『ウォッチメン』何度も見れば、何度も楽しめるイキな演出に脱帽
映画『300 <スリーハンドレッド>』のザック・スナイダー監督による待望の新作映画『ウォッチメン』には、一度観ただけでは気付かないマニアックなエピソードや、粋な演出が劇中に隠されていることがわかった。
本作は、テリー・ギリアム監督や、ダーレン・アロノフスキー監督、ポール・グリーングラス監督など名だたる巨匠がチャレンジしては実現しなかった、アラン・ムーアとデイヴ・ギボンズによる傑作グラフィックノベル「ウォッチメン」の実写映画化作品。1990年代初頭から浮かんでは消えて行ったこの企画を再始動させたのは、フランク・ミラーによるグラフィックノベル「300」の実写映画化を大成功させた若き天才監督ザックだ。
劇中には、ザック監督が仕掛けた見どころがたくさん用意されている。まずは『300 <スリーハンドレッド>』で確立されたダイナミックなスローモーションバトル。物語の幕開けともいえる、ウォッチメンの一人であるコメディアンと謎の人物のバトルシーンはまるで舞踏のようで、デスクにたたき付けられたり、投げ飛ばされたりとド派手なアクションがスローモーションで描かれ、残酷ながら美しさを感じさせる名場面になっている。さらにこのシーンには、思わずニヤりとさせられるザック監督の粋な演出があるのだ。
それは、コメディアンと謎の人物が格闘する中、飛び散ったものが部屋のドアにぶつかった瞬間に起こる。ヒントはザック監督の前作のタイトルにあるとだけ記しておこう。ほかにも、ロケセットの一部に原作者デイヴの直筆サインがあるなど、一度観ただけではわからないような細工がほどこされているのも魅力の一つだ。本作は、一度といわず二度三度観て新たな発見を楽しむことができる作品となっている。
映画『ウォッチメン』は3月28日より丸の内ルーブルほかにて全国公開