデューサーのサム・レオンプロデューサーが参加した。昨年の東京国際映画祭では『同じ月を見ている』で窪塚洋介とともに同映画祭に参加し、日本でも多くのファンを持つエディソンには今年も多くの取材陣
や観客が集まり登場すると客席からは黄色い歓声が上がった。
『ドッグ・バイト・ドッグ』は、非情なカンボジア出身の殺し屋パンに相棒を殺された、刑事の復讐劇を描いた作品。昨年の新作パノラマ部門で注目されたソイ・チェン監督が、これでもかというほどの非情で壮絶な暴力描写で、殺し屋と刑事の果たし合いを生々しく、無残に撮り上げている。
本作で、なんのためらいもなく人を殺すことができる感情のない殺し屋を演じたエディソンは「僕は、映画で演技をしているとき、切り替えがうまくできないほう。いつも現場から帰って役を抜けようと必死にしていても抜けられないんだ。暴力的な気持ちが抜けずに、一緒に食事している友達をうっかり殴ってしまったりしないように、なるべく1人でいるようにしていたよ」と話した。また、「カナダから香港へ引っ越してきたとき中国語もなにも分からなかったときの孤独感をベトナム出身の孤児でもあるパンに重ねようとしたんだ」と役作りの裏話も披露した。
ダークなバイオレンス映画でありながらも、和気あいあいと行われていたティーチ・インだったが、最後の質問では観客の1人が関係者の肝を冷やすような爆弾質問を投げかけた。それはチェン監督の最新作について、すでに決まっている最新作の主役がエディソンから、日本でも知られている俳優ショーン・ユーに交代したことについて、「この仕事に不満があったから交代になったって本当なんですか?」と質問。エディソンとショーンは、以前から不仲説も流れているためか、この質問にはプロデューサーも大あわて。「今回は、この映画に関することだけ聞いてください!」と一言話すと、監督も、苦笑いで「無問題(モウマンタイ!)」と話していた。張本人のエディソンは、終始冷静。困り果てている監督とプロデューサーを、まるでいたずら好きな子どものようにニヤッと見ている姿が印象的だった。
そんなおちゃめなエディソンが、ストイックな殺し屋を熱演した本作。彼を追う刑事には『ピンポン』にも出演していたサム・リーがふんしている。思わず目を背けたくなるような、2人の激しい暴力シーンは今年のコンペティション部門を大いに揺るがすことになるかもしれない。
『ドッグ・バイト・ドッグ』は2007年公開予定