『ハプニング』の恐怖感はあえてのB級狙い?天才シャマランに直撃インタビュー!
待望の新作映画『ハプニング』を引っさげて来日した稀代のストーリー・テーラー、M・ナイト・シャマラン監督が、世界の終末を描いた本作や映画にかける情熱を語った。
『ハプニング』は、いわゆるハリウッド映画とは違うテイストを持っている。人類の滅亡という世界の終末を描いているにもかかわらず、本筋に関係のないエピソードやユーモアが随所に見受けられ、不思議な世界観が作品を覆っている。このテイストについてシャマラン監督は「B級映画路線を狙っているんだ。この作品にはアルフレッド・ヒッチコック監督やジョージ・A・ロメロ監督の影響が多大にある。確かにふざけているような設定やシーンはあるけれど、話が進んでいくうちにそれが恐怖感へと変わっていくんだ」と計算であることを教えてくれた。
ストーリーの中盤でマーク・ウォールバーグふんするエリオットたちが廃虚のような一軒家にたどり着くシーンがあるのだが、そこでまさにハプニングといえる展開が待ち受けている。この伏線なき衝撃を「ヒッチコック監督から盗んだのさ!」と爆笑しながら語るシャマラン監督だが「あのシーンでは、揺れるブランコの音や壁をける音、男の声や悲鳴、それにカメラのカット数などを意図的に積み重ねて、観客のテンションを一気に引き上げていく工夫をしたんだ」と奇才演出家としての真剣な表情も垣間見せた。
映画『シックス・センス』以降、まるでヒッチコック監督のように自身の作品に出演も兼ねるシャマラン監督だが、残念ながら今回は声だけの出演となった。熱狂的なファンはシャマラン監督の姿をスクリーンで探すのが一つの楽しみとなっているのだが、彼にとってはそうではないようだ。「難しい問題なんだ。世界中に顔が知られてしまった今となっては、僕が映画に登場してしまうと観客はストーリーそっちのけで『あ! いた、いた!』となってしまうからね。30代のインド人ってのは案外目立つんだ。将来は制作・監督・脚本・主演のワンマン映画を撮りたい」と悩みとともに今後の野望を語った。
これだけの才能を持つシャマラン監督がテレビ業界に進出すれば新たな名作誕生の可能性もある。しかしシャマラン監督は「テレビは受け身で観ているような気がするから嫌なんだ。だけど映画はそうじゃない! 僕の中で映画『鳥』がそうであるように、映画は観るんじゃなくって人生の中での一つの体験になるようなものだと僕は信じているんだよ」と映画愛あふれるコメントを聞かせてくれた。
映画『ハプニング』は7月25日前夜解禁(一部劇場を除く)
7月26日より日劇3ほかにて全国公開