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熊坂出監督の『パーク アンド ラブホテル』がニューヨークで絶賛!黒澤か小津か?

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将来の巨匠となるか? 熊坂出監督
将来の巨匠となるか? 熊坂出監督 - Photo:Nobuhiro Hosoki

 ベルリン国際映画祭で新人賞を受賞した熊坂出監督が、映画『パーク アンド ラブホテル』の宣伝のために、ニューヨークにあるイマジン・アジアン・シアターを訪れた。「もともと映画をやりたい気持ちはあったのですが、グラフィック・デザイナーとして3年間仕事を積み重ねてきたんです」と語る彼は、自主映画製作をしたことがきっかけで、映画界に足を踏み入れることになった。

映画『パーク アンド ラブホテル』

 初の長編作となったこの作品は、ラブホテルの上に小さな公園があるという奇想天外な発想でアメリカ人の観客の心をつかんだようだ。ニューヨークの観客たちは、大都市にある心のオアシスと呼ばれるセントラルパークをだぶらせたに違いない。今回デビュー作であるにもかかわらず、熊坂監督は主役の艶子を演じたりりィの配役にはこだわりをみせた。「塚本晋也さんの作品『ヴィタール』を鑑賞したときに強い印象を受けたんです」という彼は、頭の中で最初から決めていたらしく、プロデューサーや上層部の反対を押し切っても彼女をキャスティングし、その結果ベルリン映画祭新人賞を受賞し、見事に実を結んだようだ。彼の強い意志は撮影現場でも同じで「撮影監督の袴田(竜太郎)さんとも、十分に絵コンテを見せながらアングルや配置を決めた」と語ってくれた。

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 ぴあフィルムフェスティバル(PFF)に参加した熊坂監督は、映画『珈琲とミルク』で審査員特別賞などを受賞し、その後スカラシップ権を獲得した。それが今回の作品『パーク アンド ラブホテル』の製作費となった。(スカラシップ権とは、PFFで賞を受賞した監督たちが、企画書をプロデューサー、PFFパートナーズに提出。約3か月間かけて最も優れた1名を選び、映画製作の援助をしていくシステム)。彼はこのフェスティバルに関して「このフェスティバルの存在は、日本の若手監督には欠かせない重要な位置を占めているんです」と語った。

 本作に対してアメリカ人観客の反応は、黒澤明監督の映画『生きる』や小津安二郎監督作品に似ていると非常に高い評価だった。ベルリン映画祭での受賞後は数多くのオファーがあったそうだが、熊坂監督は「現在は自分で新しいシナリオを書いています」と語ってくれた。今後の彼の活躍に期待したい。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)

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