映画『チェンジリング』の華麗なる衣装はアメリカ中の古着が集合!
1920年代のロサンゼルスを舞台に、行方不明になったわが子を探すシングルマザーと当時のロサンゼルス警察との戦いを描いた映画『チェンジリング』で、アンジェリーナ・ジョリーは、クラシカルな役柄でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたが、これまでとはまったく違うキャラクターの役作りに、1920年代のファッションが重要な役割を果たしたという。
名匠クリント・イーストウッド監督が手がけた本作で衣装を担当したのは、映画『男たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』で、見事に太平洋戦争時の兵士たちの姿を復元させてみせたデボラ・ホッパー。彼女は、本作で1920年代のアメリカに住んでいた人々の姿を再現させるため、アメリカ中の古着屋から当時の衣装を1000着以上を集めたそうだ。
ローウエストのドレスに、釣鐘型の帽子を深めにかぶり、皮の手袋をはめる。現代と比べると、ずっとフォーマルで女性らしいシルエットを作り出すのが1920年代の女性たちのファッションだ。
アンジー自身が、「20年代の服のデザインには、なにかすごくかわいらしいところがある。そのおかげで、自分が少ししとやかで、ちょっと傷つきやすいように感じられるの。すべてを内面に隠してしまうようなね。だからとても助かったわ」と語っているように、本作の役作りをする上で、1920年代の衣装を身にまとうことが良いきっかけとなったようだ。
アンジー演じるクリスティンが働いている電話会社での衣装もオリジナリティにあふれており、皮バンドつきのローラースケートで、社内をスイスイと滑りながら仕事をこなしていく姿はとてもユーモラス。ローラースケートを使ったこのワーキングスタイルは、実際にあったことで、アンジーも「ローラースケートをつけて滑り回る役なんて、私の芸暦の中でも一番おかしいものだわ」と話しているが、多くのユニークなアイデアが生み出されていた、当時のアメリカの様子も楽しむことができる。
これまで、映画『トゥームレイダー』『ウォンテッド』など、タフでセクシーな役柄が多かったアンジーだが、本作で演技力の幅広さを見事に証明してみせた。1920年代を生きた女性たちが着ていた衣装の数々が、彼女を役柄の奥深くまで入り込ませたと言っても過言ではないだろう。アンジーの美しい変身ぶりを、ぜひ自分の目で確かめてもらいたい。
映画『チェンジリング』はTOHOシネマズ 日劇ほかにて全国公開中