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梶芽衣子の『女囚701号 さそり』グッケンハイム美術館で上映!【第56回サン・セバスチャン国際映画祭】

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グッゲンハイム・ビルバオ美術館前に立つ伊藤俊也監督
グッゲンハイム・ビルバオ美術館前に立つ伊藤俊也監督 - Photo:Harumi Nakayama

 スペインで開催中の「第56回サン・セバスチャン国際映画祭」の特集上映「日本のフィルム・ノワール」の1本である『女囚701号 さそり』が現地時間26日、近郊のビルバオにある「グッケンハイム・ビルバオ美術館」で特別上映された。

 同美術館は、米国・ニューヨークにもあるグッケンハイム美術館の分館として98年に開館されたビルバオの観光名所。その現代美術の殿堂では映画祭の協賛企画として22日から27日まで毎夜、「日本のフィルム・ノワール」出品作を1作ずつ上映しており、この日は『女囚~』の上映に合わせて伊藤俊也監督がティーチインのために来場した。

 同作品は東映が、大ヒット作『網走番外地』シリーズの女性版として、梶芽衣子主演で仕掛けた女囚映画。恋人に裏切られた挙げ句、殺人未遂事件を起こして刑務所暮らしとなった主人公・松島ナミが、看守や女囚仲間からのリンチや恥辱を乗り越え、リベンジしていく痛快さがウケた。昨今ではクエンティン・タランティーノ監督が同作品に影響を受けて『キル・ビル』を製作し、梶が歌う主題歌「怨み節」を使用したことで再びクローズアップされた。この日も、タランティーノ作品で本作の存在を知った若者から熟年の日本映画ファンまで約100人が会場に駆け付け、非情なまでの暴力に時折、笑いも起こる盛況ぶりだった。

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 ティーチインでは「全体的に良かったが、原作が劇画(作・篠原とおる)ということもあり、エロや暴力シーンなど現実離れし過ぎているのではないか?」という意見も出た。しかし伊藤監督が「私は初監督をするにあたり、それまでの撮影所が作ってきた、恋人が喫茶店でお茶を飲むような、日常的なリアリズムは我慢ならないと思い、この虚構の中の虚構を作りました。一人の女の怨みがとことん貫かれるのと同時に、日の丸や君が代が象徴的に出して、国家を刺しぬくという意味を込めました」と説明すると、皆、深くうなづいていた。

 上映後、20歳代の女性は「1972年と言えば私たちの国スペインではフランコ政権下で、エロティックなシーンはもちろん、女囚が暴動を起こすような映画はまず上映出来なかった。その同じ時代に、日本でこんな映画が作られていたなんて驚きました。国旗などがシンボリックに出て来るのが良かった」と満足げに会場を後にした。

 当初は「36年前の映画のことをいつまでも持ち出されてかなわん」とボヤいていた伊藤監督も、現地の若者たちからの好反応に「次にこの映画祭に寄せていただくときは、ぜひ僕の『誘拐報道』を皆さんに観てほしいと思います」としっかりアピールしていた。(取材・文:中山治美)

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