「誰も僕を知らない……」でもアカデミー賞候補?
第19回東京国際映画祭
世界各国で総計1500を超える大ベストセラーとなった、ドイツの文学小説「香水 ある人殺しの物語」。スティーヴン・スピルバーグやマーティン・スコセッシが映画化を熱望するも、原作者のパトリック・ジェースキンは決して首を縦に振らなかったという幻の作品が、満を持して完全映画化された。すでに公開されているヨーロッパでは、大評判となっており、早くもアカデミー賞の最有力候補との呼び声も高い秀作だ。
日本での公開は3月だが、東京国際映画祭で特別招待作品として上映されることを受け、トム・ティクヴァ監督と主演のベン・ウィショーが来日した。
「主人公には無名かつ天才的な俳優を」という難しい条件をクリアーし、みごと大役を射止めたベン・ウィショーが初来日を果たした。緊張しやすい体質らしく、終始貧乏揺すりをしたり、目をパチパチさせたりと落ち着かない様子。その挙動不審ぶりは、天才的な嗅覚を持つ主人公を、野生的名魅力と存在感のあるたたずまいで演じていたとは思えないほどだ。
トム・ティクヴァ監督は、ベンにほれ込んで出演を依頼したが、当時ベンとまったくの無名俳優だったために、関係者らの承諾を得るのにかなり苦労したようだ。ベン自身も「誰も僕のことを知らなかったからね。監督は大変だったみたいだよ」と申し訳なさそうにコメントした。今はまだ無名のベンだが、本作が公開されれば、若手実力派俳優として、一気に注目が集まるのは間違いない。
『パフューム ある人殺しの物語』は2007年3月よりサロンパスルーブル丸の内ほかにて公開予定中。