木村佳乃と伊勢谷をキャスティングするまでが大変!フェルナンド・メイレレス監督激白!
映画『シティ・オブ・ゴット』で名を広めたフェルナンド・メイレレス監督が、新作映画『ブラインドネス』について語ってくれた。本作は、今年のカンヌ国際映画祭のオープニングを飾り、日本からも木村佳乃、伊勢谷友介が出演し、国際色豊かなキャストが集った。触れるだけで視界を奪われるという謎の伝染病にかかった人々が、感染者収容所に送り込まれ、次第に錯乱していく姿を描いたパニック作品。
‐木村と伊勢谷のキャスティングについて
(フェルナンド・メイレレス)この作品では、人類を扱っているわけだから、国際的なキャストにしようとはじめから思っていた。実は今回のキャスティングで一番大変だったのが木村と伊勢谷なんだ。三船敏郎など往年の俳優は知っていても、若手俳優についてわたしは無知だったかね。まずは最近の日本映画を何本か取り寄せて、その作品の中から4人ほど候補にして、日本で実際にカメラテストをしたんだよ。最終的に木村と伊勢谷がいいと判断したんだ。
‐「白の闇」映画化には反対だったノーベル文学賞作家である原作者ジョセ・サラマーゴをどうやって説得したのでしょうか?
(フェルナンド・メイレレス)最初はもちろん断られたよ。この原作に出会ったのは10年以上も前のことで、多くに人たちが英訳した原作を読む前に、ポルトガル語で書かれたものを読んだんだ。それが確か1997年のことで、そのとき映画化の権利を得ようとしたんだけどジョセに断られてね。しばらくはその企画を忘れて『シティ・オブ・ゴット』『ナイロビの蜂』を製作していた。だが脚本家ドン・マッケラーとプロデューサーのニブ・フィクマンから偶然にも監督を依頼されたんだ。しかも彼らはその時点で、ジョセにわたしが監督であるということを了解してもらっていたんだ!
‐演出面ではどんな挑戦がありましたか?
(フェルナンド・メイレレス)複雑だったね。ほとんどの人たちは、アイコンタクトによって表情などを理解し、それで人間関係を築いていくんだけど、この映画ではキャラクター同士が目と目を見合わせないように意図的な演出をしたんだよ。ただ俳優たちは、目を開けたまま見えないフリして演じているわけだから、目を動かさずに探ろうとする演技の数々は大変だったと思うな。
‐次回作は?
(フェルナンド・メイレレス)ポルトガル語でTVシリーズを撮っている最中だよ。ウィリアム・シェイクスピアの演劇グループが、必死になって舞台劇「ハムレット」の企画を起こす物語なんだ!
『シティ・オブ・ゴット』の斬新な演出で世界中の観客を驚かせたフェルナンド。今回は観客を視界の奪われた世界に誘ってくれる。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)