テキサスで起きた核爆発から3年後の独立記念日を描いた日本未公開映画
映画『ドニー・ダーコ』のリチャード・ケリー監督が待望の新作映画『サウスランド・テイルズ』につぎ込んだ熱意を語ってくれた。ドリュー・バリモアがほれ込んで買った『ドニー・ダーコ』の脚本は、後に彼女自らのプロデュースで完成。公開された映画は世界中で熱狂的ファンを生み出すこととなった。
『サウスランド・テイルズ』はもう一つ別のアメリカの近未来を舞台に、2005年にテキサスの2か所で起きた核爆発から3年後の、2008年の独立記念日のロサンゼルスを、アメリカ大統領選挙とポップカルチャーを絡めながら生み出した意欲作だ。
リチャード監督は本作について「僕が書いた6章の原作のうち、最初の3章がグラフィック・ノベルとなり、4章から6章が本作のストーリーとなっているんだ。映画の初めに最初の3章の重要な部分をきちんと説明しているから、グラフィック・ノベルを読まなくても楽しめるはずだよ」と語ってくれた。また劇中で使用される音楽については「歌手のモービーが映画全体の作曲に挑戦してくれて、彼は製作前に数曲レコーディングを開始してくれたんだ。彼の曲はいわば本作の心臓部分でもあるよね!」と大満足の様子だった。
本作には、歌手のジャスティン・ティンバーレイクやサラ・ミシェル・ゲラーなどポップカルチャーを代表する人々がキャスティングされている。これについてリチャード監督は「映画全体を夢の世界として作り上げることができたよ」と理想通りの映画製作ができたことを喜んでいるようで、「フィリップ・K・ディックとレイモンド・チャンドラー」にも影響されていると明かした。
製作費20億円という大作ながら、日本では劇場未公開。カンヌ国際映画祭で上映された際も、160分から144分に編集されてしまっている。彼の才能はいつ評価されるのだろうか。キャメロン・ディアス主演の新作映画『ザ・ボックス』(原題)の公開が待ち遠しいものだ。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosok)