内田也哉子、夫・本木雅弘とのきずなを語る!「改めて尊敬しました」
文筆家・音楽家として活躍する内田也哉子が、フランス映画『ベルサイユの子』のピエール・ショレール監督と一緒にインタビューに応じた。二人は六本木で行われたフランス映画祭2009で、本作の上映後にトークショーを行った間柄。時おり互いにフランス語で語らいながら、リラックスムードで質問に答えてくれた。
孤独なホームレスの男性が、母に置き去りにされた子どもと過ごすうちに、本当の親子のようにきずなを深めていく様を描く本作。ピエール監督は二人の関係について「本当の親子であっても、親がきちんとその役割を果たさない場合、子は外に代わりの人を求める。子どもは主人公を本能的に父親として適切な人間だと判断した」と説明。そして登場人物たちを通して伝えたいのは「愛情を受けずに育ったからといって、他人に愛を注ぐことができない人間になるかというと決してそうではない。一見、人は生まれつきの運命に左右されるようでいて、実は違うんだ」と人間を温かく見つめ、希望を与える作品であることを強調した。
ピエール監督の言葉にうなずいていた内田は「監督の愛情に対する深いまなざしが押しつけではなく、作品中に漂ってるんですよね。個人そして家族を描く許容量の広さに感動しました」としみじみ。さらに「個人的に家族について思うのは、親の良くないと思った部分を引き継がないように、子どもに同じ思いをさせないよう行動する自分がいる。そういう風に、親子って常にコントラストを持つ間柄だと思うんです。結果、受ける愛、与える愛の強弱が波のように続く気がしますね」と自身の家族観も語った。
内田といえば、夫である本木雅弘の主演作映画『おくりびと』が見事オスカーを受賞したのも記憶に新しいところ。15年間もの間、この企画を映画化しようと奮闘していた夫を間近で見て、励ましていたのか聞くと「むしろ、その姿を見てわたしの方が励まされていました」ときっぱり。「ただただ静かに見守っていました。彼はわたしにないものをたくさん持っている人。まじめにコツコツと、ぶれないで一つのことを求めていく。そのしぶとさというか、根気強い性格は日常生活を営んでいるとうんざりすることももちろんあるんですけど(笑)、それはものを作る人間の資質としては一番大事ですよね。改めて尊敬しました」と語り、夫婦として強いきずなを結んでいる様子がうかがえた。
『ベルサイユの子』は、フランス社会の底辺で生きる人々を活写しながら、さまざまな形の家族のきずなを描くヒューマンドラマ。本作で繊細(せんさい)なホームレスの男を演じた主演のギョーム・ドパルデューは2008年10月に37歳という若さで急逝した。
映画『ベルサイユの子』は5月2日よりシネスイッチ銀座ほかにて全国公開