スペインでも市川監督の訃報に衝撃…林海象監督に虫の知らせ【第56回サン・セバスチャン映画祭】
19日に脳内出血のために急逝した市川準監督の訃報は、スペインで開催されている「サン・セバスチャン映画祭」に参加している日本人監督たちにも衝撃を与えた。
現地時間19日、「日本のフィルム・ノワール特集」で映画『我が人生最悪の時』が上映された林海象(はやしかいぞう)監督は、関係者からニュースを聞かされると「えっ!? なんで!?」と絶句。続いて、「ちょうどスペインに来るフライトの中で、『市川監督どうしているかな?』とふと、思ったところだったんです。海外の映画祭は、昨年11月に市川監督と一緒に参加したフランスのキノタヨ映画祭以来だったものだから……」と声を落とした。
キノタヨ映画祭は、現代の日本映画だけを上映するもので、昨年で2回目。市川監督は成海璃子主演『あしたの私のつくり方』を、林監督は映画『探偵事務所5』を引っさげて参加した。二人はそれまで特別親しいワケではなかったが、映画祭で共に日本映画を鑑賞するうちに言葉を交わすようになったという。
「市川監督は一見、おだやかそうに見えるけど、映画評は結構辛口で(苦笑)、二人でいろいろ感想を言い合って楽しかった。それまで市川監督といえばCMの監督というイメージが強かったけど、お話をして、本当に映画が好きなんだなぁと思いましたね。奥様とご一緒だったのですが、映画を観るのが本当に楽しそうでした」と当時の想い出を語った。 続けて、林監督は「これから、もっと親しくなれると思っていたのに……。本当に残念です」としんみりした。
なお、『あしたの~』はキノタヨ映画祭で、黄金の太陽賞(グランプリ)を受賞している。(取材・文:中山治美)