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質問しないのは怖いから?マイク・リー監督のグループインタビュー、5人中2人は質問なし

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怖いとうわさのマイク・リー監督
怖いとうわさのマイク・リー監督 - Photo:Nobuhiro Hosoki

 カンヌ、ヴェネチア両国際映画祭で最高賞を獲得し、アカデミー賞にもノミネートされたことのあるマイク・リー監督が、新作映画『ハッピー・ゴー・ラッキー』(原題)について語ってくれた。本作は、物ごとに対して楽観的な生き方をしてきた30歳の小学校教師ポピー(サリー・ホーキンス)が、ボジティブ志向だけで人生をうまく渡って行けるのかどうかを試されるという人間ドラマ。

 なお、マイク・リー監督はとても怖いといううわさがある。ある会見の際、とある記者の質問に対して「そんなバカげた質問には答える気にもならん!」とはねつけた経験の持ち主であり、記者たちからも恐れられている存在だ(笑)。

‐今回は少しコメディー調の作風ですが、何に刺激を受けてこの作品の制作に入ったのでしょうか?

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(マイク・リー)制作するたびにいつも違った映画を作っているつもりだが、ジャンル内での区別としたら同じ部類に入るだろうな。ただ、その部類の中でも違ったことテーマを語っているよ。現実にわれわれは地球をメチャクチャにしているだろ? どんどん最低な状態になってきているし。そういった中でも、小学校の教師という将来を担う子どもたちを大切に教育する先生がいたらという前向きな動機が制作の始まりだったんだ。

‐サリー・ホーキンスは完ぺきなキャスティングだと思うのですが……。

(マイク・リー)彼女はわたしとともにキャラクターを作り上げていったんだから、完ぺきで当然じゃないか! それに、これまでオレが作ってきた映画のキャラクターを演じた俳優たちはどれも完璧なんだ。サリーは過去2回オレの映画に出演していて、その信頼から今度は彼女を中心にして撮ってみようと思ったんだ。どんな役でもこなせる幅の広い女優だし、物ごとをはっきり言う女性なんだよ。

‐即興の演出について聞かせてください。

(マイク・リー)われわれの即興演出は神話みたいなものなんだ(笑)。外の連中が想像するありきたりな即興演出とは異なる。撮影は、長い間俳優たちと話し合いを重ね、アイデアを練って、リハーサルを何度も何度も繰り返してから行っているもので、洗練された脚本と何ら変わらないものなんだよ。即興演出で撮影するという過程に行くまでには緻密(ちみつ)に計算されたものがあるんだ。アドリブとは違うものなのさ。

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‐あなたは長回しを多用しますが、これまで一緒に製作を続けてきた撮影監督のディック・ポープとの仕事はどうでしたか?

(マイク・リー)ディックとの仕事は、わたしが指示をするだけじゃなく,彼とともに判断をしてカメラの配置を決めているんだ。彼との仕事は、俳優たちとの仕事と同じで、徐々に作り上げていくものなんだよ。

 このインタビューは、わたしのほかに5人のアメリカ人記者がいたのだが,その中の2人はまったく質問しないという異例のインタビューとなった。自分にとってはマイク監督の演出手法をしっかり聞けただけで満足であるのだが。本作は10月8日よりアメリカで公開される。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)

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