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中井貴一、市川崑監督にダマされていた?! 幻の作品が劇場公開で亡き巨匠を偲ぶ

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左から中井貴一、長田千鶴子、浅野ゆう子、佐々部清監督
左から中井貴一、長田千鶴子、浅野ゆう子、佐々部清監督

 2月に他界した映画界の巨匠、市川崑監督のたった一本の未公開映画『その木戸を通って』が、制作から15年のときを経て劇場公開され、主演の中井貴一浅野ゆう子、編集の長田千鶴子、そして本作で助監督を務めた佐々部清監督が舞台あいさつを行った。

映画『その木戸を通って』

 1993年に日本初の本格ハイビジョン・ドラマとして制作を試みて作られた本作。1985年の映画『ビルマの竪琴』以来、市川監督作品に何度も出演している中井は、「この映画は、市川監督から直接電話でオファーをいただいた一本です。監督から、『実はハイビジョンで試験作を撮るんだ。昔から撮りたかった山本周五郎さん原作の映画で、公開にはならないからあまりギャラが出ないけど、それでもやってくれるか?』と聞かれました。監督からそんな風に言っていただけるのならやります、と答えたんですが、後から長田さんに聞いたら意外と潤沢に金があったらしく……。ダマされていたな(笑)」と、ちょっぴり哀しい思い出を披露。そんなボヤきを後押しするかのように、当時チーフ助監督だった佐々部監督も「助監督時代、一番ギャラが良かった作品がこの作品です。こんなにぜいたくな作品は今まで撮ったことがありません」とコメント。中井は思わず、「ウソ~……」とため息を漏らし、会場を笑わせた。

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 市川監督を師匠と慕う中井は、「監督の作品で舞台あいさつをするのはこれが最後だと思うと、悔しい思い、哀しい思いがあります。何本もご一緒させてもらい、初日舞台あいさつも立たせていただきましたが、これが最後です。監督の現場で僕が一番好きだったのは、『用意、スタート!』の声でした。すべてのキャスト、スタッフがこの声でエンジンをかける。今でもあの声が忘れられません」とコメント。市川監督からじっくり演技指導をしてもらったという浅野も、「満を持して、という言葉を付けられる素晴らしい作品。できれば監督も一緒に観ていただきたかったと思います。作品をご一緒させていただいたことを本当に誇りに思っています」と改めて市川監督への敬愛の言葉を語った。

 『その木戸を通って』は、山本の原作を映画化した心温まる時代劇。城勤めの武士・正四郎(中井)が、突然現れた記憶喪失の娘・ふさ(浅野)の優しさに触れ幸せな日々を過ごす中に起こる不思議な出来事を描く。市川監督が1993年にハイビジョン・ドラマとして制作し、ヴェネチア国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭で絶賛されながらも、日本では劇場未公開となっていた幻の作品。

映画『その木戸を通って』は丸の内TOEI2ほかにて全国公開中

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