暗殺された元スパイの1周忌で、家族が決意を新たに
放射線物質「ポロニウム210」によって暗殺された、元ロシア連邦保安庁(FSB)中佐、アレクサンドル・リトビネンコ氏を描く映画『暗殺・リトビネンコ事件(ケース)』の日本公開を前に、彼の1周忌となる23日、ロンドン市内で追悼集会と記者会見が行われた。リトビネンコ氏が亡くなったユニバーシティカレッジ病院の外には、妻のマリーナさん、父親のウォルターさん、友人のアレックス・ゴールドファーブ氏らが集合。ロシアのプーチン大統領を激しく非難したリトビネンコ氏の最後の声明が読み上げ られた。
2000年にイギリスへ亡命したリトビネンコ氏は、プーチン政権とロシアのチェチェン問題への対応を批判し続け、FSBとプーチン大統領による政治工作を暴露。2006年11月1日、ロンドン市内のホテルで放射性物質を盛られ病院へ収容されたが、同月23日に死亡した。
マリーナさんの弁護士は記者会見で、リトビネンコ氏の暗殺に使用された「ポロニウム210」は、ロシア政府の原子力施設から持ち出された可能性が極めて高いことが、専門家によって確認されたと発表。これが事実であれば、ロシア政府の暗殺への関与を裏付ける証拠の1つとなる。
マリーナさんは「夫の肉体はもう存在しませんが、彼はいつもわたしたち家族とともにいます。彼の死に関与したのは誰なのか、この事件の裏にいるのは誰なのか、必ず明らかにする決意をしています」とコメント。家族はロシア政府とプーチン大統領の関与を確信しており、欧州人権裁判所へ提訴する手続きを取ったほか、イギリスを始め、欧米諸国の政府がロシア政府に何らかの圧力をかけるようキャンペーンを続けていく構え。
『暗殺・リトビネンコ事件(ケース)』は、5年間に渡るリトビネンコ氏へのインタビューや家族の証言を元に、チェチェン問題とロシア政府の実像に迫る政治ドキュメンタリー。
映画『暗殺・リトビネンコ事件(ケース)』は12月22日よりユーロスペースにて公開
オフィシャル・サイト litvinenko-case.com