芥川龍之介原作「トロッコ」が映画化!引退を撤回した女優も出演!
篠田正浩、行定勲、奥田瑛二らそうそうたる監督たちのもとで助監督を務めていた川口浩史の監督デビュー作で、台日合作映画『トロッコ』の製作会見が2日、台北市内で行われた。
本作は芥川龍之介原作の短編小説「トロッコ」をヒントにした人間ドラマ。日本人女性(尾野真千子)が台湾出身の夫を亡くし、二人の息子を連れて初めて夫の故郷である台湾・花蓮を訪問した数日を通し、台日に横たわる戦争のつめ跡をあぶり出す一方で、国境を越えた家族愛を描いていく。
川口監督は「当初は原作通りの短編を製作する予定が、行定監督の映画『春の雪』でご一緒した撮影のリー・ピンビンさんから、台湾にトロッコがまだ残っていると聞き台湾中をロケハンしました。そのときに現地の方から日本に対する思いをいろいろうかがい、それを脚本にし、日本人たちにも伝えるべく長編映画を作りたいと思ったんです」と言う。
日本のスタッフ・キャストは、主演女優の尾野のほか6人のみ。そのほかは日本の新人監督をサポートすべく豪華台湾映画人が加わった。製作はリー・ピンビンをはじめ、台湾の巨匠ホウ・シャオシェン監督の製作スタッフが中心で、この日の会見もホウ・シャオシェン監督がチェアマンを務める台湾のアートスペース「台北之家」で行われた。関係者によると、ホウ・シャオシェン監督は「自分は日本映画界にお世話になったので、これを機会に恩返ししたい」と語っているという。
また出演者には、台湾映画『花蓮の夏』のブライアン・チャン、実力派俳優チャン・ハン。人気歌手で女優のワン・ファンなど。中でもベテラン女優メイ・ファンは、引退宣言を撤回しての出演となる。川口監督は「メイ・ファンさんに『引退を撤回して良かった』と思ってもらえるような作品にしなければ」と気を引き締めていた。
撮影は3日から台北・花蓮などで行い、8月末にクランクアップ。公開は来年秋を予定している。
映画『トロッコ』は2009年秋、全国公開予定