衝撃の実話!エリート大学生が放浪の果てに衰弱死…「荒野へ」を映画化
映画『スピード・レーサー』で一躍世間に名をはせたエミール・ハーシュが、ショーン・ペン監督作品の映画『イントゥ・ザ・ワイルド』で主演を務めた。本作は何もかも与えられた裕福な生活をしていた大学生が、卒業を機に前途有望な将来を捨てて、アラスカへの放浪の旅に出るというノンフィクション小説「荒野へ」を映画化したもの。
‐すべての富や特権を捨ててアラスカへ向かったクリス・マッカンドレスを演じる際に、どのような準備をしたのでしょうか?
(エミール・ハーシュ)まずは肉体を鍛えた。それに毎日何時間も書物を読み続ける訓練をして精神も鍛えたよ。読んだ書物の中には、ジャック・ロンドンの「野生の呼び声」やヘンリー・デイヴィット・ソローの「ウォールデン 森の生活」などなど。それらは今回の映画に必要だった精神的訓練を成功させてくれたんだ。
‐実際に大自然で撮影してみていかがでしたか?
(エミール・ハーシュ)あらゆる天候に出くわしたよ。とにかくすべてがチャレンジで、ミード湖(アリゾナ州とネバダ州にまたがっている湖)で撮影していたときなんか、気温が40度近くあって、スタッフが熱射病にかかって倒れてしまったなんてこともあったね。
‐あなたが演じるクリスのどういった部分に興味を持たれましたか?
(エミール・ハーシュ)冒険的精神と心の痛みを結合しながら、愛の必要性を追求すると、人は冒険心をかき立てられる感じになる。僕にはその気持ちが理解できるんだ。だから彼がなぜそうしたのかということに対して、深く考える必要はなかったんだ。何となくわかるんだよね。僕自身、独立独歩の生き方にあこがれたりするしね。
‐もしクリスが生きていたら、この映画のどの点を気に入り、どの点を嫌うと思いますか?
(エミール・ハーシュ)もし人々がこの映画から何かしらのインスピレーションを感じることができたら、彼にとってはうれしいことだと思う。僕も、世界を変えたいと思っていた彼を人々が賞賛してくれたらうれしいしね。それに彼は高校以来ずっと、ワシントンDCのダウンタウンにあるマクドナルドなどで食べ物を買っては、ホームレスたちに分け与えていたそうなんだ。唯一、彼がこの映画で嫌だと思う部分は、恐らく両親と妹が悲痛に耐えているシーンだろうね。
本作のために20キロ近くやせたエミール。『スピード・レーサー』という華やかな作品だけではなく、演技派の俳優としての地位をしっかりと築き始め、今後の活躍も見逃せない若手俳優の一人だ。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosok)