今なぜ『隠し砦の三悪人』なのか?樋口監督に攻め込む!
巨匠・黒澤明の名作映画『隠し砦の三悪人』を映画『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』として現代に“再生”させた樋口真嗣監督に、リメイクにかけた意気込みを語ってくれた。【関連写真はこちら】
嵐の松本潤、長澤まさみ、宮川大輔、阿部寛、の豪華キャストなど話題に事欠かないが、やはり群を抜いて注目されるのが、黒澤作品がオリジナルであるということだろう。「“とにかく楽しいエンターテインメント作品”っていうことだけでした。そういう意味で気負いはなかったのですが、撮影中くじけそうになるとオリジナル版を観て元気をもらいました(笑)」。原点を知ることで同じ困難をどうクリアしてきたのか参考になったという。
また、リメイク映画の場合、得てして新旧比較論が飛び交うものだが、「50年前の日本って、もはや外国のようなイメージ。時間的な距離がありすぎて、現在と地続きになっていない気がします。ただ、撮ったのは先輩・兄貴たちだから、おれたちも負けないぞって思えたんです」と語る樋口監督。「サブタイトルの“THE LAST PRINCESS”ってスレスレのライン(笑)。不安もありましたけど、そういう思考って元の映画にとらわれている証拠。そうじゃないことをどれだけ観客に示せるかがポイントでした」とリメイクに込めた意義を明かしてくれた。
一方、独自性を出さなければリメイクの意味はないが、時代劇という基本的な作風にはこだわった。「時代劇から転落しちゃうと違うものになってしまうので、真っ当な時代劇を目指したんです。時代劇の枠の中で、アウトコースをどこまでギリギリで攻められるのかが勝負でした。最近真っ当な時代劇が少ないような気がして、自分たちぐらいは正攻法でいこうと」。激しい殺陣が繰り広げられる本作は、紛れもなく本格時代劇そのものだ。
越えなくてはならない砦は樋口監督の中にもあったというが、「最終的には、この映画を観た人たちが心から満足してもらうことが自分にとってのハードルでした。自己満足でいい時期はとうに終わっている(笑)。自分が楽しむのではなく、観ている人をいかに楽しませるのかが課題です」と最後には現在の自己テーマも教えてくれた。観客の視点に立った『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』。本物の娯楽活劇を味わえること間違いなしだ。
映画『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』は5月10日より全国公開
オフィシャルサイト kakushi-toride.jp
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