シャーリーズ・セロン、父親を撃ち殺した母との貧しい生活が及ぼす影響を激白!
南アフリカ共和国で生まれ、16歳のころからヨーロッパでモデルとして活躍してきたシャーリーズ・セロンが、新作映画『スリープ・ウォーキング』で主演と製作者の2役に挑戦した。映画『モンスター』に続き2役をこなした彼女に、この作品に賭ける意気込みを聞いてみた。
-かなり寒い時期に撮影されたそうですが、この映画の何に興味を示されたのですか?
(シャーリーズ・セロン)わたしは脚本を読む過程が好きで、会社(エージェンシー)を通してかなりの数の脚本が送られてくるけど、いつも最終的に感情移入ができるか、できないかで決断していくわね。それでも、わたしが尊敬している方々から素晴らしい脚本が送られてきて、読んでみても自分の波長とまったく合わないときがあるの。今回の作品はずっと心に残っていて、現実味のあるキャラクターだったわ。それは、単純に描かれた家族崩壊の話ではなく、知恵や希望の物語でもあるの。この希望がわたしたち全員が持っている共通点でもあるのよ。
-この作品でもそうなのですが、あなたはどこかタフで厳しい環境下に育ったキャラクターに親近感を感じているのでしょうか?
(シャーリーズ・セロン)あなたがおそらく指摘しているのは、映画『モンスター』『スタンドアップ』と、この作品のことだと思うけど、この作品のどのキャラクターも経済的に貧しい共通点を持っていて、特に厳しい環境下で育ったわたしにとって(彼女は15歳のときに、酔った父親に襲われ、娘の危機を感じた母親が父を射殺してしまった経験を持つ)、その環境とそこから生じる苦悩から、早く立ち直って明るく過ごしていけることが重要だと思うの。その辺が非常に自分の環境下と似ているかもしれない。あと、いままでと似たような作品に何度も出演するのは……そうね、これまで女優業を14年続けていて、30作品近く出演しているけど、本当に良い作品なのに、これまでやった作品と同じだから……と言って断っていたら、女優として仕事をもらえなくなるわ。
-今のあなたはプロデューサーとしての観点でも脚本を読み、どうやってこの映画を宣伝しようかということも考えているのですか?
(シャーリーズ・セロン)そうやって、二つのカテゴリーに分けて区別することはないわね。確かに脚本を読んで気に入ってすぐにプロデュースすることにはならないけど……。プロデューサーは、俳優業のように脚本を読んで2か月後にセットに立っているようなわけにはいかないし、もっと時間のかかったプロセスなの。この業界は趣向が常に変わっているから、発展途上での段階が大変なの、発展途上っていっても、本当はプロダクションの許可が降りるのを祈っているってだけだけど(笑)。ファイナンスの面では、出資してくれる可能性のある人たちに常時会っているし、キャスティングの面では、自分が本当に仕事したい人たちだけを選択しているわ。この映画の製作に入るまで約1年半くらいの間、ずっとファイナンスの工面をしていたわね。
-2役(主演と製作者)をこなして学んだことを教えて下さい?
(シャーリーズ・セロン)初めて映画『モンスター』をプロデュースしたときは、素晴らしい経験ができたの。あの映画で、かなり高い水準設定をしてしまった感じがするけれど……。あの作品で手に入れたことは、全員と共同製作するというパートナーシップで、あのときは映画を撮影しているというよりは、ドキュメント・タッチだった。今回のこの作品も同じ感覚を共感できたわ。
-女性の自立への苦悩を描く映画は、興行面で難しいことが多いのですが、それを打開するのに、デニス・ホッパーやウッディー・ハレルソンの出演は重要でしたか?
(シャーリーズ・セロン)わたしは脚本を読んですぐに、誰が適役か俳優の顔を思い浮かべるの。この脚本のオープニング・シーンでとてもカリスマ性が高く、心が葛藤(かっとう)していて、チャーミングで抱きしめたくなるけど……どこか怖いキャラクターを想像していたらデニス・ホッパーを思い付いたの。だから、今回本当に夢のようなキャスティングができたと思っているわ。
今回のインタビューで、俳優業も、育った環境下によって影響される職業であると再認識させられた。プロデューサーとしても活躍する今後の彼女に期待したい。(取材・文:細木信宏 シネマトゥデイ)