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異才監督アトム・エゴヤンが、現代のアイデンティティーを追求する作品を語る!

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アトム・エゴヤン監督
アトム・エゴヤン監督 - Photo:Nobuhiro Hosoki

 映画『スウィート ヒアアフター』でアカデミー賞にノミネートされた経験を持つアトム・エゴヤン監督が、新作映画『アドレーション』(原題)について語ってくれた。本作は、両親を交通事故で失い、現在は叔父トム(スコット・スピードマン)のもとで暮らすサイモン(ディヴォン・ボスティック)が、クラスメートやインターネット上の友人にテロリストだった父親の過去を話したことから、世界中に波紋を巻き起こすというストーリー。デジタル時代に生きる現代人のアイデンティティーを追求する完成度の高い作品だ。

 テーマ自体は、エゴヤン監督の過去作品に類似点がある。しかし、本作では時事問題や政治にも触れてもいる。「それは、恐らく最近のテクノロジーが今日の出来事をより身近に、真実味を帯びさせているからなんだ。この映画では、ある一人の少年がクラスの授業で出された翻訳の課題に対し、自分勝手な解釈で父親のテロ行為を理解するために話を歪曲(わいきょく)させ、無責任な行動に出る。この行為は、ニュースを政治的意図として消化せずに、単なるエンターテインメント的な感覚で見ながら育った世代には、ありえないことではないんだ。ゆがんだ真実がまかり通る今日の状況を描きたかったんだ」と語る。

 エゴヤン監督の映画に必要不可欠な作曲家、マイケル・ダナとの仕事については「僕の作品では音楽は、単なるBGMではないんだよ。ドラマの一部として曲をデザインしているんだ。テーマに合わせて不協和音が必要だとお互いが理解していて、曲を作りながらそこに当てはめていったんだ。僕は彼の音楽に口を挟むことができるし、マイケルは僕の映像を編集段階から見る。そこが、ほかの監督と作曲家の関係とは違う部分だろうね」と述べた。

 エゴヤン監督の妻であり、女優として毎回出演しているアルシネ・カーンジャンについては「アルシネは非常に聡明(そうめい)な女性で、いろんなことを吸収できるんだ。それといつも一緒に仕事をしているから、たまに彼女をほかの監督の映画で観ると不思議な感じがするね。僕が書いた脚本では、いつもユニークで特別なアプローチをしてくれるんだ」とのことだ。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)

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