アカデミー賞受賞経験のある中国系アメリカ人監督の長編デビュー作はシロウトが主役!
過去にアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞した経験があり、3度にわたってサンダンス映画祭のドキュメンタリー部門で審査員賞にノミネートされたことのある中国系アメリカ人監督のジェシカ・ユーと主演のジミー・ツァイが初の長編映画『ピンポン・プレイヤー』(原題)について語った。
‐このコメディー映画はあなたにとって新たなジャンル開拓となりましたか?
(ジェシカ・ユー)この作品はそういったことを意識して製作されたわけじゃないわ。ずっとやりたいと思っていたコメディー作品の製作の機会が与えられただけなの。それと映画会社のチェリー・スカイ(主役のジミーは、このプロダクションの会計をやっていた)と仕事がしたいと思っていたしね。
‐アジア人の俳優が主役に配役されることが少ないこのアメリカのエンターテインメント業界で、あなた方アジア系アメリカ人はどうすべきだと思いますか?
(ジェシカ・ユー)テレビ番組では、アジア人主体のトーク番組があったりするから、それはそれで素晴らしいことだと思うけれど、まだまだ映画の主役としてアジア系俳優を見ることは少ないわね。だからこの映画がより多くの観客に届けばいいと思っているし、同じアジア系アメリカ人のサポートが必要なの。
‐チェリー・スカイの会計をやっていたジミーを、どう説得して主役として出演させたのですか?
(ジェシカ・ユー)わたしたちは近所に住んでいて、もともと仲が良かったの。だからジミーと共同で脚本を書いていたときに、ジミーが主人公を演じたら面白いと思ったの。そこで思い切って相談したら「僕の常務にとりあえず聞いてみてくれ」って答えでね(笑)。普段の彼は映画のキャラとは違って謙虚な人なんだけど、知名度のある俳優よりも、結局は彼の個性が一番この映画に向いていたのよ!
‐本作で主役を務めましたが、今後の活動の予定は?
(ジミー・ツァイ)僕は役者というよりも、カメラの後ろに立っている方が好きだから、本格的に俳優になろうとは思わないよ。もちろん何かオファーや、機会があったら一応は考えるけど……。まあプロデューサーとして、アジア系俳優の風当たりや厳しさを知っているから、持ち上げられてうぬぼれるようなことはないけどね(笑)!
監督のジェシカは、今後もあらゆるジャンルに挑戦したいと思っているらしいが、現在はかなりの数のドキュメンタリー企画を抱えているらしい。本作が娯楽的に受け入れられる高い水準にある作品だけに、これからもこういったジャンルに挑戦してほしいものである。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)