大島渚の遺伝子は健在!大島新監督が語った唐十郎のキュートな魅力
唐十郎と唐組の劇団員たちに密着取材し、第17回 日本映画批評家大賞ドキュメンタリー作品賞を受賞した、映画『シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録』の監督大島新と、劇団WAHAHA本舗の柴田理恵がトークショーを行った。大島新は『御法度』『愛のコリーダ』などの大島渚監督の次男。
名古屋からトークショーに新幹線で駆けつけたという柴田は、「わたしは状況劇場が昔から大好きで、観るた びにドキドキするんですが、この映画も観るたびにドキドキさせられます」と、作品をべた褒め。照れる大島監督に、「ほんとに! すごく面白かった!」と笑いかけた。
「実は、わたしの夫が、唐さんが率いていた状況劇場の出身なんです。しかも唐さんは、わたしの大学の卒業生で、大先輩。卒論も状況劇場をテーマに書いたんですよ」と唐との不思議な縁を話した柴田は、本作に出てくる劇団員たちの姿にも強烈なシンパシーを感じたようだ。
「唐さんがやられているお芝居と、わたしたちがやっているお芝居は、種類は違っても、中身は一緒。劇団員たちは、悩んだりしながらも一生懸命頑張って、同じような生活をしているんです。チラシを置いてもらいに行ったり、叱られたり、お酒飲んだり……一つ一つのシーンを観て、あ~わかるなあ! って思いましたね」
テレビ番組「情熱大陸」で、唐を担当して以来、テレビサイズには収まらない唐の強烈な魅力に惹(ひ)かれたという大島監督。映画の中で、突然怒りだしたり、大笑いしたり、酔っ払ったり……くるくると表情が変わる唐について、監督である大島が「本当に優しい方なんですが……、やはり隣にいるだけで緊張感がすごいんですよね。怒りのスイッチが分からないんです(笑)。宴会のときも、劇団員と一緒にピリピリしながらお酒を飲んでいたので、ぜんぜん酔えなかった」と撮影を振り返ると、柴田も「分かる!」と大笑い。
67歳になった今でも、まるで少年のように目をキラキラを輝かせながら赤テントの舞台に立ち続ける唐を「本当にキュートな方です!」と声をそろえて言ってしまうほど、大島監督と柴田の、唐への深い愛情が感じられるトークショーとなった。
映画『シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録』はポレポレ東中野にて公開中