興収1位はシャイア・ラブーフの『イーグル・アイ』-9月28日版
全米ボックスオフィス考
9月26日~28日のアメリカ興行収入1位の栄冠は、2,920万ドル(約30億9千万円)の収益を上げたドリームワークスのスリラー大作映画『イーグル・アイ』に輝いた(ロサンゼルス時間9月28日午前中現在)。
映画『ディスタービア』の成功で、ますますスティーヴン・スピルバーグに気に入られたとみられるD・J・カルーソー監督がメガホンを取り、これまた『ディスタービア』主演のシャイア・ラブーフと再びタッグを組んだこの『イーグル・アイ』は、テロリスト防止という名のもとに、消滅しつつある個人の権利や、政府のプライバシー侵害に警鐘を鳴らす迫力とスリル満点の作品である。
一方、1,360万ドル(約14億4千万円)の収益を上げて興行収入2位を飾ったのが、これも今週末のデビュー作品でニコラス・スパークス著の同名小説を映画化した、映画『最後の初恋』。映画『運命の女』で熟年カップルを絶妙に演じたリチャード・ギアとダイアン・レインが、切ない恋を展開し再び大人の演技を堪能させてくれる。そのせいかこの作品は女性に、それも熟女たちに大人気。客層の75%が女性で、さらにその78%を30代以上の女性が占めたという統計が出ている。
ランキング3位は700万ドル(約7億円)で、先週の1位から転落したサミュエル・L・ジャクソン主演の映画『レイクビュー・テラス』(原題)。そして今週の4位なのだが、注目のいわく付き映画が入っている。それはカーク・キャメロン主演の映画『ファイアープルーフ』(原題)という作品だ。
この作品、一体どういういわくがあるのかというと、カークといえば1985年にアメリカで大人気だったテレビコメディーの「愉快なシーバー家」に出演し、アイドル・スターとして活躍していたことを皆さんはご存知だろうか? そんな彼だったのに、人気の頂点に立っていた17歳のある日、突如として宗教に目覚め、それからは俳優業よりも熱心なクリスチャンとして教会活動に励む生活になっていた。実は今回の映画主演も、宗教活動の一環。ストーリーはカーク演じる消防士が結婚生活のトラブルに陥って悩んだ末、祈りの力に励まされ、妻との幸せを取り戻すまでを描いているという“クリスチャン映画”。全国の教会中心に前売り券を発売するという異例のマーケティング手法が取られ、その結果839館という少なめの公開映画館数なのにもかかわらず、1館につき7,764ドル(約82万2,200円)という平均収益を記録しており、異色なジャンルでありながら、計651万ドル(約6億9千万円)をたたきだし、アメリカ興行収入4位というのは快挙といえよう。
来週10月3日は盛りだくさんな封切り状況で、チワワが主人公のディズニー映画『ビバリー・ヒルズ・チワワ』(原題)をはじめ、映画『JUNO/ジュノ』『スーパーバッド 童貞ウォーズ』での活躍で人気急上昇中のマイケル・セラ主演のティーン・コメディー映画『ニック・アンド・ノラズ・インフィニテ・プレーリスト』(原題)、エド・ハリスとヴィゴ・モーテンセン主演で渋い名演が期待されるウエスタン映画『アパルーサー』(原題)、イギリスの面白男サイモン・ペッグと久々登場のキルスティン・ダンスト主演のドタバタ・コメディー映画『ハウ・トゥー・ローズ・フレンズ・アンド・エイリアンエイト・ピープル』(原題)ほか、10以上の好作品がひしめき合っている。さて、来週1位の栄冠に輝くのは果たしてどの作品になるか……?(神津明美)