名作?珍作?女性の秘部が襲ってくる映画…意外にも批評家から高評価
一般的にアメリカで1月に公開される映画は、賞などにまったく引っ掛からない駄作が多く、配給会社は、この月をDumping Ground(ゴミ捨て場)と呼んでいる。そんな中、公開される話題の映画『ティース(Teeth)』(原題)は、女性の秘部が襲ってくるというシュールな映画だ。当然、B級のホラー映画と予想されていた。だが、予想に反し試写室での評価は、映画『ロッキー・ホラー・ショー』のような、カルト的要素を持ち合わせたうえに、ホラーとコメディーが共存する水準の高い映画と批評家の間でも絶賛されていた。
同作品は、実際にインディアンの神話として語り継がれているVagina Dentata(セックスに関する訓戒的な物語)をベースにしている。ストーリーは、ケンタッキー州のルイヴィルに住む思春期を迎えた少女が、現地の貞操グループの一員として所属し、性と自分の体に起きる異変との葛藤(かっとう)を描く。監督は、アン・リーの初期作品『ウェディング・バンケット』に出演していたミッチェル・リヒテンシュタインで、初監督作になる。
本作でまさに体当たり演技を披露した主役女優、ジェス・ウェイクスラーは、脚本を最初に渡されたときの感想を「初めに脚本を読んだとき、とても驚かされたの。実際、出演が決まって再読したときでさえも、正直あまり乗り気じゃなかった。それでも、知的で気取らない監督のミッチェルに会って、この映画が単なるB級ホラーや駄作映画ではなく、スマートなダーク・コメディーになると確信したの。そして、徐々に過去に誰もやったことのないような、このアイデアに惹(ひ)かれていったの」と語った。
ちなみに、この映画に出てくる学校で、女性の秘部にスティッカーが貼られている教科書で授業を行うシーンがあるが、これは実際にウエスト・ヴァージニアのある学校で行われていたらしい。撮影されたロケーション自体を、人の体として比喩(ひゆ)的な表現したり、全編コメディーとホラーの要素で楽しませてくれる作品だ。去年サンダンス映画祭で話題になり、今週からアメリカで公開される。(取材:細木信宏 シネマトゥデイ)