意外にも…今年は日本映画が誕生して100年目だった!
意外に知られていないが、今年2008年は日本映画が生まれて100年を迎える記念すべき年だ。日本映画の父と呼ばれる牧野省三監督の映画『本能寺合戦』が公開されたのが1908年。同時にそれは日本映画誕生の瞬間でもあった。公開年に生まれた省三の息子であり、“早撮りのマキノ”と異名を取ったマキノ雅弘は父親の血を受け継ぎ、数々の大衆娯楽映画をヒットさせた。そのマキノ雅弘の代表作である映画『次郎長三国志』をマキノ家の血をひく津川雅彦がリメイクすることに決まった。
マキノ雅弘の甥である津川が、2006年に初監督した映画『寝ずの番』に続いてマキノ雅彦名義で傑作活劇を豪華キャストで映画化するのはごく自然の流れのように思える。また、叔父のマキノ雅弘は『次郎長三国志』をシリーズ化して13本もの続編を作った。その流れを継ぐ形でマキノ雅彦こと、津川が本作をよみがえらせようとしたのは運命的であるともいえる。高度成長期の日本エンターテインメント界を盛り上げ、数々の映画の中で本物の芝居を披露してきた津川の姿と、本作品のモデルである時代の寵児、清水の次郎長の姿が重なる部分も多い。
日本映画の歴史とマキノ家の歴史をその背に担いだ津川が描く『次郎長三国志』の中に日本映画の未来を垣間見ることはできるだろうか。中井貴一や鈴木京香の役どころにも注目したいところだ。
映画『次郎長三国志』は2008年秋、公開。