「援交して!」と筧利夫に迫った2人の美女に直撃!
この夏、往年の名曲「22才の別れ」にインスパイアされた大林宣彦監督の新作『22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語』が公開される。新人女優の素質を見抜き、その魅力を開花させることで知られる大林監督が、この作品に起用したのは、鈴木聖奈と中村美玲という2人のフレッシュな才能だ。堂々の映画デビューを果たした彼女たちに話を聞いた。
物語の主人公は、筧利夫演じる中年サラリーマンの俊郎。彼は、偶然知り合ったヒロイン花鈴(かりん)から「援交して!」と迫られたことで、心の奥底にしまいこんでいた“22才の別れ”を思い出す。花鈴は、若き日の恋人、葉子の娘だったのだ。
「わたしが演じたのは、ちょっと変わっている女の子なんです。台本を読んだときは、なんでこんなこと言うんだろう、なんでこんなことするんだろうって、全然分からなくて」と語るのは、花鈴を演じる鈴木聖奈。一方、回想シーンで葉子役にふんした中村美玲は「葉子はすごく強い女性。でも、演じる前はとても抽象的な印象だったので、役作りは大変でした」と苦労を語った。
なかなか、役柄がつかみ切れなかったという2人だが、大林監督とのディスカッションを通して、撮影しながら、着実にキャラクターを自分のものにしていった。「すごく暖かくて、現場にいらっしゃるだけで空気が変わる」と監督の印象を振り返る中村。女優の魅力を引き出す大林演出は、この作品でも健在だ。その結果、演じることに対する彼女たちの考え方にも、変化が生まれた。
「身も心もその役柄になっている。それが本物なんだなって思いました。今思うと、わたしは葉子とは全然違うんですが、撮影している間は、確かに自分が葉子だったなって」と中村。中学時代から演技を学んでいた鈴木は「撮影が終わるころには、花鈴のことがすごく理解できるようになって、演技するってこういうことなんだって楽しさを感じました」とますます演技が好きになった様子だ。
とはいえ、この作品が2人にとっては映画デビュー作。なかなか客観視はできないようだ。特に、中村は、見ている間ずっと涙を流していたそうで「初めて見たときは、物語の内容というよりは、撮影中の思い出がよみがえって……」と初々しい素顔をのぞかせた。そんなピュアな感性が、舞台となる大分県の情景、そして、大林監督ならではの幻想的な映像美と重なり合った『22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語』。切なくも美しい人生の“別れ”を描き出した作品で、花を咲かせる2人の演技は必見だ。
『22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語』は8月18日よりテアトル新宿ほかにて絶賛公開中。
オフィシャルサイト 22saino-wakare.com