アンソニー・ホプキンスを直撃!レクター博士は野菜好き?
イギリス特有の気品と知性あふれる役だけでなく、狂気じみたハンニバル・レクター博士なども演じてきた名優アンソニー・ホプキンスが、彼の監督、脚本、主演映画『スリップストリーム』(原題)について語ってくれた。
この映画は、脚本家が虚構と現実の世界をさまよう幻想的な作品。ホプキンスは、この作品を手掛けたきっかけとして、「4年前に母が89歳で亡くなり、人生を見つめ直したときに、妻に勧められ脚本を書き出したんだ」と話した。ちなみにこの作品には、後のSFに多大な影響を与えた映画『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956)で主役を演じたケヴィン・マッカーシーが出演している。
今回のインタビューで、ほかの俳優にアドバイスをしたことがあるかという質問に、「ほとんどの俳優は、真剣になりすぎていて、わたしがアメリカの大学で指導していたときに、俳優として前途に悩む生徒に、『君が俳優として演技をしなくなっても、地球が止まるわけじゃないんだよ』」と言ったことがあるとコメントした。また過去に一緒に演じたことのある女優が、厳しい監督に何度も叱咤(しった)され、泣いていた彼女に、「監督の奴隷にならずに、このセットを抜け出してしまえ! と女優をあおり立ててしまって、そのアドバイス通り本当に帰ってしまったことがあるんだよ。まあわたしも、アクの強い監督と何度もけんか腰になったことがあるけどね」とコメントしてくれた。
このインタビューを通じて、人生を達観した余裕のある部分と、一方で自分の主張をしっかりとする個性的な部分もにおわせ、素晴らしい演技力とともに幅広い人格がうかがえた。最後に、ハンニバル博士とは裏腹に、「いつもは、奥さんに作ってもらった有機野菜だけを食べているんだ」とコメントし、今年70歳を迎える彼の原動力は、奥さんの手料理であることを明かしてくれた。(取材:細木信宏 シネマトゥデイ)