20年以上も連れ添った妻の裏の顔描く『ジ・アザーマン』【第52回ロンドン映画祭】
10月17日(現地時間)、第52回ロンドン映画祭で開催された恋愛スリラー映画『ジ・アザーマン』(原題)のイギリスプレミアで、入り混じった感情を見事に表現したと評された主演のリーアム・ニーソン、映画だけでなく舞台やテレビ文化にも貢献してきたサー・リチャード・エアー監督に話を聞いた。
9月に開催されたサン・セバスチャン映画祭のオープニングを飾った本作は、20年以上も連れ添った妻(ローラ・リニー)がいなくなったことから、聞いたこともなかった男(アントニオ・バンデラス)からの妻あてのメッセージを発見してしまう夫(リーアム・ニーソン)の愛と葛藤(かっとう)がスリラー仕立てで描かれている。
今回で3回目となるローラとの夫婦役についてリーアムは「もう本当の夫婦さ(笑)共演するのはダンスみたいな感じだよ」と言う。これまでさまざまな役をこなしてきたリーアムがこの役柄を選んだ理由は「寝取られ男を演じるのが好きなんだ」そう。エアー監督はそのリーアムを含む俳優陣について「リーアムとローラとは舞台でもいっしょにやってきたから、よく知っている。素晴らしい俳優たちだよ。アントニオとは初めてだったが、魅力的な男だ」映画のテーマについては「妄想、孤独、寂しさ……申し訳ないが不幸な人々についてだ(笑)。愛する人とどうやって暮らすか、ともに暮らす人をどれだけ知っているかという、お互いのミステリーだよ」と映画『アイリス』『あるスキャンダルの覚え書き』と大人の微妙な心理を描いてきたエアー監督お得意の分野ということのようだ。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)