近所の若者が拳銃突き出し、一時撮影中止!ジョン・レグイザモ修羅場を語る!
テレビドラマ「ER 緊急救命室」や映画『アイス・エイジ』で活躍するラテン系俳優ジョン・レグイザモが、新作映画『ザ・テイク』(原題)について語ってくれた。本作は、強盗に襲われた、銀行の輸送装甲車のドライバー(レグイザモ)が、身の潔白を晴らすために、一人犯人に立ち向かって行く姿を描いた作品。インタビュー中、レグイザモは冗談を交えながら、気さくに質問に答えてくれた。
-本作に参加された経緯は?
(ジョン・レグイザモ)まず、エージェントから脚本を渡されたんだ。彼が「良い脚本だ」と言ったから、それで決めた。だって、彼は滅多に本を読まない人間なんだぜ! 唯一読むものと言ったら本のカバーぐらい(笑)。それって、これがかなり優れた脚本ということだろ(笑)!
-ざらついた感じの映像なのですが、意図的に撮影されたものなのでしょうか?
(ジョン・レグイザモ)監督のブラッド・ファーマンと撮影監督のルーカス・エトリンたちのビジョンによるもので、まるで沸騰点にいるような感覚をおぼえるだろう? 実際使われている家で撮影し、近所も普通の家だった。周りの環境も現実そのものなんだ。撮影の初日、近所にいた若者たちがクラフト・サービス(撮影中の軽食)を求めてやってきて「メシが食べたい」と言ってきたんだよ。その場にいたシェフは、彼にあげるべきだった。なぜならセットではない場所を確保して撮影しているうえ、近所に迷惑をかけているんだから。ところが、シェフは「だめだ」と答えたんだ。そこで、若者の一人がシェフをたたいた。もちろん、シェフもやり返したよ。そしたら、もう一人の若者が拳銃を取り出したんだ。警察ざたになってその日は撮影中止さ。恐らく今まで参加した映画の中で一番困難だった作品だと思う。事件を恐れたヘアー・メークの人が辞めてしまうし、最初の撮影監督が危ない環境下を恐れて、彼のもとで働いていたクルー全員が一斉に辞めてしまったときもあった。
-ロージー・ペレスとの共演はいかがでしたか?
(ジョン・レグイザモ)彼女とはよく一緒に仕事をしているよ。アニメも一緒に出演したこともある。 けれど今回は夫婦役ということで、これまで共演した中で、一番露骨で親密な関係であったと思う。セックス・シーンは、自分の家でやる以外では一番過激だったよ(笑)! けれど、精神的にも肉体的にもダメージを受けている男が、自分であることを証明するために行っている行為でもあり、意味のあるシーンなのさ。
-映画では、固く結ばれたスパニッシュ系の家族が描かれていますが、そのような点に惹(ひ)かれたのでしょうか?
(ジョン・レグイザモ)ごく普通の男が逆境に立たされ、内に秘めたヒーロー性が目覚めるというテーマに惹(ひ)かれたんだ。心に突き刺さるようなメッセージさ。組織や機関が動かないのなら、自分で行動しろということだね。ある意味ラテン系へのメッセージでもあるのかな(公共機関に支障があったとき、真っ先に被害に遭うのがスパニッシュと黒人家庭が多いため)。
彼はどんな役にも挑戦し、スタンドアップ・コメディーの経験もある。現在はステレオタイプのラテン人を描くハリウッドに対抗しながら、打開策を練っている最中らしい。(取材・文:細木信宏)