なぜ「ゲドを読む」?の真相…ジブリの戦略の深~い理由とは?
昨年の大ヒット映画『ゲド戦記』が、まもなくDVDになる。(7月4日)ジブリの行っている一風変わったDVDのプロモーション。それがフリーペーパー「ゲドを読む。」の配布だ。しかもその数110万部というケタ違いの規模。
DVDを観るではなく、なぜ読ませるのか? ここに『ゲド戦記』戦略の深い訳がありそうだ。「ゲド戦記」とは宮崎駿のアニメーションの原点ともいえるファンタジー小説。宮崎駿はこの原作本をかたときも離さず、アイデアに行き詰まると、この本を開いていたと、後にジブリの鈴木プロデューサーが語っていた。
「ゲド戦記」の映画化は、『風の谷のナウシカ』を製作する前に原作者のアーシュラ・K・ル=グウィンに申し込んで断られている。宮崎駿といえども『風の谷のナウシカ』を製作する前は、無名だったためにそれは仕方のない話だ。
そのため『風の谷のナウシカ』を含め、その後の宮崎作品、すべてこの「ゲド戦記」に影響を受け、その世界観を作品の中に取り入れていったといわれる。
世界的に名前が知られ、『千と千尋の神隠し』でアカデミー賞を受賞したりと、原作者の耳にも宮崎駿の名前が自然に入りはじめるところで、やっと出た「ゲド戦記」の映画化の許可。しかし、ゲド戦記の世界観を自らの作品にすでに投影させていた宮崎駿にとって、それは遅すぎた話だったのだ。
ともかく、息子・宮崎吾朗が映画化することになった「ゲド戦記」。その吾朗が描きたかった「ゲド戦記」は駿のそれとはまったく違うものだったのかもしれない。
映画『ゲド戦記』では、この長い6巻からなる原作の3巻目しか描いていない。しかも、宮崎監督なりに、かなりのアレンジをしているのだ。壮大な世界の一部でしかない映画『ゲド戦記』。それを切り取られている一部だけでなく、「ゲド戦記」の世界観全体を知るところから始められれば、映画『ゲド戦記』への理解がより深まる……そんな深い戦略が見え隠れする。
ゲドを読む。
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ゲド戦記をとことん読みつくせ!
cinematoday.jp