21歳の妖艶ポルノ女優が心境を吐露!ソダーバーグ監督映画の主演女優になるまで!
映画『チェ 28歳の革命』など、常に斬新な映画を作り上げてきたスティーヴン・ソダーバーグ監督が、21歳のポルノ女優を主演にキャスティングした映画『ザ・ガールフレンド・エクスペリエンス』が完成し、トライベッカ映画祭(Tribeca Film Festival)で公開された。
今回、ハリウッドの鬼才監督から主演依頼を受けた注目のポルノ女優サーシャ・グレイに話を聞くことができた。本作は、一夜2,000ドル(約20万円)というコールガールのチェルシー(サーシャ)のとある5日間を描いたドラマだ。
オファーの経緯については「彼の脚本家が、わたしのMySpaceにコンタクトしてきたの。最初はジョークだと思ったわ。でもとりあえず、連絡先に伝言を残したら、すぐにソダーバーグ監督から電話があってね。その後にワーナー・ブラザーズのオフィスでミーティングをしたのよ。そこでわたしが主演女優に決定したってわけ。型破りなキャスティングよね(笑)」とのこと。
ポルノ映画から、一般映画に進出することを念頭に置いていたのだろうか? 「それはないわ。演技の基本はできていたけれど、俳優としてではなく、自分の意志でアダルト業界に入ったの。だからアダルト業界からハリウッドへ行こうと思っている女性がいるのなら、それは間違いよって言うわ。ポルノをやりたいと思ってこの業界に入るのは大いに賛成だけれど、その先を期待して入るのは絶対にダメね」と自分自身のケースはごくまれであることを強調した。
チェルシーという役柄について「キャラクターについてソダーバーグ監督と初めて話し合いの場を持ったとき、すでにわたしは自分自身が考えるチェルシーについてのアイデア持っていたの。ソダーバーグ監督は意見を聞いてくれるだけでなく、わたしが個性として持っていた自信と落ち着いた態度をキャラクターにも盛り込みたいと言ってきたの。撮影は前日に大まかな内容だけを渡されて、現場で少しずつ変えていくやり方だったわ。撮影当日に話し合った内容をそのまま入れたりね。ちなみに、撮影中にあのリーマン・ブラザーズの破綻があって、その経済危機も劇中に盛り込んだのよ!」とのことだ。
実際のボーイフレンドはサーシャの仕事をどう思っているのか。「幸運なことに、彼はわたしの職業を理解するだけじゃなく、その職業こそが人生であるということをわかってくれているの。わたしのポルノに対する気持ちを全員が理解するとは思えないけれど、アダルト業界であろうがなかろうが、オープンに話し合うことがカップルには不可欠ね」と幸せそうに語る。
批評家の感想や反応については「ソダーバーグ監督もわたしも、くだらない批評を読んだりしないわ。時間の無駄だもの。わたしは自分の体で3年間アダルト業界で働いてきたわ。それにこの体だけが、わたしに利益をもたらした唯一のものよ。この映画で描きたかったのは、街角で売春してたり、ポン引きにこき使われたりする女性の姿ではなく、自分自身を自分でコントロールして、自分を売る自立した女性の強さなの」と熱っぽく語ってくれた。
ソダーバーグ監督に主役として抜てきされるだけあり、年齢からは想像できないほど人生を達観しているように思えた。彼女と同年代のハリウッド女優にはない、特別な存在感があった。これを機に、サーシャはより多くのことにチャレンジしていきたいと語った。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)