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貧乏な人々を観賞する?『スラムドッグ$ミリオネア』人気でスラム街ツアーが繁盛

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映画『スラムドッグ$ミリオネア』より
映画『スラムドッグ$ミリオネア』より - (C)2008 Celador Films and Channel 4 Television Corporation

 アカデミー賞の候補として有力視されている映画『スラムドッグ$ミリオネア』だが、いまインドのムンバイにある貧困街では、プロフェッショナルの旅行会社から本物の貧しい少年たち(まさに“スラムドッグ”)までが“スラムドッグ・ツアー”と名付けて、観光客を誘い、「映画『スラムドッグ$ミリオネア』を実体験しよう!」とばかりに貧民街を案内して回るツアーが話題になっている。

映画『スラムドッグ$ミリオネア』

 この中で、大手のスラムドッグ・ツアーを営むリアリティー・ツアーは多い日で50名もの観光客を引き連れてツアーに出るという。「最近の観光客は本物を見たがる」ということだ。

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 実はこのツアーは2006年から始まっているのだが、映画の大ヒットに便乗して最近になってツアー客が激増したという。参加料は800ルピ(約1,470円)で、ツアーの長さは4時間ほど。映画のロケ地にもなったダラヴィーと街にあり、アジア一貧しい地域と言われている究極のスラム街ツアーである。ムンバイの巨大ゴミ廃棄所、グッチなどの高級革製品の革はここで作られるという革製作所。そこで働くのは貧しいインドの下層階級労働者たちである。

 斜面をびっしりと覆い尽くすように建てられた貧しい小屋の群れ、真っ黒に汚れてドロドロの河、フタもされていない下水道や、暗い路地裏、『スラムドッグ$ミリオネア』で主人公のジャミールたちが駆け抜けたような場所ばかり。そして極めつけは、映画にも出てきた公衆便所だ。あれは冗談でなく、実際にあるのだ。空き地に6つだけ並んだ簡易公衆便所は、何と約1万6,000人の人々が利用しており、そばに居なくても臭ってきそうな雰囲気がある。

 「映画にかこつけて貧しい人たちのプライバシーを侵害しているのではないか」という非難の声も上がってはいるものの、「貧しい居住区の実態を理解する足がかりになるのは良いことではないか」という声も多い。しっかりした旅行社が営むこういったツアーでは、厳しく参加客を監視し、居住区の住人たちにカメラを向けることは絶対に禁止されている。先述のリアリティー・ツアーは、スラムドッグ・ツアーの80パーセントの収入を居住区の改善を行うチャリティーに利用している。

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